2011/11/9 遠き山に陽は落ちて

五十過ぎての病気とはどうゆうものか?
内田先生が10年前に書いた『おじさん的思考』にこうある。


  中年すぎてからの病気というのは「他が全部健康で、特定の器官だけが
  単独に機能低下する」というものではなく「身体のシステム全体」が失調すると、
  その「最も弱い環」から切れ始めるという仕方で発症するものである。
   (中略)
  病気は「システム全体の失調」のサインである。
  「そろそろ『おつかれさん』の時間だよ」という「終わりの合図」である。
   (中略)
  「おじさんの病気」というのは、あの「下校時間になりました」のアナウンスと
  同じ機能を持っている。これが聞こえたら、ぼちぼち「あとかたづけ」を始めろ、
  ということである。
                   (『おじさん的思考』角川文庫より)


内田さんは、身体の中にあの懐かしき「遠き山に陽は落ちて」が流れてくるのだと書いている。
ああ、今日が終わってしまう、もう家に帰らないといけない。


システム全体の失調、だから患部だけ治しても完治はしないんですよね。
そうか、そうですよね。病気と闘わず、折り合いをつけて共存する、ですよね。
負けてたまるか、と抗っても勝てないんですよね。
「お先にどうぞ」の精神で穏やかに生きよう。
誰かが、だましだまし生きる、と言ってたなあ。
確かに、それなら得意です。

   



…今日も『カーネーション』を見た。
糸子(尾野真千子)が同級生のヘタレの弟 勘助を泉州弁で啖呵を切ってシバキ倒す。
いいなあ、あんなふうに叱られてみたいなあ。
誰かがTwitterで書いていたので思わずリツイートしてしまった。


  @ganaha22: 朝ドラ『カーネーション』の尾野真千子の益荒男ぶりに心がシャンとした。
  この十年、へたり気味の精神に喝を入れてくれるのは全部女性だ。
  思いつくのは、小島慶子澤穂希
  しっかし、この尾野君をしばき倒す小林薫は、もはや天然記念物だ。
  昭和は遠くなりにけり。


ヒロがこのドラマの小林薫を見て恐かった父(故人)を思い出したと言う。
機嫌が悪いときは理由なんて無し、問答無用でシバキ倒されたらしい。
昔はあんな専制君主的オヤジが普通に存在してたよな。
(たとえば「寺内勘太郎一家」の小林亜星
それにしても尾野真千子のコメディエンヌぶりも好ましい。
どちらかというと幸薄い美女という役柄が多かったので凄く新鮮だ。


…理由あってヒロが今日から10日ほど不在になる。
久々の独身生活だが理由あって浮かれた気分にはなれない。
粛々と、炊事、洗濯、掃除、水やりをこなして過ごそう。


さっそく夕食を自炊。
写真を撮る前に食べてしまったのがキャベツ+竹輪+卵炒めとはんぺんのオーブン焼き。
〆はこの温奴丼、あたためた豆腐をぐずぐずにして熱々の飯にのせる。
薬味はかつおぶしとネギ、ダシ醤油をたらりとかけて生姜を添えた。
澪つくし料理帖のつる家の賄いですね。
弁当職人になった石垣島のミネーロや花園の浜ちゃんににはかなわないが…イケル。


…DVDで『マイネームイズハーン』を観ました。
今年の映画じゃないけど2011年に見た映画で間違いなく、ぶっちぎりのベストワンでした。
ライフタイムBESTと言っても過言ではない。途中から涙がとまらない。
メッセージも、役者も、音楽も、ストーリーテリングも、仕掛けも、みんないい。
こんな映画あったんだ。
最後にハーンが大統領に言う一言にニヤリとさせられる。
また涙が…。


アメリカ在住のイスラム教徒、ハーンはアスペルガー症候群を患っていたが、
ある日ヒンドゥー教徒のマンディラと出会い恋に落ちる。結婚して幸せに暮らす二人だったが、
9.11事件を機に全てが一変する。
マンディラの連れ子サミールは、母親の再婚でイスラム教徒の名前に変わったことから
イジメを受け、命を落としてしまう……。
絶望した彼女は結婚したことを悔やみハーンを責めた。
愛を失い、困惑したハーンは“ある決意”からアメリカ横断の旅に出る──。