2011/8/13 スローカーブをもう一球

きのう、盆前に夏の終わりを宣言した自分でしたが身勝手にも夏の復活を感じています。
高校野球中継 第2試合を気を抜いてぼんやり見ていたら、テレビの前でのけぞりました。
帝京(東東京)対 八幡商業(滋賀)、サブタイは“スローカーブをもう一球”です。
我が家におけるその試合の衝撃を出来るだけ正確、かつ誇張なく再現しましょう。


阪神西宮駅の自動改札。
午後には甲子園は札止めになってました。



第1試合 習志野(千葉)vs 明徳義塾(高知)
習志野高校の200人のブラバンを聞こうと内野席へ行こうと思ってたのだが単なる寝坊。
勝ち残れば16日に金沢と対戦するはずと習志野を応援しながらラジオを聞く。
こんな記事が出ていた。
習志野高に音の暴力疑惑?」
http://www.zakzak.co.jp/sports/baseball/news/20110812/bbl1108121238006-n1.htm
音量が控えめになっているかも、と心配していたが美爆音は健在だった。
試合は明徳義塾を圧倒、地味な顔をした投手が完投勝利、次はかぶりつきで聞きます。
でも、金沢と習志野、どっちを応援したらいいのか迷う。



第2試合 帝京(東東京) vs 八幡商業(滋賀)
ほぼラジオ観戦、実況が盛り上がるとテレビを見る、という通常のパターン。
いまや絶滅危惧種の商業高校、かつては高校野球の世界では常連だった。
公立の商業高校と聞くと懐かしさと判官贔屓もあって、がんばれ! と応援したくなる。
対戦相手は花巻東をあの手この手で破った憎き帝京高校
東京代表の強豪校は地方人にとって読売ジャイアンツのような存在なのだ。


打球音!
実況のボリュームが上がる。
帝京の四番打者、打球はスタンドイン。
背番号6の松本、先制のツーランホームラン。
打った瞬間に自信満々のガッツポーズ、いやなことをするな。
八幡商相手なら勝って当たり前くらいに思ってるんじゃないか。
でも、それもそうかも、と思わせるのは背番号10の渡辺投手のピッチング。
決め球は右打者の内角ギリギリを攻めるストレート。
手も足も出ない。
八幡商は2塁も踏めない。
リードするのは1年生捕手 その名も石川亮。
3-0で9回、八幡商業の最後の攻撃となる。
ウイニングの瞬間は見ておきたい。
そう思ってテレビの前に座った。


八幡商業の選手は顔と名前が一致しない
というか一人も知らない。
近江八幡は水郷の町、そして近江商人の本場。
読み書きそろばん。
商業高校なら多くの近江商人を輩出しているのだろうな。
そんな思いを巡らせているうちに最初のバッターが内野ゴロでアウトになった。
あとアウト2つ。


あ、ハダカデバネズミくんだ。
打席に立った選手を指してヒロが言う。
え?
この子、わたしはハダカデバネズミ君って呼んでんねん、似てるやろ?
ハダカデバネズミ?


iPhoneで画像検索してみる。
http://mikawakie.up.seesaa.net/image/XL.hadaka_deba_nezumi_415B15D.jpg


げ!
醜い。
いくらなんでも可哀想だよ。
彼の名誉のためにあえて名前は書かないでおこう。
ヒット!
ハダカデバネズミくんが出塁した。
塁上で引き締まった顔を見せる。
まるで、僕はハダカデバネズミじゃありません、と主張するように。


とにかく、世紀の逆転劇はこのハダカデバネズミくんのヒットで始まったのだ。


八幡商業、ちっとは意地みせたれ、と僕らは見ていた。
続く名前も知らないバッターにも快音、連打!
1-2塁。
続くバッターにもヒットが飛び出す。
3連単打で満塁。
あれ? 渡辺投手どうしたのかな。


ちょっと面白くなってきたんじゃない?
でも、3連打でも点が入らないってのはヤバイかも。
結果的に満塁策みたいになった。
帝京は守りやすい。


続くバッターはショートゴロ、併殺網にかかった。
終わった、と思ったその瞬間…!
ファンブル、1点入った。
そしてオールセーフ、なおも満塁。
エラーした遊撃手は先制ホームランの6番だった。
打った瞬間ガッツポーズの報い…。
ヒロが、いまの前進守備だったんじゃないの? と言う。
2点まではやっても大丈夫なのに。
1対3となった。
2点差、あれ、追いつけるんじゃないの。


1アウト満塁。
一打同点の場面に5番打者。
NHKだったか朝日放送だったか忘れたが解説の人が打者の名前をずっと間違えていた。
打者の坪田くんは…と言っていたがアナウンサーに、遠藤くんですね、と訂正されていた。
それくらい印象に残ってない5番バッターだったのだ。
ホームラン出たりして、とヒロ。
いや、こいつそんな顔してないよ、と僕。
フォアボールでいいんだよね、とヒロ。
当たりに行け、と僕。


粘るなあ。
押し出し狙いだよね、と僕。
何球目かを引っ張ってレフトへ鋭い当たり。
テレビの前で、おおっと声を出す。
フルカウント。
三振かな?





高めのボール、遠藤くんが振り切った。
「打球はライトへ。入った満塁ホームラン!」

 


え?


逆転満塁ホームラン。
5 対 3、八幡商業が帝京を逆転した!


ヒロと思わず原監督ばりのグータッチ。
五十代夫婦が自宅でおおはしゃぎ。
哀れ渡辺投手はがっくりうなだれ降板となった。


遠藤くん、すまんかった。
君は凄い。
遠藤くんの両親やご親戚にも謝りたい。
ホームラン打てそうな顔してないと僕は失言してしまいました。
週刊朝日で調べたんですが滋賀県大会2本塁打だそうですね。
重ね重ねの無礼を勘弁して下さい。


ともかく土壇場で試合をひっくり返した。
帝京に勝っちゃうの?


(ここで僕はトイレへ行く)


戻ると、ヒロがテレビ画面を指さす。
マウンドにひょろ〜い投手が立っている。
え、何これ? と僕。
ピッチャー替わってん、エースに代打だしてたんやて。
そうかアウトになった先頭バッターが代打だったのか。
帝京を3点に抑えていたエースが降板、替わりにマウンドに立ったのは2年。
地方大会でも投げたこと無いんやて、とヒロが言う。
えええええ!
そんなピッチャーがここで投げるの?
この夏、はじめてのマウンドがこの場面?
甲子園、9回ウラ、相手は帝京、差は2点。
キンチョーしてるのか無表情でガリガリの2年生投手。


「こんなやつしか残ってなかったのか?」
遠藤くんに失礼な言動を放った僕はまたしても言い放つ。
(懲りてない)


やっぱりなあ、そんなにうまくはいかないもんですよね。
ここまでだったか、帝京打線怒りの反撃、サヨナラ負け。
僕とヒロは九分九厘そう思った。


帝京最初のバッターは石川亮。
ストレートが高めにはずれる。
128キロ、遅!
もういちど言わせてくれ。
「こいつしかいなかったのか?」


次のボール。
スローカーブ、山なりのボールがストライクゾーンに入る。
98キロ!
続いて3球目もスローカーブ、高めにはずれる。
そして、4球目もスローカーブ、外角に決まる。
94キロ!
こういうピッチャーなんだ。
岩田鉄五郎を思わせる人を喰ったようなスローカーブ
にょほほほほほ〜ん。
スローカーブを見逃し続けた石川亮くんは次のストレートに手を出した。
ひっかけてセカンドフライ。


お?
これはいけるかも。
ノーデータの軟投派。
絶対打つぞ、と意気込んで打席に立っているバッターがとまどっている。


続くバッターはスローカーブに手を出してレフトフライ、2アウト!
打者一巡すれば大量点かもしれないが、最初のご対面で打つのは難しいタイプ。
120キロ台のストレートと90キロ台のカーブ。
星野伸之だ。


次のバッターは一度もスイングせずに見極めてフォアボールを選ぶ。
スローカーブには手を出すな、との指示が出たのだろうか。
それともスローカーブを狙え、の指示か?


次のバッター。
1球目、ストレート見逃し 1ストライク、119キロ!
2球目、ストレート見逃し 2ストライク
追い込んだ!
スローカーブだ、と僕は言った。
いや、スローカーブ狙いかもしれない。
3球目、ストレート!
打ち上げちゃった。
3アウトでゲームセット。
番狂わせで八幡商業が帝京を破った。


90キロカーブを意識させてストレートで詰まらせる。
星野伸之ばりの見事な投球術。
「こんなやつしか残ってなかったのか?」
野投手、凄い!
再びの失言、お許し下さい。


思えば、ハダカデバネズミくんのヒットから始まった奇跡でした。
(ぼくはハダカデバネズミではありません)
いやあ、甲子園劇場9回の攻防、堪能させてもらいました。
聖光学院の負けでしょぼくれてたところに平手打ちを喰らったような気分。
夏が復活しました。



第3試合 唐津商業(佐賀) vs 作新学院(栃木)
古川工業を破った唐津商と作新学院と対戦、作新はいまだに“江川の”と言う枕詞がつく。
“八木沢の”作新でもある。その昔、マニエルの顎にぶつけたロッテのサブマリンだ。
当時、藤井寺のスタンドで「殺人投手 八木沢莊八 江川と同じ作新学院」という横断幕を見た。
身勝手な思いこみでもあるが八木沢、江川以来、関西の野球ファンは作新学院を敵視している。
僕も何となく唐津に肩入れして見始めた。
エース北方ユウジョウが153キロをマークした。
唐津が先制するも、作新に追いつかれ勝ち越しを許す。
今日は梅田でコンサートがある。
自宅を出てiPhoneで経過観戦。
阪神西宮駅の改札に、甲子園は満員、ご入場出来ません、と貼り紙がある。
甲子園を通過する頃、試合は3-2で終盤、1点差のまま9回を迎える。
Twitterで三十路さんが九州勢の唐津を応援している。
9回、同点のチャンス。
甲子園駅あたりから気を送る。
まあ、何の役にも立たない気である。
かくして唐津商は惜敗した。
勝ってたら、商業学校対決、しかも、同じチサンホテル新大阪の同宿対決だったのに…残念!


第4試合 如水館(広島) vs 東大阪大柏原(大阪)
コンサートを見終えてフェニックスホールのある同じビルの地下にあるビアホールへ行く。
思い出したぞ「朝日ビアホール」、昔懐かしい老舗のビアホールだ。
昔、レトロなドイツ南部風のこの店に何度か来たことがある。
ビルは建て替わっても地下に店は残ってたのか。
客層は年配の夫婦、爺さまグループが中心。
店内のビジョンは甲子園の中継を映し出している。

如水館東大阪柏原は延長戦に入る。
広島vs大阪、大林監督が作詞、久石譲が作曲という校歌を持つ如水館
かたや間寛平板尾創路はるな愛らの出身校、アメマ打線の東大阪大柏原(元 柏原高校)、
勝ったのは広島 如水館
今日は4試合とも好試合だった。
闘ったナインに陶器ジョッキ入りのレーベンブロイで乾杯!