10/7/3 崖っぷちの死闘

ラジオの音で目を醒ます。
外は雨が降っている。
ウルグアイとガーナの準々決勝が延長戦に入ったと実況アナが言う。
寝ぼけ耳で聞くとはなしに聞いている。
延長戦の終了寸前、ウルグアイがPKを与えたようだ。
万事休す、か。
ガーナがはずした!
えらいことになった。
ヒロを起こしてテレビをつけるが放送は無い。
そのままラジオを聞く。
ペナルティキック戦。
突然の死がどちらかに宣告される。
PK戦をラジオで聞く。
スリリングだ。
緊張感で完全に目が覚めている。
耳をそばだてて実況を聞き入る。
ガーナ敗れる。
アフリカの星墜つ。


終了後、NHKニュースが試合のハイライトを流す。
延長終了直前のPKはスアレスのハンドだった。
一発レッドの確信犯。
冒さなければチームは100%死んでいた。
次の試合、出場停止。
戦闘による犠牲者1名。
リスクを冒す、あまりに単純明解な一例。
触らなければゴール、誰もが納得。
故意だとか、アンフェアだとか、そんな建前は何の意味もない。
やらなければ殺られていた。
南米のチームはそのあたりの価値観は徹底している。
ノックアウトラウンドはどちらかが死ぬ生き残りをかけたステージ。
ウルグアイは得点源という罰金を払って次に進んだ。


勝者と敗者が一瞬にして入れ替わる展開。
どちらが主人公かは別にしてよくある冒険アクション映画を思い出した。
場所は断崖絶壁。
生死をかけて闘っている二人。
死闘の末、ウルグアイは指一本でぶら下がっていた。
ガーナはその指を踏みつけるだけでよかった。
ガーナは生き残ったのは自分たちだと確信した。
足で踏みつける。
ウルグアイは死を覚悟した。
その刹那、ガーナは足を滑らせる。
墜ちたのは自分たちだった。
奈落の底へ消えていくガーナを見ながらウルグアイは息を整えた。


写真を見ると、これってバレーボール? と思う。