2011/1/12 世之介のことなど。

みうらクリニックへ行く。
先週の水曜日に採血した検査結果が出る。
珍しく肝機能の数値が少し高い。
コレステロール中性脂肪も尿酸値もわずかだが基準値をオーバーしている。
正月の暴飲暴食の報いだろね。
それに採血は朝食を食べて2時間後くらいだった。
ドクターもこれくらいなら気にする必要は無しとのこと。
血圧も129-68、気になるヘモグロビンA1cは基準値内の5.8だった。
どっちにしろ体重を5キロ減らせば全てが解決する。
そう言われて四半世紀近く経っている。
太ったまま死んじゃうのもイヤだな。


昼イチでスポーツニュース班会。
ロンドン五輪へ向けての取材対象をリストアップする。
おい、ロンドン五輪が来年?
去年、北京オリンピック見たような気がするのに…。
(実際には3年前です)


そのまま今日はニュースデスク。
今月は久々に番組ディレクターをするのでスケジュール表や台本を書く。
18日に収録がある。
うまくいかないことばかり想像する。
昔からいつもそうだ。
9時半過ぎに帰宅。
今日は白星、一滴もお酒を飲まなかった。


でも、仕事をするとドッと疲れる。
病気になったような気分になる。
明らかに現実逃避。
明日も仕事だと思うと悲しい。
五十路超えなのに登校拒否児童と同じメンタリティ。




吉田修一横道世之介』を読了。
読みにくい小説でもなくむしろ逆、なのに手間取ってしまった。
読みながらふと歩みを止めてしまうこと多し。
思いにふけり小説の主人公がいつのまにか自分になってる感覚。
80年代、九州の田舎から東京へ出てくる青年 横道世之介の1年間の物語。
波瀾万丈というわけではない。
ドラマチックなことはそれほど起こらない。
僕や、多分ほとんどの学生と同じような1年のはず。
横道世之介はどこにでもいる平凡な学生だ。
なのに、読んでいてじーんと来たりする。
小説に登場する80年代的なアイテムや時代の空気を感じるのは楽しい。
僕はすでに働き始めていた時代だけど精神年齢は学生以下だったので同じように懐かしむ。
でも、小説の主役はそれではない。
あくまで世之介という平凡な大学生の魅力。
不思議だ。
突然挿入される世之介以外の登場人物の○○年後の描写にハッとさせられる。
凡庸な青春小説になってしまいそうなところに辛めのスパイス。
この仕組みが効いてる。

横道世之介

横道世之介


吉田修一は『パークライフ』とあともう一作読んだ記憶がある。
どちらもちょっと底意地の悪いところがあって好きになれなかった。
横道世之介』はちょっと違う。
上手いなあと思うのはそれぞれのエピソードの顚末を最後まで書かない省略のテク。
読者を突き放して場面転換、どうなったかは次のシーンで明らかにされる。
意図的な映画的省略を多用している。
これも効いている。


世之介に祥子という風変わりなガールフレンドが出来る。
最初は、うっとおしい女だな、と思っていた祥子が読みすすむに連れ魅力的に映っていく。
人は変わるのだ。


さて、次は同時に読んでいた竹本住大夫文楽のこころを語る』だ。
眼鏡堂書店ノミネーツの高田郁『銀二貫』は図書館で予約した。
先日クオカードで購入した文庫本、安住洋子『日無坂』と池澤夏樹『虹の彼方に』
これも順番待ち。
図書館で借りているマクドゥーガル『BORN TO RUN 走るために生まれた』
これも貸出期限が迫っている。
ジェフリー・アーチャー『遙かなる未踏峰』上下巻も読みたい。
2段組500ページの大作、谷甲州『単独行者』もデスクの傍らに積まれている。


今日、amazon古本市場から佐藤泰志海炭市叙景』が届く。
一昨日見た映画の原作だ。
ちょっと読んでみる。
最初の5行で泣きそうになった。
映画を見てるからだろう。
でも、こみあげてくるものに自分でも驚く。
まだ若い廃墟、と題された映画でも冒頭に出てくる兄妹のエピソード。

 
  待った。ただひたすら兄の下山を待ち続けた。
  まるでそれが、わたしの人生の唯一の目的のように。
  今となっては、そう、いうべきだろう。
  冬の夕暮れが急速に近づいている。そろそろ見切りをつけるべきかもしれない。
  そのきっかけがわたしには見つからなかった。
  第一、まだ希望を持っていた。
                 (『海炭市叙景』第一章より)


これだけ読んで涙ぐむなんて映画見てない人はなんのこっちゃ?でしょうね。
短くリズムを刻むような文章に緊張感が漂う。
佐藤泰志は40歳で自死した函館出身の小説家。
この小説は「すばる」に載った作品。
「すばる」「群像」「海」「文学界」とか懐かしいな。
いつのまにか文芸雑誌で小説を読むことはなくなってしまった。 

海炭市叙景 (小学館文庫)

海炭市叙景 (小学館文庫)


泣ける本で思い出した。
僕が一番泣いたのは4年前に読んだ文庫本。
清水久典『死にゆく妻との旅路
わずか200ページほどの短いノンフィクションだ。
泣けて泣けて、どうしちゃったんだろと驚くほど。
たまたま一人でレンタカーを運転してる時だった。
信州の峠道に車を停めて最後の30ページほどを読んだ。
本を読んでマジ泣きしたのは初めての体験だった。 

死にゆく妻との旅路 (新潮文庫)

死にゆく妻との旅路 (新潮文庫)


泣いてばかりいるみたいだ。
眼鏡堂さん並?
普段はテレビドラマ見ても泣かない方です。


その『死にゆく妻との旅路』が映画化されたらしい。
主演は三浦友和石田ゆり子
ちょっと小ぎれい過ぎる気がするが映画だから仕方ない。
2月下旬公開、泣けるかな?