ぷよねこ減量日記 2009/5-2016/1

旧ぷよねこ減量日記です。2016年1月に新旧交代してます。

2011/12/20 和洋混載

朝、久しぶりに芦屋海浜公園の温水プールへ行く。
5回分の回数券を買う。
3600円で有効期間は二ヶ月。
1回あたり720円は高いか安いか?
以前、コナミのプールに足繁く通っていた冬は風邪を引かなかった。
気温の変化に強くなるという思いこみがある。
でもまあ、プールへ一日も行かなかったこの二冬も大きな風邪は引いてないのだけど。


そういえば昨日、アレルギー科のクリニックで再診。
血液検査の結果はハウスダスト、ダニ、スギにアレルギー反応が陽性を示した。
とはいえ、クラスはハウスダスト、ダニは6段階の3、スギ花粉は1に過ぎない。
アレルギーの感応度合いも75で基準値以内でした。
ちゃんちゃん。
それでも、時々くしゃみ祭り、鼻水地獄、目のかゆみ症候群は訪れる。
マスクやゴーグルで予防するくらいしかない。


プールの帰りに一枚。
「ユリカモメと戯れる」


先週に続き生島眼鏡堂が広島への取材帰りに上洛す。
京都暮色、木屋町『フランソア喫茶室』〜祇園『遊亀』〜三条河原町『文久』、最終電車で帰宅。
行きの阪急電車で『気仙沼に消えた…』を静かな心持ちで読了。
約束の時間には少し早いので四条木屋町『フランソア喫茶室』で珈琲を飲む。

有名な京都の老舗喫茶だが入るのは初めてではないだろうか。(たぶん)
『築地』と双璧をなす古風なヨーロッパ趣味の喫茶店だ。
昭和9年創業は『築地』と同じ。
今の建物は昭和16年の改築であると太田和彦の『ひとり飲む、京都』にある。
創業者の立野正一氏は当時のファッショ政情に抵抗する気概を持った社会主義者。
学生運動の激しい時代には店の前を機動隊が取り囲んだこともあったという。
今は当時の空気も霧散し、太田氏が“ヨーロッパの憧れに満ちた乙女の館”と表現するように博物館のようだ。
事実、喫茶店では初めての国の有形文化財であるらしい。
名曲喫茶ではないが店にはクラシックが結構な音量で流れている。
先日買った村上春樹の対談集『小澤征爾さんと、音楽について話をする』なんか読むのもいいかもしれない。
いや、やっぱりバルザックやヘルマン・ヘッセあたりがいいな。


店を出て四条大橋を渡る。
橋のたもとに「東華菜館」がある。
この洋館のファサードも欧風趣味、それもかなり古いバロック調だ。
設計はかのウイリアム・ヴォーリズ、もともとは大正時代にビアホールとして誕生したらしい。


バロック建築から100m、橋を渡れば祇園。
ファサードは純和風、勘亭流の文字が師走の四条通を威圧している。
京都の冬は和魂洋才、いや和洋混載。


祇園『遊亀』、先週の火曜日もここで飲んだ。
18時半、変形コの字のカウンターはほぼ満席。
予約してあったので2階の座敷に通された。
金沢を思い出す懐かしい空間。
大学時代のコンパや飲み会はこんな雰囲気の店が多かった。
チェーン展開する居酒屋なんて金沢には「養老の滝」くらいしかなかった。


ほどなく道に迷える眼鏡堂から連絡が入る。
グラスビールで1週間ぶりの乾杯。
僕は金亀の緑(精米度合い60%)の冷えたのをいただく。
火入れしてない生酒。
香り高く絶品の味わい。
数年前に気に入っていた奥播磨の15BYに似たスモーキーな香りがある。
これでグラスに盛りきり310円だ。

途中から文春の女性編集者が眼鏡堂氏との打合せに合流。
イケル口らしく手短に仕事を済ませ、3人で飲むことに。
『遊亀』はいいね。
酒も上等、肴も安くて旨い。
出来ればカウンターで飲みたいけど座敷で飲むのもそれなりにいい。
昔の松竹映画を思い出す。
笠知衆と加東大介がすみっこに座ってそうだ。
開店2年目、まだ新人なのにすでにベテランの風格。
僕は緑1杯、活性にごり2杯、お酒だけなら890円でほろ酔い。
店のメニューに「近江米130円」というのがある。
眼鏡堂氏と編集者はしじみ汁ととろろご飯。
僕は鮭いくら茶漬けをいただく。
北の海の宝石箱やあ、と彦麻呂なら言うだろう。
美しい色合い、あっさりした薄味、茶碗一杯のこぶりな量。
酒の〆飯としては2011年の私的ベストワンに認定です。


今日の京都呑みのテーマは、激動の2011年をしみじみと振り返る、であった。
こういう目論見は予定通りにはいかない。
この後、3人で三条大橋を渡る。
鴨の川風が酔った頬に心地いい。
BAR『文久』へ展開する。
「本買いましたよ。うちの店出てましたね」
眼鏡堂氏が座るなり開口一番マスターが言う。
セルジオに紹介してもらったこのバー『文久』、
先月、伊勢からの帰りに眼鏡堂氏と二人で初めて来た。
楽しいひとときを過ごしたのにその日の日記がいまだにアップされていない。
無政府主義者の隠れ家のような暗くひっそりとした空間が落ち着く。
埼玉出身の西武ファンであるマスターの穏やかな人柄も魅力だ。
ラム好きの店主のお薦めに従い今夜はラム一本。
24歳の女性編集者も同じペースで飲む。
聞けば某国立女子大時代には奈良の大宮のスナックでバイトしてたとか。
強くないけど好きなんです、との弁。
飲みっぷりでわかるよ。
ちゃんと帰れたのかな。


阪急電車の最終にギリギリで間に合う。
眼鏡堂氏とのメール交換。
僕「しみじみと2011年回顧の思惑は消えましたね。来年、また京都で。よいお年を。」
眼鏡堂「そうね。振り返らず。前に進むべきかな。来年もいい酒を飲みましょう。」