2011/1/26 十三 友川カズキの夜

今日は午前中にナレーションを書き、午後から録音、ミキシングして終了。
番組の仕上げについてはちょっと反省あり。
出演者が全員スポーツ選手なのでバラエティ的編集を少し躊躇してしまった。
結果、ちょっと中途半端になってしまった。
NHKが民放っぽくやってみました、みたいな印象が残る。
やるときは躊躇わず徹底的にやった方がいい。
次回への反省点としよう。
と、書いて次回って いつなんだよと思う。
お前は若手か? と自分に突っ込む。
ひたすら悲しい。


今日は飲まなかったが濃いものばかり食べた気がする。
昼は福島の「上等カレー本店」、ここはデフォルトで卵黄がついてくる。
夜はG順と同じく福島の人気店「大吾郎商店」でつけ麵。
少しでもヘルシーかなと思い限定メニューのトマトつけ麵を食べる。
つけ麵イタリアンってな感じの味わい。
この店もデフォルトで2玉のボリューム。
帰宅すると部屋にカレーの香りが漂っていた。
寝る前なのにちょいカレーの誘惑に負ける。
弱い自分。
ひたすら情けなし。


…仕事終わりで十三へ出る。
レイトショー『花々の過失』@第七芸術劇場。
会員料金1000円、数えたら客は15人。


友川カズキのドキュメンタリーフィルム。
フォークシンガーにして詩人、絵描き、競輪愛好家である。
Dai氏の著作により僕は中学バスケット部のボランティアコーチであったことを知っている。
撮影&監督はフランス人のヴィンセント・ムーン。


この映画はずっと見たいと思っていた。
ちょうど2年前の今頃、大阪のシャングリラでライブを見た。
満員の会場で4時間以上立ちっぱなしはキツかったが友川カズキの歌には心底感動した。
その時にビデオカメラで撮影していたのがヴィンセント・ムーンと彼のスタッフだった。
当日の日記に書いている。


  ライブの様子をフランス人の若いカメラマンたちがHDのデジカムで撮影していた。
  Vincent Moon(ヴィンセント・ムーン)という映像作家だと言う。
  友川がステージ上で彼ら3人を紹介する。
  ニューヨーク在住のフランス人で全員が20代。
  「撮りたいと言われて最初は断ろうかなと思っていたけど、
   彼らの作品見たらすごくいいんだよ、これが。
   じゃあと撮り始めたんだけど、すごいの。今日で5日目だけど彼らは休まない。
   3交代制でずーと撮り続けてるのよ、ほとんど寝てないんだよ。」
  出来上がったら是非とも見たいと思う。     
                           (2009/2/28)


去年、WEBで予告編を見つけた。


チラシにはこんな宣伝文句が書いてある。


  詩人、歌手、画家、競輪解説者、エッセイスト、俳優、酒豪。
  無頼詩人のロマンを奇蹟的に体現する表現者友川カズキ
  「人と人は別れられないんだよ。出逢うだけなんだ。」
  「こんな時代が大嫌いだ。私は永遠に唾をはく。自分にかかってもいいんだよ。」
  叫ぶ友川を、新進気鋭のフランス人映像監督ヴィンセント・ムーンがとらえた、
  魂に響くひとりの男の美しい人生ドキュメント。
  デンマークコペンハーゲンドキュメンタリー国際映画祭(CPH:DOX)にて
  Sound and Vision Award 2009 を受賞。2010年日本公開予定。


で、映画『花々の過失』ですが…。
正直、イマイチよくわかりませんでした、という感想です。
絵を描いているシーン、街を彷徨い歩くシーン、
一人暮らしのアパートで競輪中継を見ているシーン。
それぞれは映像クリップとしては悪くないのだけれど全体として何が言いたいのか?
僕の感受性ではわかりませんでした。


ヴィンセント・ムーンらしい手持ちカメラのクローズアップのセンスは嫌いじゃない。
でもなあ、1時間も見せられるとちょっと気分が悪くなってしまう。
というかその前に飽きちゃうんですよ。


友川カズキの周辺の人の話し方が気に障る。
僕とは単に波長が合わないだけなのだろうけど…。
彼に心酔しているプロデューサーとか仲間の絶叫詩人とか。
狂信的に見えて息苦しい。


見たかった友川カズキの映画ではなかった、ということ。
芸術ごっこしてるだけにしか思えなかった。
見る側の勝手な思いこみだから妥協する類のものではないけどよくあることです。
ベースをライブの記録映像にしてインサートで少しだけ日常を見せて欲しい。
見る側の勝手な希望です。


感動したライブの感想を再録(再アップ)します。
興味があれば読んでください。


  ほとばしる破裂音。
  59歳、情念の嗚咽。
  友川カズキは口から汚れたものを吐き出すように歌う。
  心拍数を上げ、血圧を上げ、血糖値を上げて、身震いするように歌う。
  悪霊に取り憑かれたように。
  でも、いいんだなあ、これが。
  秋田弁のトークも面白い。
  久しぶりに声を出して笑った。
  頭脳警察のドラマーも上手いなあ。


  休憩をはさんで2部のステージ。
  酒もいい感じでまわってきた様子。
  ステージで紙コップで飲んでいるのは焼酎の水割りだろうか。
  後半に歌った『ワルツ』という曲がいい。
  ずんちゃちゃずんちゃちゃ、マイナー(短調)のワルツ。


    流れて そしてキミ ぼろぼろになるのだや キミ
    夢はあてなく宙舞い 雲みたいに漠々とあるのだや


  友川カズキは秋田訛りで歌う。


    なーがれて そーして ツィミ(あるいはチミ)
    ぼろぼろになるのだや ツィミ(チミ)


  伴淳か、由利徹を思い出す。
  (伴淳は山形、由利ちゃんは石巻出身だったか)


  この歌を聴きながら不思議な感情が目ざめる。
  友川カズキというシンガーがたまらなくいとおしくなった。
  (ホモセクシュアルな感情とは違う)
  この人は命を削って歌っている。
  このまま…死んでしまうのではないか、と。
  詩が、聞き手の心臓に突き刺さる。


    さらすのは恥しかない ありのままあらんかぎり
    血肉(けつにく)とて、いつかは 皮膚を出て不明になるのだや


    切なさを生きてキミ 前向きになるのだやキミ
    物語は螺旋に この世からあの世へと駆けのぼる


    冬空を蹴散らしてキミ いさり来る春もまたある
    春雷に御身を 遊ばせてきっと復讐産むのだや


    生きても生きても ワルツ
    死んでも死んでも ワルツ
    出会いも出会いも ワルツ
    別れも別れも   ワルツ  
              (作詞/作曲/編曲 友川かずき


  ライブの前に藤島大『無償の放熱』を読み返した。
  能代でバスケットボールのコーチをしていた若き日々の回想ドキュメント。
  友川カズキの歌を聴きながらいくつかの映像が浮かんだ。
  冬の能代、一張羅のコートを着た及位典司(本名 のぞきてんじ)が
  自転車で走っていく姿 が。
  また、佐々木昭一郎のドラマ『さすらい』で、勤労青年を演じた好青年の笑顔が。
  あるいは、Number 誌上で見た川崎の一人暮らしのアパートでタバコを吸っている写真が。


  アンコール。
  最後に歌ったのは『生きているって言ってみろ』
  一期一会、歌ってやるよと手抜き無しの絶唱だった。


  4時間半立ちっぱなし。
  加えてタバコの煙で燻され続けて燻製になった。
  外の空気で生き返った。       
                    (2009/2/28の日記より)


友川カズキ『ワルツ』です。


…思えば今年二度目の十三。
七芸では『海炭市叙景』についで2本目の映画でした。
去年も1月に七芸で『牛の鈴音』を見た。

映画にイマイチ心が動かず酒を飲み気分じゃなかった。
鯛焼きを1個、買い食いして帰宅。