ぷよねこ減量日記 2009/5-2016/1

旧ぷよねこ減量日記です。2016年1月に新旧交代してます。

2004/9/9 入院11日目

(県立西宮病院1110)
入院11日目。
午前6:52 今日も夜中に起きることはなかった。尿の量は格段に少なくなっている。以前のようにゴクゴクとがぶ飲みすることはなくなった。窓際の吉田さんが寝られないらしく夜中にごそごそとうるさい。朝、窓が開いていた。どうも車の音がうるさいと思ったがそのせいか。クーラーを切ったので暑かったのだろうか?昨日で「模倣犯」の上を読んでしまう。10日もかかっているが。

…朝 採血をする。血糖値は140

…午前10:30 食後、1時間ほど横になる。疲れやすいのは運動不足とやっぱり肝機能、脂肪肝によるものだろうか。9時半くらいからトマトジュースを飲み、西宮駅へ行く。
本屋で糖尿病の本を立ち読み、アメリカインディアンの中には60〜80%が糖尿病の種族もあると言う。もともとモンゴロイドは歴史的に飢餓に強い民族でそれが食の欧米化で逆に災いしてそうなるらしい。スターバックスでボトルに珈琲を買う。まだ、外は暑い。

…昼前の血糖値300台、これが下がらないなあ。

…そろそろWEB日記をアップしたい。
僕は糖尿病と診断された。糖尿病は「自己コントロールと教育の病気」だという。
糖尿病とは?という話から始めたいと思う。自分自身の教育と思って書いていこう。
題して「ぷよねこ糖尿セミナー」

…そもそも人間は?
食べ物からエネルギーを得ている。なかでも糖分は大きなエネルギー源です。
くたくたになって疲れたときに甘いモノが欲しくなる。山で遭難したときにチョコレートで助かったという話も聞いたことがあるでしょう。
血液中の糖分をエネルギーに変えるにはインシュリンというホルモンが作用しています。
このインシュリンが食べ物として摂取した糖分をエネルギー、あるいはエネルギーにするための脂肪として蓄える働きがある。とても大事なホルモンです。
余談ですが、糖分をエネルギーに変えてくれる(エネルギーとして全身の細胞に供給してくれる)のは、人間の場合、このインシュリンが唯一無二のホルモンだそうです。逆にそのインシュリンと反対の作用を持つホルモン、つまり血液中の糖分をエネルギーに変換することを邪魔するホルモン(血糖を上げる作用)というのは複数あるそうです。アドレナリンとかもそうかな?
ところが、動物(犬や猫)にはインシュリンと同様の働きをするホルモンが複数存在する。
だから、人間以外の動物は糖尿病にならない。

インシュリンはどこから分泌されているか?
膵臓です。膵臓は胃の後ろ側にある臓器。(ちなみに僕の父親は膵臓癌で亡くなりました)
この膵臓にはランゲルハンス島というのが100万個も散らばっていて、インシュリンはここから
出ている。ランゲルハンス島って中学校の時にカエルの解剖をして、顕微鏡で見たんじゃなかったけ?
村上春樹の本の題名にも「ランゲルハンス島の午後」というのがあった。

インシュリンについての余談
僕らモンゴロイドは先祖が長い歴史の中で飢餓状態にあったという。その過程で飢餓に強い体質になって低カロリーでも動くことの出来る燃費のいい人種になっていった。粗食でも働き者ということだ。それが今、長い歴史の中でも急激な変化が起こっている。食の欧米化、高脂肪、高タンパク、高栄養の食生活だ。加えて消費カロリーの低下、つまり運動不足だ。日本人の生理システムに歴史上、類を見ない激変が訪れたわけである。こんな栄養を、こんな多量の糖分を日本人はエネルギーに変換することが出来ないのだ。分泌出来るインシュリンの量が限られているようである。で、糖分として血液中に残ってしまい高血糖に、インシュリンの製造工場である膵臓が疲れ果てて病気になるというわけ。
しかし、しかしである。コーカソイド、つまり白人は違う。その歴史上、飢餓がなかったわけではないだろうが基本的に肉食人種で、そのため高脂肪の食べ物を摂っていたために構造的に違うのだ。そう、彼らはインシュリンモンゴロイドの2倍、3倍、いや10倍出す奴もいるらしいのだ。あの甘ったるいケーキ、アイスクリーム、脂のしたたるステーキ、大量のマッシュポテト…
そんなものをインシュリンをガンガン発射してエネルギーや皮下脂肪にしてしまうのだ。
だからあんなに300キロとか太れるというわけ。日本人を始めとするモンゴロイドはその前に
膵臓がダメになってしまうらしい。
こんな話も聞いた。アメリカインディアンの中には80%が糖尿病という種族があるらしい。
アルコールへの耐性と同じように彼らはアメリカ風の高脂肪の食事に耐えられないのだろう。

…糖尿病とは?
このインシュリンの働きが足りなくなり、、血液中の糖(ブドウ糖)が利用できなくなって起きる病気です。糖尿病の人は健康な人に比べてインシュリンの分泌が鈍く、しかも絶対量が少ないのです。その結果、血糖値が高くなるというわけ。

…僕が高血糖になったのは?
何かの理由でインシュリンが作用しなくなった。(原因は検査中ですが、おそらく生活習慣と過労と思われる)インシュリンがダメになったから食べ物から摂った糖分がエネルギーに変換できない。血液中に糖分ばかりが残る。でも、体はエネルギー源を欲しているから糖分を欲しがる。
手っ取り早い食べ物(たとえば清涼飲料水、スポーツドリンク)でエネルギーを摂ろうとする。
しかし、インシュリンがダメだからエネルギーにならない。では、体はどうするかというと
今まで蓄えておいた脂肪やタンパク質(主に筋肉)を消費してエネルギー源にする。(人間の体は上手くできているなあ)その結果、脂肪、筋肉がなくなり体重が減る。
でも、そんな無茶なことをしているから全身が疲労する。10分くらいの駅への歩きが耐えられないほどしんどく感じる。座っているのもしんどい。駅へ行くのにもタクシーを呼んでいた。僕は「オレって根性ないのかな?それとももう歳なのか」と思っていた。

ちなみに人間の脳のエネルギー源は唯一ブドウ糖だけらしい。人間の器官の内、脳だけで相当量のブドウ糖を消費するという。インシュリンの働きが弱っているから脳細胞は糖を栄養としてとりこむことが出来ない。栄養不足の脳みそだ。
僕はしばらくの間、脳の栄養不足だったようだ。あの「アルジャーノンに花束を」のチャーリーのように。その頃の日記はみんなひらがなだったのではないか?パソコンだからうまく変換してくれたけれど…。
高血糖の自覚症状としては全身の疲労感、脳の栄養不足、そして水分の異常摂取と多尿、視力の低下。
血液中の糖分が増えているから、人間の生命維持作用として水分を欲しがる。で、飲み続ける。
当然、多尿となる。そして、余分な糖を排出しようと尿に糖が混じる。だから糖尿病。

…糖尿病という名前
糖尿病と診断されるのはまず空腹時の血糖値がある。夜9時までに食事を終えて、朝のもっとも空腹のときに測る血糖値が110までが正常。それ以上になると糖尿病の疑いがある。
昔は尿に糖が出ると文字通り「糖尿病」としたらしいが、今は尿に糖が出ることよりもこの血糖値が問題だという。それとあとで書くが血液中のヘモグロビンA1c(エイワンシー)という値。
何でも尿に糖が出るのは血糖がかなり高い140-170くらいにならないと出ないらしく、そんなわけで昔は糖尿病であっても見過ごされていた例が多かったらしい。
それにしても「糖尿病」は聞こえが悪いよね。昔はそれが指標だったから仕方ないけど。
糖血症とかインシュリン機能障害症候群とかのが深刻でいいなあ。なんか尿って病名につくと
情けないよな。

ヘモグロビンA1c(エイワンシー)とは?
赤血球のヘモグロビンにブドウ糖が結びついて出来た物質。
これは面白いことにこの1ヶ月から2ヶ月を遡って、その頃からの血糖値がどれくらいだったかがわかるという指標。まるで化石を分析するような感じ。普通は4%から6%らしい。
6%をちょっとでも越えると「糖尿病です」と宣告されるらしい。
7.5%以上が長期間(どのくらいだろう?)続くと「合併症の危険が極めて高い」と言う。
入院時の血液検査で僕のヘモグロビンA1cの値は11%だった。とてつもない数字だ。
熱で言うと41度の熱が数ヶ月続いたということになるらしい。よく、合併症を引き起こさなかったものだ。そう、糖尿病はこの合併症が恐ろしいのです。

…糖尿病の怖いところ
まず自覚症状がないということ。僕のようにもろ自覚症状が出るのはかなり高血糖にならないと出ない。200や300では血糖値やヘモグロビンA1cを測らないとまったく自覚症状はないらしく
自覚症状が出るのはかなり危険な状態。自覚症状が出た僕の血糖値は711もあった。
入院するときにまだ仕事が残っていたので医師に「ちょっと仕事が残っているので、一日だけ
入院を遅らせたい」とお願いした。「今、測っている血糖値が200か300くらいならいいでしょう、でも500あったら絶対ダメです」と言われた。で、結果は711、家には帰れなかった。
自覚症状として怖いのは眼だった。視力が急激に落ちていたのだ。感覚的には近視がひどくなっていった。霞んでだりする。眼鏡が合わなくなった。
眼の検査をした。正直、ちょっと怖かった。眼底の出血などはありませんと言われたときは、
「ああ、よかったあ」と一息ついた。その眼科の医師がカルテの血糖値を見たときに
「よく無事でいられましたね、もう少し放っておいたら、あの世でしたね」と言った。
これは異常な高血糖で昏睡状態になるか心筋梗塞を起こすかの危険があったらしい。
しかし、糖尿病で一番怖いのは合併症。血液中に糖が多いとその結果、血管をボロボロにしてしまう。長期に渡ればなおさらである。
僕が個人的に一番恐れていたのが網膜症による失明だ。確か歴史家の梅棹忠夫さんがそうだったのではあるまいか。眼底の毛細血管が出血して視力低下、失明に至る。これは眼底検査してもらい今のところ出血はないとのことでほっとする。でも、定期的に検査しないと自覚症状もなしに
進行していることがあるので要注意。3ヶ月に一度はちゃんと検査しよう。
それと合併症で怖いのは腎臓障害、これも腎炎になって人工透析が必要になったら目も当てられない。でも、これも何とかクリア。他には血管の障害で当然、脳出血脳梗塞心筋梗塞、動脈硬化、また肝臓の障害、神経障害としてインポテンツ、血行不良による壊疽(足の切断)などもある。これまでの10日間で検査したところによると、この合併症は肝臓がフォアグラ状態の脂肪肝になっていることが判明、他は眼、腎臓、神経障害(こむら返りなどはあるが)はなかった。
頸動脈を超音波で調べる血管の検査も問題になる血栓などは見あたらなかった。ほっとする。
脂肪肝は中年にならばかなりの人がなっている症状、放ってはおけないが減量や生活習慣の見直しで元に戻すことは出来るらしい。この脂肪肝、肝臓の機能が低下して疲れやすくなるのでこの機会に治さなければならないし、脂肪肝のままなら血糖値も高いということで他の合併症も進むと言うこと。

…本当に怖いのは?
想像してみた。もし僕が711みたいな高血糖でどうしようもなくなって病院へ行かなかったらどうだったか?を。自覚症状のない200とか300くらいでこのまま普通に仕事をして食事を続け
酒を飲んでいたら…血液検査も忙しさに追われてサボり、ヘモグロビンA1cの異常もわからず、何かちょっと調子悪いけどまあ、歳のせいだろうとあと2ヶ月、場合によっては半年、1年と過ごしていたら…1年後にに突然、失明ということもあるらしい。突然、脳内出血ということもあるらしい。腎機能がやられてしまうこともあるだろう。
嫁の友人の父親がそうだったという。糖尿病であることもわからず歳のせい、歳のせいと思って血糖値が高めで過ごしていて突然の合併症、視力が極端に落ち、脳内出血を起こし寝たきりとなってしまう。
ある意味、僕は幸運だった。合併症も軽症で済んで(まだわからないこともあるが)糖尿病と自覚することが出来て。何か「糖尿病」っていいイメージないから何となく目を背けてるところってあるでしょ?
手遅れになる前に糖尿病とちゃんと真っ正面に向き合うことが出来たことはラッキーだった。

…糖尿病の種類
糖尿病はインシュリンの分泌が損なわれることで起こる。で、その糖尿病のにも違いがある。
一つは先天的にインシュリンが出なくなってしまったというケース。これは最近、3歳くらいから幼稚園児くらいで発症するらしい。こういう人に対して今の医学ではどうしようもない。
だから、一生涯インシュリンの注射を打ち続けるしかない。確か元巨人のガリクソンがそうだった。さて、糖尿病の種類、もう一つはインシュリンの工場(膵臓)の調子が悪くなり生産するインシュリンが半分くらいになってしまったケース。これはそのインシュリンの量によって内服薬で生産量を増やすことも出来るし、場合によってはインシュリンを打たないといけない。
これはケースバイケースで薬と注射とを併用することもある。
もう一つ、膵臓は何とかインシュリンを必要なだけ生産しているのだけれど、その効き目が悪くなってインシュリンを垂れ流しにしているケース。僕は尿検査の結果(この検査がけっこう時間がかかる。病院外部の検査施設で調べるらしい)、膵臓は頑張ってインシュリンを出してはいるらしいのだ。ただ効き目が悪くなっている。
それは何故か?
どうやら体内にあるチュウセイシボウに元凶があるらしい。
この中性脂肪は単なる余分な脂肪が溜まっているだけではないらしい。
こいつはある種のホルモンを出しているらしいのだ。
そのホルモンは元来インシュリンが持っている糖分をエネルギーに変換するという機能を邪魔するという何とも嫌ーなホルモンだという。
ある意味、こいつのせいで僕は糖尿病になってしまったのだ。
とても悪い奴なのである。
でも、この悪い奴は僕自身が好きで溜め込んだチュウセイシボウから生まれているのだ。
自業自得。ああ、僕は自らの体内にとんでもない悪魔を飼っているのだ。
今、僕は入院してインシュリン注射で血糖値を下げている。血糖値は昨日、今日、突然上がったわけではないので(ヘモグロビンA1cによってそれは明らかにされている)インシュリンでも簡単には下がらないらしい。
この先、退院して僕がインシュリン注射を日常的に必要とするかどうかも、これからの血糖値の推移にかかっている。
もし、インシュリン注射は必要ないと診断されたら、僕のやることは体の中に飼っている悪魔を追い払うことだ。チュウセイシボウ、そう肥満の解消しかサバイブする手はない。

…一日1600キロカロリーの病院食
病院食を食べ続けている。一日1600キロカロリーの食事だ。驚くほど少ない量です。
10日もするともう慣れたような気もする。
アルコールは8月26日に羽田空港でビールを飲んで以来、半月ほど飲んでいない。
僕の理想体重61キロに近づくまで、この食生活に慣れるしかないのだ。

…夕食前の血糖値121(いい感じ)