2011/9/19 人生は嵐のごとく


Aさん(69)は日本海に面した小さな港町に暮らしている。
21歳で失明し、29歳のとき女の子を産んだ。
母となった彼女は、按摩(マッサージ師)として生計を立て、一人で娘を育てた。


42歳の時、目の見えない人は運動不足になるから、とマラソンを薦められた。
初めて走った3キロレース、若い消防隊員の伴走者に引っ張られ、優勝してしまう。
表彰台、優勝の楯、拍手、世間から誉められたのは初めて、誇らしかった、とAさんは言う。
以来、当時中学生だった娘に自転車で伴走してもらい、駅までの3キロを毎日走り始める。
そして、フルマラソン200回以上、100キロのウルトラマラソンも9度完走する。
ほとんどのレースを娘が伴走した。
走り始める前は80キロを越えていた体重も50キロ台になっていた。


問わず語りに、ロケで彼女の住む町を訪れた高倉健の話をしてくれた。
1970年代、Aさんが32歳のころのことだ。
町の老舗旅館に泊まっていた健さんのマッサージに呼ばれた。
「ねえさん、上手いね。 ひとりで娘さん育ててるんだって?」
気に入られ1週間、毎晩旅館に通った。

明日でこの町を発つという最後の夜、入念にマッサージをした。
終えたら深夜0時を越えていた。
いつものように自宅まで送ってもらおうと宿の女将さんを呼んだ。
が、何度呼んでも返事がない。
健さんもいっしょになって女将さんを呼んでくれるが返事がない。
探そう、と健さんが手をとって廊下を歩き出す。
古い大きな旅館の別館、本館につながる長い通路を健さんと二人っきりで歩いた。
奇跡のような時間だった。
何度も繰り返し話したであろう健さんの思い出を話すAさんは十代の乙女のようだった。
(結局、女将さんは居眠りしてたそうな)


その町でロケされたのは『無宿(やどなし)』という映画。
1974年公開、キャストは高倉健勝新太郎梶芽衣子
ロベルト・アンリコの「冒険者たち」をベースにした映画であるらしい。
アラン・ドロン高倉健、リノ・バンチェラが勝新太郎ジョアンナ・シムカス梶芽衣子か。
DVDで出ている。見てみたい。

無宿 [DVD]

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…朝6時台の始発で撮影地へ向かう。
7時前に駅に到着したらぽつぽつと降り始める。
約束の場所で取材対象者と合流するも、海は大荒れ、横殴りの雨が吹きつける。
台風15号の影響だろうか、昨日までの予報には晴れマークだった。
無理だろうな、と思いつつ何カットか撮影する。
悲壮感漂う映像になってしまう。
ご自宅へ戻り、少し話を聞く。
出直しを決意す。


びしょ濡れになったのは久しぶり。
涼しいので気持ちは悪くないのだが。
帰るにも1時間半ほど特急電車がない。
町の温泉施設があるというので時間をつぶす。
高台にあり荒れた日本海が見渡せる温泉でほっこりする。
また、駅までの道で濡れてしまうのだが…。
宮津福知山を経由して帰宅す。


阪神地方は朝から晴れていたようだ。
日本海側も昨日までの天気予報では昼まで保つはずだったんだが…。
この市民ランナー取材、初戦敗退。
負けないぞ!


…今日9.19は全国で「さようなら原発5万人集会」が開催された。
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2011091901000372.html
東京の明治公園では主催者参加で6万人が集まった。
TwitterUstreamでも現場から次々にライブリポートが入る。
ありがちだけどボルテージ上がり過ぎの人もいる。
10代や20代の人にとってこの規模の集会は初めてなんじゃないだろうか。
いや、僕ら世代(50代)も知る限り、無い。
原発停止、福島のこどもを避難させて欲しい、との主張は当然だと思う。
この集会のメッセージを僕も強く支持したい。
http://mainichi.jp/select/wadai/graph/20110919/


空撮を見て1989年、東欧諸国の首都広場に集まった民主化デモの映像を思い出した。
プラハのヴァーツラフ広場の写真を見ているよう。
http://blogs.yahoo.co.jp/swaochan/22303539.html


…ヒロとばあばあが歌舞伎を見てきた。
右近(猿之助)の孫悟空にワクワク、おもだかやあ!
翫雀の浪花人情劇に泣き笑い、なりこまやあ!
そして、海老蔵の弁慶、にらみと六法踏みに鳥肌、なりたやあ!


花道がよく見える席も良かったそうな。
ええもん見せてみろうた、声がええ、姿がええ、と大喜びだったとか。
成田屋の睨みで病魔よ去れ!

ばあばあが買って来てくれた筋書き(プログラム)の写真より。
  


ヒロは澤瀉屋の『華果西遊記』が気に入った様子。
笑也、春猿笑三郎澤瀉屋の女形はきれいやわ、とのこと。
  
確かに笑也、春猿の美貌は玉三郎に匹敵すると僕も思う。
この人、本当はおっさんだよ、という意識を消して女として安心して見られる。