2009/6/5 虹と鯨とディア・ドクター

   

朝から雨、だからもう梅雨入りしてるんですって。
ヒロが8時過ぎに家を出る。
高速バスで神戸から広島へ行く。
米子の姉一家がこの4月から広島へ引っ越した。
明日の夜、広島市内でユーミンのコンサートがあるのだ。
関西のチケットがとれなかったらしい。


ということで今日から3日間は一人暮らし。
吾妻光良とスインギング・バッパーズに『嫁の里帰り』というラテンナンバーがある。


  嬉しいな楽しいな 気持ちいいな愉快だな
  今朝かみさん実家に帰るんだ 里帰りで3日間
  腹が減ったもう起きよう 蒲団なんてたたまなくていい
  パンツいっちょでうろつこう  新聞もそこらにバラまこう



僕は普段も放し飼いなのでこの歌ほどの開放感があるわけでもない。
でも、なざかウキウキする。
3日間くらいというのがちょうどいい。


…毎日英語。
今月はBBCの6分間英語をやっている。
音声もテキストもダウンロード出来る。
ケイト・コリンという女性の声や話し方が好きなので聞く分には気持ちいい。
かなり早口だが6割くらいは聞き取れる。
でも、テキストと照合すると、とたんに眠くなる。
勉強になってしまうのが眠気を誘うのだろうか。
ヒロがいないから眠くなったら寝てしまう。
レコードをかけてソファに横になる。
LP盤だから20分くらい。
起きまへんわな。
1時間以上眠ってしまう。


起きたら昼になっていた。
夢を見た。
久々にかなりリアルな映像をともなう夢だった。


僕は小樽から札幌へ海沿いを電車で向かっていた。
空は厚い雲に埋め尽くされ風が強い。
海は怪しげなセピア色だった。(夢ですから)
車窓から僕は鯨を見つけた。
沖へ向かう一頭の鯨を目で追うと、また別の鯨を発見。
しだいに海は無数の鯨で埋め尽くされていく。
圧巻の光景だった。
やっぱり北海道はすごいなあと僕は思う。
やがて波打ち際に巨大な鯨が現れた。
浅瀬に打ち上げられて身動きとれないようだ。
その巨大さに驚く。
他の鯨は10〜20メートル。
その鯨は10倍はある。
体長100メートルの鯨!
海はセピア色、まるでターナーの絵を見ているかのようだ。
悔しいことに僕はカメラを持っていなかった。
だから日記にアップすることは出来ないんだ。
残念。


…午後から成川内科クリニックへ行く。
県立西宮病院で紹介状を書いてもらった。
症状の安定している人は地域の医院に患者を振り分け負担を減らしているのだ。
2時間待ちはザラだもんな。


クリニックは予約して午後一で行ったので空いていた。
問診、特に問題はない。
同じ処方箋を出してもらう。
採血と次回の診察の予約をする。
予約の変更が出来るのが嬉しい。
県立病院はいったん予約すると変更不可だったのだ。


…夕方、晴れ間が出たのでジョギングに出る。
晴れているのに雨が降っている。
これはもしかして、と期待したら、期待通り東の空に巨大なアーチがかかっていた。
半円の虹、しかも二重。
近所の人たちが御前浜に出てきて感嘆の声をあげ、携帯のカメラで撮る。
弧が大きすぎて全体が入らない。


…夜はDVDで映画『ディア・ドクター』(西川美和監督)を見る。
先日試写会に行ったが満席で見られなかった映画。
プロモーション会社がわざわざDVDをYTVまで送ってくれたもの。

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なかなかの佳作でした。
最近の邦画は日本映画独特の感覚があって悪くない。(一部のCG乱用ものを除いて)

茨城の僻地、緑したたる田園地帯にある診療所。
村の人口1500人、患者の半分以上は高齢者。
その診療所の医者が笑福亭鶴瓶。
映画のコピーは「その嘘は罪ですか?」
何となく物語の大筋は見えてくる。


僕は3人の女優に惹かれた。
看護婦役の余貴美子。
ガンに冒される村の老女に八千草薫。
その娘で都会の病院の医師に井川遥。
井川遥って美人ですね。
この映画では一瞬、小泉今日子かなと思う。
女医役が堂に入ってる。
そして、やっぱり余貴美子がいい。
『おくりびと』でもそうだったけど、何か重いものを背負っていて、
それでもなお強くて、ちょっと弱いところも見せたりして、いい役者さんだと思う。


長回しのワイドショットを多用している。
人物は点のように写っているだけ。
広い画面のほぼ9割が緑で埋まっている。
その村がどういう場所なのかがわかる。
そして、見る者にゆっくりと考える時間を与えてくれる。
僕らはこの長いワイドショットで呼吸を整えることが出来る。


この医者は善人なのか、悪人なのか。
村の人々の目があるとき突然変わったりする。
見ている僕らの感覚も揺れる。
映画は最後までその医者を村の救世主、聖人、神様として描かない。
そういう面もあるけど、そうじゃないところもある、と描く。
実はどっちでもあるし、どっちでもない。
人間とはそういうものだ。
奥田英朗のNumberの連載ではないが、
「どちらとも言えません」だ。


映画のもうひとつのメッセージ、
『人は何かになりすまして生きている。』
そうだよなあ。
僕は僕を演じているに過ぎない。
この先も、僕は何か別の人間になりすますことが出来るだろうか。
なりすましたいなあ。
無理かなあ。