2009/6/1 くらげの唄と『MILK』

水無月始まる。新しい月の始まりが月曜日というのは気持ちいいもんです。
2009年ももうすぐ折り返し、ブログも心機一転したことでもあるし、シフトチェンジしよう。
体重は74.60キロ。
74キロ台が続いている。
九州で腹一杯食べたことの後遺症か。
現実から目をそらさないで生きていきましょう。


…快晴、そよ風、気持ちいいジョギング。
空気がずいぶん乾いている。
でも、もうすぐ梅雨だね。
先日、落雷事故のあった辺りの海中に白い石がいくつも転がっている。
なんだろ?と思って目をこらすとクラゲだった。
この季節にクラゲだって?
水温が高いのだろうか。


そういえば「くらげの唄」という詩があったよなあ、と帰ってから検索する。
あ、そうそう金子光晴じいさまの詩だ。


 ゆられ、ゆられ
 もまれもまれて
 そのうちに、僕は
 こんなに透きとほつてきた。


 だが、ゆられるのは、らくなことではないよ。
                       (「くらげの唄」金子光晴)


昭和27年、僕が生まれる前の詩だ。


 心なんてきたならしいものは
 あるもんかい。いまごろまで。
 はらわたもろとも
 波がさらつていつた。


久米明のまねで朗読すると気持ちいいですよ。


 いやいや、こんなにからつぽになるまで
 ゆられ、ゆられ
 もまれ、もまれた苦しさの
 疲れの影にすぎないのだ!


!ときっぱり言い切るのが久米明流です。
詳しくは大泉洋先生の動画を参照下さい。
http://www.youtube.com/watch?v=RFo34KrVC3o


…映画『ミルク』を観る。
場所はアメリカ村シネマート心斎橋。
開映時間のジャスト1時間前に出る。
阪神と近鉄がつながったので行けると思ったが、
奈良行き特急が発車したばかりのタイミング。
尼崎で乗り継いで近鉄難波についたのが開演10分前。
小走りで何とか間に合う。
今日は「映画の日」で1000円、4割くらいの客の入り。


今年のオスカー主演男優賞のショーン・ペン主演の伝記ドラマ。
1970年代、同性愛者であることを公表してゲイそして初めて公職に就いた
ハーヴェイ・ミルクが主人公、彼の戦いから凶弾に倒れる最期までを描いている。


舞台となったのはサンフランシスコ。
時代は1972年から78年。
今思うと、いや今だから思うのだけど、あの頃はまだ“政治の時代”だったんだな、と感じた。
まだ、というのは70年代、日本では学生運動が下火になりシラケた時代と呼ばれた。
(まあ、それも60年代に較べて、という相対的な話なのだけど)
アメリカはちょっと違ったように思う。
60年代に黒人公民権運動があり、ベトナム反戦もあり、組合闘争もあり、
この映画に描かれた同性愛者差別との戦いもあったのだ。


“政治の時代”を強調したのは、この映画の政治家はすごくカッコイイからだ。
政治で世界を変えられると人々は信じていて、本当に変わっていく。
選挙戦はスリリングで面白いし、国民投票は手に汗握る緊張感に満ちている。
本当に政治ってすごくカッコイイと思った。


小西克哉氏がラジオで話していた。
ハーヴェイ・ミルクからアメリカの政治のあり方を学ぶことが出来る、と。
彼は政治のプロではなかった。
街のカメラ屋で、先ず身の回りにある問題を解決したいと思った。
いろいろと試行錯誤して、これは政治家になった方がいいぞと思う。
議員に立候補する。
まるで学校の生徒会長に立候補するような感じ。
小西氏が言う3つのポイント。
自分たちの理念を掲げる、身近な問題から解決する、(ゲイではない)賛同者を増やす。
この法案を支持するからゲイに理解を示してくれ、と取引も出来る柔軟性を持っている。
普通の人が政治家になって、身の回りの世界を変えていく。
政治家というのは何も麻生太郎や鳩山由起夫みたいな人ばかりではない。


市会議員や州議会議員に立候補するも何度も落選、4度目に市会議員に当選する。
アメリカの市会議員は民政委員と呼ばれ、サンフランシスコでは11人しかいない。
折しも、アメリカはキリスト教保守派が同性愛者の教職追放の大キャンペーン中、
ゲイ最後の砦、カリフォルニア州にも圧力がかかっていた。
劣勢の中、ミルクは果敢に戦いに挑む。
様々なパフォーマンス、政治的取り引き、そして暗殺を予告されながら演説する勇気。
「マイクの前に立った瞬間にお前は撃たれる」
演台に上がる直前に告げられたミルク。
ミルクはマイクの前に立つ。
結末を知らない僕は思わずスクリーンから目を逸らしてしまった。
勇気、Be Courageous、大事ですよね。
日本人に足りないのは自尊心ではなく勇気だと思う。
政治家はカッコイイと思ったですよ。
あれが英雄なんだ。


黒人の公民権運動と違うのは権利を勝ちとるのではなく、権利を守る戦いだということ。
マイノリティの権利がおびやかされていく中、ミルクが言う。
人権というのは一度奪われると、次はゲイだ、次はメキシコ人だ、
次は老人だと、止めどもなく連鎖するものだ。
だから、絶対に負けるわけにはいかない。
本当は“絶対に負けられない戦い” はここにあるのだ。


監督はガス・ヴァン・サント。
ざらざらした70年代風のテクニカラー風映像がいい。
時々、実際のニュース映像がはさまれる。


1978年、ミルクは凶弾に倒れる。享年48。
意外な結末だった。


ショーン・ペン熱演!
彼はものすごく政治的な人なのだろう。
映画を見たあと、彼のゲイっぽい仕草がうつってしまう。
困った。



左が映画『ミルク』の1シーン、右は実物のハーヴェイ・ミルク

  


…映画館を出ると携帯にメールあり。
A部氏のお誘い。
うーむ、今日は飲まずに帰るつもりだったが、二つ返事で、行きましょうとなる。
やっぱり映画のあとはちょっと飲みたい気分。


『蔵朱』で日本酒と夏野菜炒め。
下の『木下酒店』で広島カープの6連勝を目撃して、梅田まで歩く。
本町から梅田まで40分歩く。
しかしよく歩くね、おじさんは。
恥ずかしいくらい歩くよ。
電車に乗りました、って嘘つきたいくらい。
〆は『北サンボア』でハイボールを一杯。