2011/6/14 ぷよねこ タカラヅカへ行く。

今日は家族で歌舞伎、じゃなくて宝塚歌劇です。
3月に眼鏡堂氏に誘われ『愛と青春の宝塚』を梅田芸術劇場へ見に行った。
大石静脚本の太平洋戦争前後の宝塚少女歌劇を舞台にしたミュージカル。
震災一週間後、心のセンサーが敏感になっていたせいか不覚にも二度三度落涙してしまった。
この観劇体験で点火、まさか五十路を過ぎてタカラヅカとは想像もしなかった。
愛と青春の宝塚』は厳密に言えば宝塚歌劇ではない。
宝塚フレーヴァーの舞台。
キャストはOG中心で男優も出演、演出も宝塚プロパーではなかった。
で、今回はバリバリの宝塚歌劇、しかも総本山 宝塚大劇場に乗り込んだ。
宙組公演『美しき生涯〜石田三成 永遠の愛と義〜』&レビュー『ルナロッサ』
『美しき生涯』は宝塚歌劇では30数年ぶりとなる外様の脚本家 大石静の作品。
    


今回、光栄なことに眼鏡堂氏経由で大石静さんに僕ら3人分のチケットをとっていただいた。
大石さんと眼鏡堂さんは親しいお友達でありまして、
僕も赤坂の焼き鳥屋で一度だけご挨拶させてもらったことがある。
とにかく、宝塚大劇場、VIP気分で乗り込んだのであります。


気分はVIPでもハイヤーで乗りつけるというわけにはいかない。
阪急電車であります。
しかも、小説、映画でブレーク中の阪急電車今津線であります。


自宅から宝塚までは意外と近いことを知る。
最寄りの夙川駅と宝塚駅は25分だった。
自宅から大劇場までドアtoドアで50分と近い。
宝塚駅のホームで阪急宝塚線で来たばあばあと合流、大劇場へ向かう。


同じ阪急グループ、阪急宝塚から大劇場へのエントリーはよくデザインされている。
歩行者専用のプロムナード「花のみち」で結ばれている。
かつては遊園地や動物園もあって関西の娯楽の一大スポットだった。


阪急創始者 小林一三の像もあり、洒落たブティックやコーヒーショップが並ぶ。
宝塚のメインストリートらしく高級感が漂う。


「花のみち」、6月の主役(トップ)は紫陽花です。


来ました!
タカラヅカの総本山 大劇場。
カトリック、いやギリシャ正教の大聖堂を思わせる。
改めてその巨大さに驚く。
何度も近くを通ったことがあるのに入るのは初めて。


開演1時間前に着いてしまった。
隣接する駐車場には数台の大型観光バスが停まっている。


中に入る。
エントランスの広さにまた驚く。
いくつものレストラン、グッズショップは空港の免税店を思わせる。
そう、どこかに似てるなと思ったら空港だ。
ヒロが、USJみたいだね、と言う。
宝塚歌劇のテーマパーク。
武庫川沿いのテラスで缶ビールを飲む。
宝塚はもともと六甲の東麓に佇む温泉町だった。


御年83のばあばあ。
今朝、グランドゴルフ4試合をこなし、午後から宝塚観劇。
グランドゴルフの戦績は全敗だったと笑う。
元気で助かります。


まもなく開演。
圧倒的におばさまたちの世界。
若い女性ファンはたいてい小太りだ。
男は圧倒的少数、男性用トイレも申し訳なさそうに片隅にひっそりとある。
大石先生に予約していただいた席は前から2列目の中央、まさにVIP席です。
おお、オーケストラピットがある。
生演奏なのか。
知らないことばかりでドキドキして楽しい。


以下、感想をツイート風に記します。


・『美しき生涯』時は戦国時代、主役は石田三成、ヒロインは茶々、脇役に秀吉、家康、
 お市の方、ねね、福島正則加藤清正、そこに架空の人物 忍者の疾風(はやて)が絡む。
 とにかくテンポがいい。最近は芝居といえば歌舞伎、文楽ばかりなり、なので最初は
 必死でついていく。しだいにそのスピード感を楽しむ。歌舞伎は間だが宝塚は疾走感。


司馬遼太郎の本で石田三成という近江の武将の功績は知っていた。
 経済や農業、土木、実務に秀でる名君だが歴史的に誤解されている人物であるらしい。
 大石静さんがプログラムのあいさつで、
 歴史好きの人達の中で、石田三成がブームだと聞きます、と書いている。
 ばあばあが日本史に詳しい。
 石田三成はいろいろ言われとるからなあ、と意味深なコメント。
 ばあばあにはいいイメージはなかったらしい。
 ステージに現れた光成には驚いたのではなかろうか。


・そんなばあばあだが反応はビビッドだった。
 捕らえられた光成が茶々との最期の別れの場面ではすすり泣き。
 客席のあちこちでも鼻水をすする音が聞こえた。


・物語の主題は「愛と義、どちらが重い」である。
 そう、恋と忠義はどちらが重い、歴史物における永遠のテーマ。
 裏切りの戦国時代に忠義をつらぬいた武将の禁断の愛。
 実際に石田三成と茶々がそのような関係だったかは不明、大石先生に聞きてみよう。


・言うまでもないがステージに登場する役者が若くて美しい。
 全員男の歌舞伎とは真反対、すべてが女性。
 贅肉まみれの悲劇の武将や首の皮がたるんだお姫様を見ずに済むのは嬉しい。


・敵役として登場する福島正則が効いていた。
 加藤清正らとともに『賤ヶ岳の七本槍』と言われる勇猛な武将。
 そう、柴田勝家羽柴秀吉の賤ヶ岳の合戦。
 数年前、賤ヶ岳に登ったときに頂上に古戦場の碑文を読んだ。
 夥しい血が流れ余呉湖が赤く染まった、と記してあり戦慄した。
 賤ヶ岳のある木之本町に『七本槍』という地酒がある。
 旨い酒です。


・レビューは文句なしに楽しめました。
 台詞はほぼゼロ、歌と踊りの1時間です。
 演劇とレビューの2本立て公演、主役クラスの負担は想像以上に大きい。
 それをやり通すのがトップスターの誇りなのでしょう。


・フィナーレの大階段。
 出たぁ、とヒロと顔を見合わせる。
 ここまでやるか、と顔が笑ってしまう。
 南座海老蔵を見た時以来のうひゃうひゃ体験。
 参りました。
 フォール負け。
 This is TAKARADUKA.
 前から2列目だったので全員が勢揃いの時はすごい迫力。
 まるで自分一人のために演じてくれたのか、と錯覚するほどのお大尽気分。
 いやあ、おつかれさん、おつかれさん、くるしゅうない。


・宝塚の舞台にも悪役や老け役が必要。
 今回の秀吉やおね(ねね)の役がそれだ。
 ああいう役は宙組雪組でなく「専科」に所属する人が演じることが多いらしい。
 二人の意見が一致したのはトップよりサブ(2番手)が輝いていたこと。
 忍者の疾風(はやて)は容姿と存在感、福島正則は歌がいい。
 サッカーと同じでトップ下が真の実力者?
 娘トップの野々すみ花…うーむ、いまいち感情移入出来ない。 


・五十代にして初のヅカ体験。
 実は報道のアルバイトの頃、音楽学校の取材で禁断の園へ入ったことがある。
 チリひとつ落ちていない(おそらく)稽古場でトップ二人にインタビュー取材。
 たぶんバッテリーライトを持っていたと思うが、二人とは大地真央黒木瞳
 記憶に間違いがなければ、だが。
 歌舞伎の先代仁左衛門と言い、宝塚のトップスターと言い、まさに猫に小判。
 価値の分からない人間にとっては何の感動もなかった。


・当日券がある。
 2階後方のいわゆる天井桟敷は2000円。
 歌舞伎で言えば幕見だろうが、こっちは3時間半たっぷり見られる。
 立ち見席もあり2500円、これはどこで見ることが出来るのだろう。
 次の花組公演も当日券で行ってみようか、と思う。


プログラム購入。
1000円でした。
歌舞伎より安く文楽より高い。



大劇場前のマンション。
どんな人が住んでいるのか。
ベランダの曲線がアントニオ・ガウディの「カサミラ」です。