…fatfat氏の日記でロバート・B・パーカーの訃報に触れる。
マサチューセッツ州ケンブリッジにて死去、享年77。
スペンサーシリーズを僕が熱心に読んだのは30代後半だった。
「初秋」「約束の地」「失投」…僕にとっては「初秋」がベストワンだ。
スペンサーとトレーニングを積む少年が成長していく場面で落涙した記憶がある。
手元に「スペンサーのボストン」「スペンサーの料理」なんて関連本もある。
小説よりもスタイルに憧れていたんだろう。
月刊プレイボーイや日本版エスクワイアによく登場していたものな。
たまたま今年に入って北方謙三の初期の小説を読んだ。
2作とも主人公が少年に男の生き方を教えるという設定がある。
これって「初秋」のスペンサーとポールだよなと独りごちた。
北方の主人公は探偵ではなくドロップアウトしたアウトローだが。
「初秋」にあるスペンサーの台詞を1997年の日記に書き写している。
(97年4月からMacで日記を書き始めたので簡単に検索出来るのです)
『何か重要なことについて、例えば、お父さんがまた、自分を誘拐するかも知れない
ということについて考えるときは、彼が試みるかどうかについてあれこれ考えるよりは、
彼が試みたときにどうするのが一番いいのか、ということを考えた方がいいんだ。
彼がやるかどうかは君には判断できない。彼の考え方しだいだ。
君が試みた場合にやるべき事を決める。それは君の考え次第だ。わかるか?』
『自分がコントロール出来る事柄がある場合には、それに基づいて必要な判断を下すのが、
賢明な生き方だ。』
『そんなことはどうだっていいんだ。
要は自分はこうあるべきだという考えにとらわれないことだ。
自分に出来ることなら自分の気に入ってることをするのが一番いい。』
自分にコントロール出来ないことで思い悩むな。
悩める当時の自分にとってボストンのタフガイの言葉は合理的で力強かった。
そういえば翻訳の菊池光は西宮に住んでいたのではなかったか。
すでに故人ではあるが。