録画した『龍馬伝』を見る。
いよいよ寺田屋事件、いやいや寺田屋騒動、いや寺田屋遭難だ。
寺田屋で弥太郎が朝飯を喰らう。
実際の岩崎弥太郎はどうだったのかは知らない。
が、香川照之の役作りはどこまも濃厚で強烈だ。
“弥太郎”という表情の作り方があるのだろう。
うす汚いメイクだけではない。
どこまでも下品で卑しくて哀しい表情。
あえて自分のものではない受け口にして表現する。
気合いの入ったナレーションと組み合わせて、
「細かすぎて伝わらないものまね」で誰かがやりそうだ。
筧利夫演ずる三吉慎蔵。
用心棒。
槍の名手。
木訥な地方武士。
こういう純粋で忠実な男は幕府側や新撰組にもいたのだと思う。
浅田次郎の『壬生義士伝』にも三吉のような男が登場する。
真木よう子演ずるお龍。
薩摩藩邸に行け、と龍馬に命じられる時の思い詰めて潤んだ目がいい。
伏見の路地裏を全力で走る迫真。
さすが元陸上部!
容赦なく速い。
ソファで寝転んで見ていたが寺田屋が見廻り方に包囲された頃に自然と起き上がる。
我が身もただならぬ気配を感じたのだと思う。
船宿での大立ち回り。
瀕死の龍馬が材木置き場へ逃げ込む。
三吉慎蔵が、ここに隠れていて下さい、と言い残し薩摩藩邸へ向かう。
屋根に身を隠す龍馬。
手負いの龍、痛みを堪えうわごとのように漏らす
「父上……父上……ごめんちやー」
「声出したらアカンて、見つかってしまうやん」
は?
「動かんへんほうがいいのに」
ヒロが世界に入っている。
三吉が路地で捕り方に行く手を遮られる。
絶体絶命。
「三吉さん、ここで殺られちゃうの?」
「いや、槍の三吉やからな」と意味不明の返答をする鼻息荒い自分。
「でも多勢に無勢やで」と不安げ。
三吉、竹竿一本で捕り方をなぎ倒す。
「よっし!」とヒロ。
『死なせもはん!』
薩摩藩邸から兵と医者が送られる。
ふたたび屋根の上の龍馬。
「動いたらアカンよ、じっとしとき」
ヒロの顔が…お、お龍になっていた。
し、知ってるはずやのに。
寺田屋では死なないことを。
え、ネタバレ?
普段は『龍馬伝』1.5倍速で見るクセに。
写真は一昨年4月に行った伏見の寺田屋。
実際は鳥羽伏見の戦いで消失し龍馬の泊まった建物とは違うらしい。
思ったより小さい。
こんなもん? って感じ。
ドラマのような大立ち回りしたら確実に倒壊する。