スタジオまでの道すがら、流れてくる芳香に立ち止まる。
植え込みに沈丁花が咲いていた。
春よ、来い。
夜はA部さんを囲む会でもつ鍋で飲む。
こんな時節でもお店は混んでて活気があり、それが嬉しい。
阪神大震災の時に神戸支局長だったA部氏の体験談を聞く。
あの惨状だった三宮で飲み屋が再開した時の感動を聞く。
神戸の時、仮設住宅に入居が始まったのは5月くらいだったという。
それまで4ヶ月くらいは避難所生活だったということか。
A部氏はその後長期間に渡り仮設住宅の独居老人の取材を続けた。
高齢者は自分の住んでいた場所から遠く離れたところへ住ませてはダメだと言う。
貴重な体験談。
でも、そんな人が僕らにチェーンメールを送ってきた。
例のニュースにまでなった関電の友人からというメールだ。
おかしいだろ、携帯メールで広めてくれというのは。
時が時だけに、内容が内容なだけに、信じてしまう人が後を絶たなかったのだろう。
ある意味で悪質だと言える。
僕はA部氏から来たので信じてしまった。
震災時に最前線で取材した支局長ともあろう人が…!
誰からのメールだったのか?
ちゃんとウラをとったのか?
誰と誰に送ったのか?
赤ワインを飲みながらその責任を徹底的に追求し酒宴は盛り上がった。
あ、そうそう。
一時安否不明だった仙台の叔母さんからメールがあり無事が確認されたことは日記に書いた。
夜は避難所生活だ。
叔母さんは仙台の国分町でラウンジをやっている。
今日から店を再開すると電話があった。
震災の取材してるテレビ局の人に来てもらうように宣伝しといて、と言う。
たくましい。