ぷよねこ減量日記 2009/5-2016/1

旧ぷよねこ減量日記です。2016年1月に新旧交代してます。

2010/11/22 なあかむらやあ!


平成中村座『法界坊』@大阪城西の丸庭園
予報は雨だったが何とか上がったようだ。
トートバッグには阪神地下の柿安で買ったお弁当とペットボトルに純米吟醸
ヒロとばあばあの3人で大阪城へ登城、「いざ、参りませう!」 
 


特設の芝居小屋、靴を脱いで上がる。
リラックス出来ていいものですね。
舞台に向かって左手の2階席最前列(とはいえ2列しかないけど)に陣取る。
ここも桟敷席と同じ15000円、でも舞台にかなり近くて見やすいです。


12時開演、2時まで休憩がないとアナウンスが入る。
ならば先に腹を満たしておこうとランチタイム。
柿安の黒毛和牛の牛肉弁当を頂く。
甘辛い牛肉と冷えた純米吟醸がよく合うこと。
さあ、開演!
 


『法界坊』ってどんな話かはこちらをどうぞ。
http://www.shochiku.co.jp/cinemakabuki/lineup/11/
 


以下、ツイート風に感想を記す。


・『歌舞伎手帖』の筋書きを読んでも一度ではわかり難かったリテラシーの低い僕ですが、
 見ているうちに筋も自然とわかる舞台でした。
 主人公の乞食坊主 法界坊が憎めない小悪党と紹介されている。
 盗み、恐喝、詐欺、しかも2人も殺して小悪党じゃないだろって思いながら見る。
 こういう人物像をコミカルに感じる江戸時代の感性ってどんなんだろ?
 でも、確かに勘三郎が演じる法界坊は憎めないんだよな。
 江戸時代のピカレスクロマン?
 業の強い者ゆえの魅力があるのだろうか。
 不思議だ。


・マジメな若者と変なオジさんたち。
 とにかく勘三郎が何でもありの大暴れ。
 舞台を花道を客席を八艘飛び。
 笹野高史亀蔵も負けちゃいない。
 歌舞伎と言うより松竹新喜劇か小劇場の演劇を見ているかのよう。
 あえて、だろうけど勘太郎七之助は真面目に歌舞伎をしている。
 真面目な若手をあざ笑うかのようにオジさんたちが茶化しふざけまくる。
 まさに、変なおじさん。
 チョイ悪の不良中年が面目躍如。
 その対比が味になっている。


・太った豚のようなお組(扇雀)がなぜかモテモテ。
 きれいな野分姫(七之助)の方がなんぼかマシだろうに。
 このあたりは文楽なら違和感がないだろうなと思いながら見る。


片岡亀蔵という役者は初めて見た。
 歌舞伎役者らしくない風貌です。
 最初に登場した時、生瀬勝彦かと思った。

 
・楽屋落ちの台詞も違和感なく楽しめた。 
 橋之助に「見た、見た、見たの三田寛子
 息子の勘太郎には「おめえのことなんて小せい頃から何でも知ってんだ。
 もうすぐ親父になるらしいじゃねえか、しっかりしろよ、この野郎」
 

勘三郎が客席を歩き回る場面がある。
 この日は花道の奥にいた中村獅童を見つけた。
 「おいおめえは中村獅童、こんな隠れた席にいてもわかるんだよ」
 丼さんの時は横山やっさん(太平サブロー)だったらしい。
 後日聞いたところによると眼鏡堂さんの時は鈴木京香さんだったらしい。
 毎回、誰か有名人が必ずいるのだろうか?


・お大尽席というのがある。
 舞台ど正面の2階席で金屏風の前に毛氈を敷いて座る。
 お茶子さんが世話してくれてお土産つき。
 冒頭で勘三郎さんが声をかけてくれる。
 36000円だそうです。
 「よ、お大尽!」
 


 驚いたのは舞台の幕の中にも2階席がある。
 さらに舞台の上、大夫や三味線の前に3人座っている。
 幕が上がると客席から何とも言えないどよめきが起こる。
 「あんなとこに座ってはる」「ええなあ」「でも恥ずかしいわ、見世物みたいやん」
 あの席なんて言うんでしたっけ?
 あ、羅漢席ね。


・フィナーレは圧巻に桜吹雪!
 舞台奥の幕が下りて背景に大阪城が見える仕掛け。
 2階席なので天守閣は見えなかったが紅葉の桜の借景、雰囲気ありました。
 芝居の舞台は隅田川なのに大阪城はないだろうけど…そんなことはどーでもいいのだ。
 お城の前でど派手なゾンビダンスで幕が下りる。
 (この時点で法界坊も野分姫も死んじゃってますからね)


何人も殺されてるし穴に埋められてるし亡霊は踊り出すしのトンデモ世界。
ハッピーエンディングでもないはずなのに、めでたい、めでたいって気持ちで大団円を迎える。
花吹雪の歌舞伎マジックでしょうか。
参りました。


   なかむらやあ!




串田和美 演出・美術
隅田川続俤 法界坊(ほうかいぼう)
  聖天町法界坊  中村 勘三郎
  道具屋甚三郎  中村 橋之助
  永楽屋手代要助実は吉田松若  中村 勘太郎
  花園息女野分姫  中村 七之助
  仲居おかん実は七郎女房早枝  中村 歌女之丞
  山崎屋勘十郎  笹野 高史
  番頭正八  片岡 亀蔵
  永楽屋権左衛門  坂東 彌十郎
  永楽屋娘お組  中村 扇雀


同じ配役でシネマ歌舞伎にもなってます。