2011/6/4 我の嘆きをおほふが如し

「ええなあ、シオダはんは。自分の腕ひとつで仕事が出来て、これこそ男の仕事じゃ。」
言われたのは20代のころの僕、言ったのは池田高校の蔦文也監督だ。
ドキュメンタリーの仕事を通じてひょんなことから蔦先生と欧州旅行をすることになった。
「わしら宮仕えやから、しょうもない。」
旅先のドイツでビールを飲みながら、フリーの番組ディレクターをしていた僕にそう言った。
甲子園夏春連覇など数々の偉業を達成した名将蔦文也
今思えば、冗談ですよねセンセイ、と思うくらい恐れ多い言葉だ。
当然、外交辞令も含まれてるだろうし、ガイド役の僕を持ち上げてくれたのだろう。
言われた時、僕は、高校教師ってのも大変なんだろうな、と思った。
僕は先生の偉大さには何の敬意も払うことなく、同情めいた言葉で返したような記憶がある。
思えば、人生のなんたるかを全く解していない阿呆でした。
先生から学ぶべきことは山ほどあったのに。
人生において、僕はチャンスボールをことごとく見送り続けてきた。


当時、旅先で先生と撮った写真が数枚ある。
なーんにも分かってない放漫な顔をした僕が写っている。
サイテーだ。

  バイエルン州ウルムにて 1985年12月
  
 


…朝バイク。
芦屋浜の住宅街を通る緑地帯にタイサンボクの花が咲いていた。
タイサンボクは酒蔵通りの街路樹、中央図書館のあたりに植えられたている。
梅雨前の季節にいつも強い柑橘系の香りが漂う。
見上げると大木の上の方で白い大きな花を咲かせている。
今朝見たタイサンボクの花は目の高さにあった。
その大きさにギョッとした。
人の頭ほど大きく、どこか造花のようだった。
カメラを持ってくるのを忘れた!
朝食後、戻って撮影する。
斎藤茂吉がタイサンボクについての歌を残している。 


  ゆふぐれの 泰山木の白花は われの嘆きを おほふがごとし  茂吉


タイサンボクの花には大陸的なスケールの大きさがある。


タイサンボク@芦屋浜


…梅雨の晴れ間、正午の気温32度の真夏日となる。
おつとめは今日もニュースデスク当番。
関西学生サッカー選手権決勝を教育テレビで見る。
応援してた大阪体育大阪南大に1-3で敗れる。
昨日、ソフトバンクの連勝を止めた阪神は杉内、馬原のリレーに完封負け。
好投の能見も報われず。
不可解な真弓采配もあったが見応えある試合でした。
それにしてもソフトバンクの後半、代打、ブルペンの層の厚さは圧巻。
オーティズ、カブレラ、松中、さらに柴原もいるの?


中継後、ヒーローインタビューの撮影をめぐりちょっとしたミスがあった。
事後処理で在阪各局のデスクと電話連絡、事なきを得る。


  こころよく 我にはたらく仕事あれ それをしとげて 死なむと思ふ  啄木


いつもは暇なので仕事が出来て嬉しい。
死なむとは思わないけど。