2011/1/7 七草がゆとサムルノリ

今朝は七草がゆ
せいなずな、ごぎょうはこべらほとけのざ、すずなすずしろ、お餅入り。
去年も全く同じことを書いている。
http://d.hatena.ne.jp/shioshiohida/20100108/1262913134
変わらないことの幸運を実感する。



…昨日、映画を見終わったあとiPhoneセルジオからメールが届いていた。
「今から休み中の大学教師と打合せ。美人らしい。」
その後、またメール。
「××の人は別嬪でした。でも、それだけでした(笑)。そんなもんです。」
僕は即座に返信した。
「別嬪さんと言葉を交わせただけでも丸儲けぢゃないか。」
五十を過ぎたら贅沢言っちゃいけんよ。
志は低く、それがこの没落していく日本で楽しく生きるタクティクスの一つ。
(本意じゃないけど)
そういうめんどくさいのは若い人にまかせましょう。
僕らはもう『坂の上の雲』を見上げる世代ではない。


…今日はYTVへ顔出しして新年の挨拶。
午後、A氏とスターバックスで歓談、堂場舜一『チーム』をもらう。
ロケ場所に予定しているスポーツバーへは未だ連絡つかず。


…夕方から韓国の音楽集団による『サムルノリ“歌舞楽共感”』を見る。
場所はいつもの兵庫県立芸術文化センター、自転車でコンサート、ですね。
チケットはヒロが予約していて実はばあばあ(義母)を誘っていたのだがドタキャンされた。
で、僕にお誘いがあったというわけ。
チケットは何と1000円、ツーコインコンサートです。
大ホール、3階の右バルコニー席。
初めてのバルコニー、なんだか宙に浮いているようで高所恐怖症の人は辛いだろう。


ヒロがこのコンサートを見たいと思ったのはパンソリが聞きたかったから。
パンソリとは朝鮮の伝統民俗芸能、歌い手と太鼓で物語性のある唄を歌うというもの。
ヒロはパンソリを描いた映画『風の丘を越えて』が大好きなのだ。

    


『風の丘を越えて』は1993年の映画で僕も観た。
パンソリに生きる一家の物語。
芸の奥底にある恨(ハン)を極めるために娘に薬を飲ませ失明させてしまう。
芸のためなら女房も泣かす程度の春団治も真っ青なのだ。
ちょっと怖い映画でもあるが印象的なシーンがある。
♪アリアリラン、スリスリラン と父子3人が歌い踊りながら峠を下る。
5分のロングショット、心に響く美しも悲しい画だ。
  


「サムルノリ」というのはあちこちで聞いた覚えがあった。
韓国の音楽集団というのもなんとなく知ってはいた。
見て驚いた。
頭に長いリボンをつけた帽子をかぶった4人のおじさん(若者)が登場。
くるくるとリボンを回し続けながら激しく太鼓や鐘を叩き踊りまくる。
なんだか訳は分からないが見ていると体が自然と動く。
楽しい、かもしれない。
引き込まれている。
超絶技巧もあり。
凄い。



「パンソリ」が始まる。
歌い手と太鼓。
歌うのは韓国の人間国宝アン・スクソンさんというおばちゃん。
一声うなると戦慄が走る。
背筋がぞくっとした。
清んだ声というわけではないがよく通る声。
アルトだ。
こぶし(?)が効いている。
強いて言えば美空ひばり、あるいは天童よしみのような声質。
何を唄っているのかは全くわからない。
でも、鳥肌が立つ。
聞いたことのない人にとっては空々しい表現になってしまうが魂の奥底に訴えてくる。
アンさんが身振り手振りで切々と訴えかける。
ぞくぞくっとする。
こんなに鳥肌が立った経験はない。
パンソリは鳥肌の芸か。


歌い終えて解説がある。
「この唄は新年にあたり、日本のお客様に平安と無事、
     そして福をもたらす祈りをこめた唄です。」
とてもそんなおめでたい唄には聞こえなかった。
おばちゃんに恫喝されている気分だった。
  


フィナーレは「パンノルム」
“芸人と観客が広場で一緒になって楽しみ、沸き上がる気を祈る遊び”
よくわからないが、こうパンフレットに書いてある。
観客がステージに上がり太鼓隊といっしょにアリランを踊る。
100人くらいの人が舞台に上がる。
本当に楽しそうだ。


およそ2時間半、堪能しました。
昨日まで全く期待してなかったのにね。
しかも1000円!
でも、次はもっといい席で見たい。
いい席でも2000円なのだから。
9日に東京の新宿文化センターでも同じステージがある。
S席5500円、A席5000円。
この差はなんだ?
(お金の話ばっかですいません)


三十路さんの歌舞伎レビューに“一瞬、他のことを考えてごめんなさいシリーズ”があった。
僕も今回のステージを見ながら他のことを考えてしまいました。
『サムルノリ』太鼓叩いて鐘鳴らし踊るパフォーマンス、熱演が延々と続く。
そのリズムがこう聞こえて来た。
“ソンナノカンケイネエ、ソンナノカンケイネエ、ソンナノカンケイネエ”
脳内に海パン姿の男が現れ、もの凄い勢いで細胞分裂して増殖していく。
そうなると太鼓の音が“そんなの関係ねえ”としか聞こえなくなり、
舞台のそでから100人くらいの海パン男が出てくるところを想像した。
すまんかった。


…深夜に『探偵ナイトスクープ』の感動篇を見る。
番組の構成を担当している作家の百田尚樹Twitterで何度も宣伝していた。
VTRを見ながら『永遠のゼロ』が甦る。
わずか、そう、わずか65年前のこと。
死ぬことがほぼ確実だった戦場で妻の妊娠を知った31歳の夫が検閲を逃れ出したハガキ、
届いたハガキを肌身離さず死ぬまで持っていた妻、
そこに何が書かれていたかを65歳にして初めて知った息子。
10分程度のVだがヘタなドキュメンタリー番組より訴えるものがあった。
それにしても奈良の文化財研究所の再現能力の凄さ、これにも同じくらい感動。
参考ブログ http://tv.gazer.es/2011/01/07/4164/