10/9/28 就職と結婚と入れ歯

朝、雨が上がっている。
霧たなびく六甲の山は陰影があって好きです。
陽も差してきた。


昨日の夜の話。
眼鏡堂さんから歌舞伎勉強会の案内がメールで送られてきた。
講師の堀越氏のインタビューのWEBページを覗いていると…。
ヒロが、表で喧嘩してる、と僕の部屋に来て言う。
誰かが怒鳴ってる、さっきも声がした、と不安げ。
あ、これ?
とWEBページにある大向こうのかけ声の再生をクリック。
「なかむらやあ!」
いつもヘッドホンで聴いてたiMacの音、ジャックがはずれて漏れてた。
ごめんさない。
喧嘩じゃないよ。
http://www.1101.com/oomukou/2010-01-26.html


…朝は阪神優勝対応のスポーツ部の打ち合わせ。
現段階では10月5日の神宮、6日7日の横浜で胴上げの可能性あり。
横浜になると素材送稿などが面倒になりそう。
でも、今日の巨人戦@甲子園で負ければ5日は消える。


…昼過ぎ、天満橋セルジオと会う。
大介さんのミニドキュメント“追憶”の撮影打ち合わせ。
とにかくフットワークを軽く今年中にインタビューを撮りましょう。
久々に天満のカフェ『Diech ディエチ』へ行くが閉店していた。


早めに帰宅。
自転車で走るが雲行きが怪しい。
神戸方面に黒く厚い雲、一瞬竜巻か? と見間違う。



…ほぼ同時に読んでいた2冊の新書。
内田樹『街場のメディア論』と生島淳『スポーツを仕事にする』
2冊とも冒頭は“仕事の適性”について同じような指摘をしている。
『スポーツを仕事にする』は自らの就職体験談で始まる。
こう書いている。


 自分が本当はスポーツを書くことを仕事にしたかったのだ、と思い当たったのは
 愚かにも、会社勤めをしてからである。
 気づくのが遅すぎたかもしれない。
 いや、振り返ってみると、なんらかの形で仕事をし始めてみないと、
 「本当にやりたい仕事」は見つからないものだと思った。
              (生島淳『スポーツを仕事にする』より)


内田樹『街場のメディア論』は若い学生に向けての講義がもとになっている。
第一講「キャリアは他人のためのもの」で適性について書かれている。


  就職というのはその点で「結婚」と似ています。
  みなさんは結婚というのは
  「自分にぴったりした配偶者に出会うこと」から始まると思ってるでしょう。
  それが間違いなんです。そうじゃないのね。
  「まず結婚する」んです。そこから話が始まる。
  結婚してみないと、自分がどういう人間なのか、
  そもそも結婚に何を求めているかなんて、わからないものです。
  結婚してはじめて、自分の癖や、こだわりや、才能や、欠陥が露呈してくる。
  「ああ、オレって『こういう人間』だったんだ」ということがわかる。
  僕が「こういう人間」なのかと身にしみてわかったのは、結婚して七年してからでした。
               (内田樹『街場のメディア論』より)


「してみないとわからない」
「してはじめて自分がどんな人間かがわかってくる」
身に染みてそう思う。
20代のころ、僕がいかに教養もなく愚かしくバランスを欠いた人間だったか。
そんな人間に、自分が何に向いているのか、なんてわかるはずがない。
“まず結婚するんです。そこから話が始まる” 
でもなあ、そう言われても結婚なんて面倒なことそう簡単には出来ませんよね。
おかげで就職もせず、結婚も遅れに遅れてしまった。


内田先生のこの教えは生島氏の体験談で実証されている。
その通り!とかけ声をかけたい。
でもなあ、キャリアも峠を越えた今、それに気づいても…と。


でも、『街場のメディア論』には目のウロコが落ちるような話が書かれている。
今の僕にとって身近でとってもタメになること。
入れ歯の話です。


  結婚は入れ歯と同じである。という話があります。
  これは歯科医の人に聞いた話ですけれど、
  世の中には「入れ歯が合う人」と「合わない人」がいる。
  合う人は作った入れ歯が一発で合う。
  合わない人はいくら作り直しても合わない。
  別に口蓋の形状に違いがあるからではないんです。
  マインドセットの問題なんです。
  自分のもともとの歯があったときの感覚が「自然」で、
  それと違うのは全部「不自然」だから厭だと思ってる人と、
  歯が抜けちゃった以上、歯があったときのことは忘れて、
  とりあえずご飯を食べられれば、多少の違和感は許容範囲内、という人の違いです。
  自分の口に合わせて入れ歯を作り替えようとする人間は
  たぶん永遠に「ジャストフィットする入れ歯」に会うことができず歯科医を転々とする。
  それに対して、「与えられた入れ歯」をとりあへずの与件として受け入れ、
  当たれられた条件のもとで最高のパフォーマンスを発揮するように
  自分の口腔中の筋肉や関節の使い方を工夫する人は、
  そこそこの入れ歯を入れてもらったら、
  「ああ、これでいいです。あとは自分でなんとかしますから」ということになる。
  そして、本当にそれでなんとかなっちゃうんです。
  このマインドセットは結婚でも、就職でもどんな場合でも同じだと僕は思います。
  最高のパートナーを求めて終わりなき「愛の狩人」になる人と、
  天職を求めて「自分探しの旅人」になる人と、装着感ゼロの理想の入れ歯を求めて歯科医を  
  さまよう人は、実は同類なんです。
  僕がこのキャリア教育科目でみなさんにぜひお伝えしたいのは、このことです。
                   (内田樹『街場のメディア論』より)


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街場のメディア論 (光文社新書)

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