2012/7/14 『還るべき場所』はどこだ?

久々にガツンとした山岳冒険小悦(全600ページ)を読む。
世界第二の高峰にして世界で最も非情な山、K2が圧倒的な存在感を持って読む者の胸に迫る。
いつかは僕も、とは決して思わない。K2はそういう山です。
何かの拍子に仕事でとかものの弾みでとかカラコルムへ行くことがあったらその勇姿を拝みたい。

還るべき場所 (文春文庫)

還るべき場所 (文春文庫)

Jリーグ2試合の受け(編集と原稿担当)という変則勤務。
土曜日、静かなフロア。
試合が始まるまで読書に没頭させてもらう。
10時間近くフロアにいても実質3時間仕事、7時間読書。
仕事のうち2時間はサッカー中継見てたわけだから橋本市長に見つかったら整理されるな。
間違いない。


小説を読みながら自分が世界の山の写真集を持っていたことを思い出す。
一番山に登っていたころ、30代半ばくらいに買ったのだろう。
4800円! 奮発したもんだ。

 


写真集「PEAKS OF GLORY」に載っている写真はどれも圧倒される。
K2(8611m) のナイフリッジを登るクライマー。
写真は晴れているが小説ではこんなチンさむな場所で極寒のブリザードに遭うのだ。
正確に言うと小説の舞台はK2と同じ山域にある同じ8000m峰であるブロードピークという山。
でも、登場人物たちは魔の山 K2 に心奪われているのだ。

 


もう一冊、白籏史朗の写真集が本棚にあった。
8年目に入院した時、お見舞いでもらった本だ。
ここにブロードピークの写真が載っていた。
頂上付近がブロード(広大)だからその名がつけられた。
8000m以上をデスゾーンと呼ぶ。
人間の身体にとって安楽でない場所、決して長居はしたくない。
デスゾーンで気象遭難が起こる。
その描写はまさに地獄絵。

 



あまりに美しい場所、絶対に行けないと思う。
 


小説は600ページ、全10章のうち8章から急展開、止まらなくなる。
酸素は地上の3分の1、読み手の息も絶え絶えになりピークを目指して登っていく。
還るべき場所はどこだったのか?
笹本稜平、もう一冊、おかわりちょうだい!