2004,9,17  入院19日目

(県立西宮病院1110)

午前6:43 昨夜は「ER?」を一話分観て寝ようとするが面白くて2話分観る。寝たのは12時過ぎ。就寝前の血糖値は224と高い。これは糖尿病患者の値だ。昨日、盗難のダメージでアドレナリンが出てインシュリンを邪魔しているのだろうか?夕食前のインシュリンの量は変えていないはずなのに。ここまでいい数字が出ていたのに…ショック。


…午前8:54 今日は曇り空、珈琲を買いに出ると小雨がぱらつく。相変わらず湿気は多い。この季節の日本のじめじめした気候に在るとギリシャの青空が懐かしい。あのとき、体調が良かったら他の会場や海辺や田舎町に出かけていたのに、と思うとつくづく身体の大事さを痛感する。
病室には食道の潰瘍を治療するヨシダさん、肝臓の検査のため入院しているノナカさん、同じ糖尿病のサトウさんがいる。みんな、かなりややこしい検査をしていて造影剤でのスキャンや胃カメラで苦しそうだ。絶食もしなければいけない。
病気のことを思う。今は糖尿病、高血圧、痛風(情けないな)これはみんな同じ根源、肥満が原因なのだから解決法は明解だ。ここに入院していると他の病気(合併症は別にして)は大丈夫かな?と心配になる。前立腺は大丈夫か?胆石は?尿管結石は?十二指腸は?変なところにシコリが出来ていないか? 腫瘍良性か?悪性か? 意外な病気で入院することなるのではないか?
そんな漠然とした不安感が沸いてくる。


…何だか太ってきたような気がする。ここでじっとしている分には1600キロカロリーでも多いのではないだろうか?


…午後2:40 昼食を食べ終わった頃、フロアの看護長(婦長)さんが部屋に来て「これですか?」と財布を届けてくれた。一つ下の階の男子トイレに捨ててあったのだと言う。現金は全額抜かれていた。小銭もキレイになくなっていたがカード類は無傷だった。ほっとする。
同室のヨシダさんの話によると以前、ヨシダさんがこの同じ病室に入院してたときにも僕と同じベッドに入院していた患者がバッグと腕時計を盗まれたらしい。ここが狙い打ちされていたの鴨知れない。内部のスタッフによる仕業か?
とにかく、これで実質的な被害は現金1500円くらいとカード再発行の手数料くらいだ。
朝、警察に被害届を出したばかりなのに午後にもう一度病院に来て貰い還付の手続きをする。
ま、一安心。みなさんお騒がせしました。
昼前の血糖値は131。


…午後5:43 夕食前の血糖値92と低い。昼にインシュリンは6単位しか打っていないのにね。
財布が戻ってきたり、CDで久々にECMのジャズを聴きながらうたた寝したせいで精神的に平穏状態になったからだろうか? 高血糖にECMがいいのかもしれない。
インシュリンの量も最大のときは朝から18,8,8,14だったが、現在は14,6,8,6と順調に減ってきている。今日は朝から血糖値114,131,92 問題は夜の血糖値だ。食後3時間半くらいでどうなるか?昨日は200越え、インシュリンがうまく効いて120くらいにならないかな?


…午後、「ER3」を観ていたらYTVのAさんが見舞いに来てくれた。 
デイルームで小一時間ほど話をする。Aさんも去年の暮れに眼の手術で一月ほど入院したのだ。話を聞くと僕の入院より格段に辛そうだ。3時間に渡る手術や術後もうつ伏せのままベッドで動けずにじっとしていなければならなかったと言う。K氏の胆石の手術の話やAさんの話を聞くと僕の入院ははっきり言って人間ドッグに長期で入っているのと変わらない。低カロリーの食事と一日4回の血糖値測定、インシュリン注射、それだけの毎日である。何も辛いことのない日々、低カロリー食が辛いでしょうと思う人もいるかもしれないけど慣れてしまえば満腹感もあるし言ってしまえば美味しいとさえ思う。ノナカさんやサトウさんら新入りの患者は「これっぽっち?」とか「あっと言う間に食べてしもた」とかこぼすけれど。
40歳で痛風になり、42歳で高血圧になり、47歳でとうとう糖尿病のお出ましとなった。
考えれば、いや考えなくとも成人病の王道、メインストリームを威風堂々と歩んできた。
このくらいの厄災で済んで(済むかどうかはこれからにかかっているが)御の字である。


…そのAさんからCDを2枚頂く。BEGINの波の音とインストの癒し系アルバム(DVDで沖縄の海の映像付き)とKEITH JARRETTのピアノトリオの最新アルバム。さっそく聞いてみる。
BEGINのアルバム、DVDを観る。なかなか鮮明な映像と波の音、途中から控えめなギターが聞こえてくる、映像は延々と沖縄の海…。これがなかなか和むのだ。思わず深い腹式呼吸がしたくなる。ため息ではない。
KEITH JARRETTはヒットだった(僕が買った訳じゃないが)。2001年にミュンヘンで録音されたもの。キースがソロで入って次第に興が乗ってきて好き放題にやりそうなギリギリのところでゲイリー・ピーコックのBASSとジャック・ディジョネットのDRUMSが滑り込んでくる。
そのタイミングが絶妙。トリオになるとある意味、重厚さは失われるが軽さが心地よい。透明感をともなったスイング。
ヘッドフォンで聴きながら横になると血糖値も下がる気分、低血糖になったりして。
特にゲイリー・ピーコックがいい、そう言えばスタン・ゲッツに「PEACOCK」というアルバムがあった。
ECMはちょっと懐かしい。僕はノンアルコールのJAZZだと思っている。サラサラ血液のJAZZ。
ソニー・ロリンズマイルス・デイビス、ピアノならバド・パウエルなんかは好きだけど酒と煙草の匂いがする。ECMはグラスの表面に水滴のついた冷たいミネラルウォーター、丁寧に入れた珈琲…といった感じ。
ジョン・アーバンクロンビー、リッチー・バイラーク、パット・メセニー、みんなiPodに入っている。糖尿病にはECM


…午後9:00 Yが見舞いに来る。都合3回目。ちょっと酒の匂いがするがこいつは飲まなくてもいつも酒臭い。デイルームで成人病談義を小一時間ほど。
そう、僕ら中高年は若いときはクレジットカードで飲み食いし、不規則な食生活、寝不足になり、運動をサボる。やがて、いつか郵送でその支払い請求が届く。僕限度額を超えて飲み食いしていたら大変なことになる。「脳卒中、一括払いで支払うこと」とか「肝硬変で支払うこと」「糖尿病で分割払い」なんて書いてあったら怖いなあなんて。どちらにしても一括払いは負担が大きい。


…今日も双葉温泉、気持ちいい。 プロ野球のスト決定!