2012/7/20 『サクリファイス』再読

夜、寝る数時間前にエアコンを入れる。
就寝と同時にオフり、2時間タイマーの扇風機をオン。
汗かいて起床。
一昨年あたりからやせ我慢はしないで熱帯夜を乗り切っています。
現在、一日のエアコン稼働時間は4時間くらいだろうか。


  


…先月中頃にオファーのあったオリンピック関連の仕事がなかなか確定せず夏の予定が決まらなかった。
今朝、正式にキャンセルの連絡が入る。
東京以外から人を呼ぶほど予算がないのだとか。
未確定な要素が多く、この年齢で昼夜逆転生活は辛いので内心ホッとする。
仕事場が六本木、朝帰りになるので赤坂のウイークリーマンションを予約しておいたがキャンセル。
安堵するのはいいが、予定していた期間がぽっかり空いてしまった。
当然見込んでいた収入も入らない。
映画『三文役者』で見た殿山泰二みたいな気分だ。
仕事行ってくるでえ、と家を出てジャズ喫茶でミステリーを読んでた頃のタイちゃん。
僕も仕事のふりをして旅に出ようかな、なーんて。


…今日は曇り、ときどき雷雨。
天気予報が良ければ小豆島へツーリングしようかと企んでいたが取り止め。
facebookにロンドン入りするスタッフの近況報告や写真がアップされる。
3大会連続で行ったし、ハードなのは知ってるし、今さら行きたいとは思わないけど一抹の淋しさを感じてしまう。
正直、昔ほどオリンピックに魅力を感じない。
実は嫌いなんです、という人の気持ちもよくわかる。
オリンピック中継なんて見ずに南の島の別荘で読書したりDVD見たりして気がつけば秋、なんてのもいい。
そんな経済的余裕ないだろって?
ごもっとも。


近藤史恵『サクリファイス』を再読す。
(自転車ロードレースの小説です)
昨日、図書館で借りて一気に読んでしまった。
5年ぶりくらいの再読なのに面白くてぐいぐいと読ませるのであえてペダリングの回転数を落としたくらい。
アウターギアのままダンシングで峠をガンガン登り、下りはノーブレーキでごぼう抜きみたいな疾走感。

サクリファイス (新潮文庫)

サクリファイス (新潮文庫)


再読とはいえ実はストーリーをほとんど憶えていなかったので新鮮だった。
昨日、眼鏡堂さんにも告白したのだが映画や小説のストーリーが頭の中から次々と消えていく自覚がある。
本来、オタク傾向があったのでその手の記憶力は良く、データベースのように主人公の名前まで憶えてしまうタイプだったのに。
今は昨日見た映画の主演女優の名前も記憶出来ない体たらく。


『サクリファイス』の主人公、物語の語り手は白石誓(しらいしちかう)だ。
白石は23歳のルーキー、山登りを得意とするクライマーだ。
絶対的エースの石尾、ベテランアシストの赤城、野心的な若きスプリンター、次期エース候補の伊庭が脇を固める。
最初に読んだときにも面白いと思った。
ブログでも2008年のベスト本に城戸久枝『あの戦争から遠く離れて』と並んで『サクリファイス』を挙げている。
でも、今に比べればまだまだ理解度が低かったのだと思う。


『サクリファイス』には前日譚がある。
アンソロジー誌のStory Seller に短編が載って読んではいた。
かなり間隔をあけて読んでいたので印象は薄かった。
先日、短編をまとめた『サヴァイヴ』を読んだ。
読み終えると『サクリファイス』が無性に読みたくなった。
うろ覚えながら、確かあの小説で石尾豪は…になるのではなかったか。

サヴァイヴ

サヴァイヴ


サヴァイヴ』は6つの短編からなる。


・『サクリファイス』以前。赤城直輝と石尾豪の物語(語り手は赤城)が3作。
 時間軸にそって「プロトンの中の孤独」→「レミング」→「ゴールよりもっと遠く」


・『サクリファイス』以後。ヨーロッパに渡った白石誓の物語が2作。
 「ビプネンの腹の中」と「トゥラーダ」


・同じく『サクリファイス』以後。チーム・オッジに残った伊庭和実のエピソード。
 「スピードの果て」


この短編を読むことで登場人物へのイメージが生まれ感情移入が深まる。
彼らが結集するのが『サクリファイス』だ。
いやあ、しみこむしみこむ。
君達のことは前から知っているよ。
文章の端々に感応するのだ。
台詞の理解度が違う。
石尾!
このシリーズの主人公とも言える彼の思いが強烈に伝わってきた。
おこがましいが白石が自分に似ていると思い始めたら感情も高まってくる。
僕もエースにはなれない。
この再読は初めての不思議な感覚。
お薦めは、サクリファイス→プロトンの中の孤独→レミング→ゴールよりもっと遠く→サクリファイスの順番で読むこと。
でも、誰もそんな面倒なことしないですよね。


おとといも書いたけど近藤史恵の自転車小説。
読み手がチームの一員になった感覚を覚えるのだ。
臨場感とは違う。
人物描写が秀逸だからか。
エゴと隠謀がうずまくロードレースの空気を読み手に感じさせる。
作者は「全部想像で」書いているらしい。


…オールスター初戦で中村ノリが逆転ツーランの活躍。
中田翔が京セラドームの天井までボールを飛ばした。
同じ日、選手会WBCの不参加を決めた。
アメリカの主催者主導の開催を受け入れがたいとの結論だった。
主催者がアメリカチームの参加を条件に日韓のスポンサーから金を取ろうという魂胆が見え見え。
それでも盛り上がればいいじゃないかと言う声もあるが…。
僕はWBCという大会があまり好きではない。
かなり無理して感動を作り込んでる感じがする。
というよりナショナルチームにだけ盛り上がる人や昨今の風潮が嫌なのだ。
同じ理由で五輪報道も好ましく思っていない。
申し訳ないけど。


…夜9時過ぎからプールへ行く。
プール付きの家に住んでいるみたいでしょ。
熱帯夜にDVDで映画『パッセンジャーズ』を見る。
     


トイレ本にしてる内田樹『うほほいシネクラブ』でレビューを読んで見たくなった。
主演はアン・ハサウェイ、有名な女優さんで顔は知ってたけど映画を見るのは初めてかも。
町山智浩が「ちょっとドヒャとした変な顔の女優さんです」と前に紹介してたけど別嬪さんじゃないですか。
ペネロペ・クルスにちょっと似てるけど僕はこの映画のアン・ハサウェイの方がいい。


   飛行機の墜落事故が起こる。生存者は5人だった。
   セラピストをしている精神科医クレア・サマーズは、生存した5人の心のケアを受け持つことになった。
   グループカウンセリングの度に、窓の外にある人物の影が…そして、メンバーが一人ずつ消えていく…。
   クレアは航空会社が過失を組織ぐるみで隠すために、生存者を口封じのため狙っているものと疑い出し、解明のため奔走する。
   その中、生存者の一人エリックは、唯一自宅での個人カウンセリングを希望。
   事故のショックからか、躁状態とも言える彼の突拍子もない行動に、振り回されっぱなしのクレア。
   しかし、自分の心の痛みにそっと寄り添ってくれている彼に、戸惑いながらも次第に惹かれていく。
   そして、最後に意外な真相が明かされることに…。


内田先生のレビューで最後にドンデンがあると知って見続けた。
DVDで見ると残り時間がわかるので、いつひっくり返るんだ?まだか? とヤキモキする。
残り10分になっても真相はわからない。
そして…。
半分くらいからわかってましたけどね。
でも、サイコホラー系の仕掛けがあって何度も背筋が凍りました。
先生も書いてましたが、後味は意外なほど切なく爽やか、なのでした。
もちろんパッセンジャーとは乗客という意味ですが、もうひとつ「伝える、導く」という意味があります。
もうそれ以上は書きませんが。
http://www.youtube.com/watch?v=43wvuL1zPXA


この映画の舞台、字幕には出てこないので何処なのか気になっていた。
雨のシーンが多くて季節は冬なのかけっこう寒そうだ。
ん? シアトルかも、なんて思ってたらバンクーバーでした。