2012/1/3 「走ることについて語ること」

箱根駅伝中継で流れたサッポロビールのCMがいい。
村上春樹の文章、是枝裕和監督の映像、仲間由紀恵のナレーション、明星の音楽。
http://www.sapporobeer.jp/kanpaispecial/tvcm.html


第1話からの計4話を書き取ってみた。
ぜひともWEBに貼ってある動画で見て欲しい。
画と音が村上春樹の文章に味をつけ、深い意味や情感をプラスする。
言葉が手造りの純米酒としたら、画や音は絶品の肴だ。
映画(ショートムービー)にはこういう業が出来るのだ。



   痛みは避けられない。
   でも、苦しみは自分次第だ。
   あるとき、そんな言葉を覚えた。
   そして、長距離レースを走るたびに、頭の中でその文句を繰り返すようになった。
   きついのは当たり前、でも、それをどんな風に苦しむかは自分で選びとれる。
   Suffering is opitional 
   へこたれるもへこたれないもこちら次第。
   苦しいというのは、つまり、僕らがオプションを手にしているということなのだ。



   僕や、あなたのような普通のランナーにとって、
   レースで勝ったか負けたか、そんなのは大した問題じゃない。
   自分の掲げた基準をクリア出来たかどうか、それが何よりも重要になる。
   判断はあなた自身に委ねられている。
   自分の中でしか納得出来ない物ごとのために。
   他人にはうまく説明出来ない物ごとのために、
   長い時間性をとってしか表せない物ごとのために、
   僕らはひたすら走り、また、こうして小説を書く。



   やっと、ゴールのマラトン村にたどりつく。
   炎天下の42キロを走り終えた達成感なんてどこにもない。
   頭にあるのは、ああ、これ以上走らなくてもいいんだ、ということだけ。
   村のカフェで一息つき、冷えたビールを心ゆくまで飲む。
   ビールはもちろんうまい。
   でも、僕が走りながら切々と想像していたビールほどうまくはない。
   正気を失った人間の抱く幻想くらい美しいものは、
   この現実世界のどこにも存在しない。



   走っているときに頭に浮かぶ考えは、空の雲に似ている。
   いろんな形の、いろんな大きさの雲。
   それらはやってきては去ってゆく。
   でも、空はあくまで空のままだ。
   雲はただの客人にすぎない。
   通り過ぎ、消えてゆくものだ。
   暑い日には暑さについて考える。
   寒い日には寒さについて考える。
   辛いことがあった日には、
   いつもより少し長く、
   少しキツく、
   一周余分に走ることにしている。
   そして、あとにただ、空だけを残す。



映像も素晴らしい。
最近のCF(古い呼び名ですね)は、こんな青みがかったトーンが流行っているのだろうか。
ユニクロヒートテックのシリーズも、去年の三井住友生命も、
リリー・フランキー深津絵里ダイワハウスもこんなトーンだった。
冬らしい寒さが感じられるから?


CMの言葉を噛みしめ、味わってみる。
そして、思う。
自分の掲げた基準をクリアするために、今年はそれなりに努力してみよう、と。
もともと僕はそういうタイプの人間だった。
ただ、根性が無くて、なかなかクリアすることが出来ないので、
自分はそんなことは柄じゃない、と思いこむようになった。
すでに干支を4周し終え、次の酉年が来れば5周、つまり還暦。
目標にトライすることは楽しいということは経験から知っている。
たいていはうまくいかないことも。
サッポロビールのCMにあった。
「苦しみは自分次第、どんな風に苦しむかは自分で選び取れる。
 Suffering is opitional へこたれるもへこたれないもこちら次第。
 苦しいというのは、つまり、僕らがオプションを手にしているということなのだ」
ただ、心配なことがある。
僕が努力していると、他人からは遊んでいるように見えるようだ。
Suffering is opitional
そういう不当な評価にもへこたれずにがんばってみよう。 



そういえば村上春樹サッポロビールが好きだった。
WEBエッセイの村上ラヂオでも鮨屋で飲むならサッポロラガー(赤星)だと言う。
10年以上前だろうな。こんな文章だ。 


   それからこのあいだ神楽坂のある寿司屋でビールを頼んだら、
   サッポロの赤ラベルが出てきました。これがいいんですよねえ。
   60年代のビールの味がしっかりとしている。
   子供の頃にお父さんのビールをちょっと飲ませてもらったあの味なんです。
   懐かしかった。「ああ、ビールってこんな味だったんだ」と思いました。
   このビールはとても手に入りにくいのだそうです。どこで手に入れるのだろう?
   また飲みに行こう。
   この前も書いたけれど、最近はどのビールを飲んでも、みんななんだか
   「スーパードライ」みたいでつまらないですね。
   日本って、どうしてこんなに何もかも横並びになってしまうんだろう?
                   (WEB版「村上ラヂオ」より)
      

今では関西でもサッポロラガーが飲めようになった。
僕の行く店、たとえば天満の「大安」「ダイワ食堂」「しん」「肴や」では瓶は赤星だ。
    

僕もサッポロ派だ。
国産ビール(瓶)で銘柄を選べるなら次の順位です。


   序列1位 サッポロラガー ハートランド(キリン)
     2位 サッポロ黒生 エビス(サッポロ)
     3位 キリンクラシックラガー
     4位 キリンラガー サントリープレミアムモルツ
     5位 モルツ アサヒスーパードライ


   別枠 キリンブラウマイスター琥珀エビス、サッポロクラシック


アサヒもスーパードライじゃない初号復刻版やプレミアム熟撰は美味しいんだけどな。