2012/6/7 別無生涯

七類堂天谿 ─奕々たるその神彩─@京都 相国寺 4/7-6/17
キャッチコピーは「雪舟を超へよ」
相国寺はかの雪舟が修業時代を過ごした寺であるそうな。
七類堂天谿は尾道在住の50歳、同時代の画家だ。
絵画(水墨画)、書、陶芸作品が展示されている。
見応えのある絵画、趣のある漢詩、想像以上に楽しめた。
小さな掛け軸にのんびり坐った坊主が樹の下でにんまり笑っている画、そこに書かれた「別無生涯」の書。
生涯、別に何も無し。
現代語訳がついている。


  わたしの人生、とりたててどうということも無し。 


絵ハガキがあったらぜひとも買って奈良の玉戸翁に送るべし。
そう思ったが残念ながら売っていなかった。残念。
会期延長で17日までやっている。
京都五山 相国寺もなかなかいい。
もういちど行こうかな。

  


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例によってフォト日記である。


【行動記録】
自宅〜(自転車&徒歩)〜阪急夙川駅〜(阪急電車)〜阪急烏丸駅室町通り散策〜御池駅〜(地下鉄)〜今出川駅同志社キャンパス
相国寺 A部氏と合流(美術館にて「七類堂天谿 ─奕々たるその神彩─」観覧)〜今出川駅〜(地下鉄)〜烏丸駅〜立ち吞み『百』〜大丸食品売り場
〜地ビールと燻製『和知』〜四富会館『たすく』〜四条下ル『彌光庵(みこうあん)』〜阪急河原町駅〜(阪急)〜阪急夙川駅〜(徒歩&自転車)〜自宅
     

自宅ベランダに咲く白百合。
拡声器のように競って宙へせりだしている。
「もすぐ梅雨ですよ!」とでもアナウンスしてるのかな。
  


夙川駅へ行く道すがら撮る。
エステサロンだろう。
桜の緑と黒い影絵のような看板のコントラストがいい。
  


場面は京都へ飛ぶ。
あざやかな青。
室町通りを散策中に見つけた大輪の紫陽花。
ユリとアジサイは今が盛りです。
  


これから行く場所は足利氏にゆかりのある臨済宗の禅寺(京都五山)。
ならば、室町通りを歩いていくのがよかろう。


京都芸術センター、かつては明倫小学校の校舎だった建物をそのまま使っている。
室町通りのランドマーク、ここにある図書館へ行ってみたかったが10日まで休館でした。
  


相国寺でA部老師と待ち合わせている。
のんびりと歩いていたら約束の時間に間に合いそうにない。
御池から地下鉄で上ル。
今出川あたりへ行くのは久しぶりだ。
同志社キャンパスの赤煉瓦建築群を見るのは楽しい。
   



お、ここにもヴォーリズ

  
  

イリアム・メレル・ヴォーリズの傑作の一つとされる同志社大学アーモスト館。
童話に登場しそうな煉瓦造りの家。
1932年(昭和7年)竣工、ニューイングランド・ジョージアン様式。
なるほどボストン郊外にありそうな煉瓦建築だ。
今も海外からの研究員の長期滞在用の施設として使用されているそうだ。
こんな学生寮があったら住ませていただきたい。
  


臨済宗相国寺(しょうこくじ)。
将軍足利家ゆかりの禅寺である。
この寺の裏手に新婚時代のセルジオが住んでたことを思い出した。
かつて相国寺には109mの七重塔があり、史上最も高い日本様式の仏塔であったそうな。
  


冒頭に書いた特別展示を見る。
枯淡の絵も心動かされたが添えてある漢詩も素晴らしい。
五言絶句、七言絶句、あの日本語読みの音の響き、リズム、美しさは奇跡のようだ。
「国破山河在」    国破れて山河あり
「少年易老學難成」  少年老いやすく学成りがたし
「春眠不覚暁」    春眠暁を覚えず
他にも「春宵一刻値千金」「人生足別離」 胸に刻まれた名詩がある。
高校時代の漢文の授業を思い出す。
李白の「黄鶴楼にて孟浩然の広陵に之くを送る」や杜牧の「江南の春」が好きだった。
http://www.rinku.zaq.ne.jp/bkcwx505/Kanshipage/kanshi01.html
http://www.rinku.zaq.ne.jp/bkcwx505/Kanshipage/kanshi03.html
帰ったら図書館で漢詩の解説本を借りるとしよう。

  


まんまるの満月が山から昇ってきたのを見て爆笑する老師の大きな絵が楽しい。
七類堂師の絵を見ているととことんなごむ。
今にも動き出しそうな七福神達磨大師雪舟、羅漢…。
アニメーション世代の水墨画なのかもしれない。
  


四条烏丸へ下ル。
A部氏と歩きながら話す。
政治が悪い、不況が続くというけれど、つくづく今の時代に生まれて良かったですね、と。
100年前に生まれていたらハガキ一枚で国に命とられてただろう。
1500年前に生まれていたら、お前とお前、明日から防人に行けと役人に拉致されて自腹で九州へ行かねばならない。
故郷へ、家族のもとへ帰れる保証なんてないし、働き手を失った家族は路頭に迷う。
今、僕らは50過ぎの男が連れだって地ビールと燻製の店へ行こうとしている。
もう文句は言わないから80キロ北のアレは止めたままにして下さい。


それにしても80キロ圏内か。
自転車で一日走れば着いてしまう距離。


お目当ての店「燻製と地ビール 和知(わち)』の開店まで小一時間ほどある。
以前に行ったことのある立ち飲み『百』にで生ビール一杯でウエイティングしたのち『和知』へ。
エレベーターなしの4階、そんな店でも行くべき理由がこれだ。
お得な1000円セット+ドリンク180円のハッピーアワーだ。
セットのメニューは以下の通り。
小松菜のおひたし/ポテサラ/むね肉のわさび串/薩摩地鶏もも焼き/燻製玉子
地鶏味噌&スティック野菜/おまかせ一品(帆立のバター焼き)
180円のドリンクはキリンハートランド生ジョッキ。
通常飲み放題やこの手のサービスドリンクは発泡酒だったり、チューハイだったり、安い焼酎だったりが定番。
種類も限られているがこの店は違う。
ちゃんとしたビールだし、プレミア的なハートランドやサッポロピルズナーまである。
ホントに180円でいいの?

  


1000円セットの味も量も絶妙だった。
酒はハートランドのあとは黒糖焼酎ロックに切り替える。
芋だけでなく黒糖が充実しているのが嬉しい。
地ビールやベルギービールも恐るべき数のラインナップ、でも今日は180円ドリンクで通す。
追加の燻製2種は厚切りベーコンと鯖。
  


四富会館「たすく」にて。
国産ワイン専門バー、料理もおいしい。
今日は島根のシャルドネを一杯。
絶品の一皿は、ホウレン草の冷製スープ、コーヒーのパン、根菜のきんぴらにピクルス。
  


「たすく」を出てからA部氏が言う。
隣で飲んでた女性は岩手からこの店目当てに来たんですよね、
え?
話してたじゃないですか、聞いてなかったんですか?
全然。ママが岩手のワイナリーに行くって話は聞いてましたが。
いやいや、隣の彼女は岩手から三重に出張に来て、わざわざ京都で一泊して「たすく」に来たんですよ
すごいなあ。
いやいやいや、言ってたじゃないですか。
だったら少し話すればよかった。
何でしないのかなあ、って思ってたんですよ。
知らなかった。
綺麗な人だったじゃないですか。
知らなかった。
隣は女性の二人連れだと思いこんでいた。
A部さんが話しかければ良かったのに。
パス出したらスルーしたのに。
そうか。
岩手から。
ひとりで。
そうか。
きれいな人だったか。
ちょっと損した気分。


締めは寺町四条下ルの「彌光庵(みこうあん)」
2月、知花さんに連れられて来た店。
ママがかなり痩せていて驚く。
原発のハンスト、主義と実益を兼ねて10キロ落ちたそうな。
仏教&非戦バー、お店のカオス具合が懐かしくて心落ち着く。
あ、天七の古書カフェ「ワイルドバンチ」もしばらく行ってないな。
  


「彌光庵(みこうあん)」を辞したのは21時55分。
マクドナルドで100円コーヒーを買って阪急の特急で帰宅。