2008 ぷよねこ五輪観戦記(#11-21)


   4年前の北京オリンピック観戦記、後半です。


   



北京オリンピック観戦記 #11 ■
観戦場所は西宮市前浜町自宅


朝から晩までテレビの前でオリンピック中継を見た。


    


競泳男子200mバタフライで水の怪物が世界新で4つ目の金、いや5つ目だったかな?
松田丈志が銅メダルを獲得、彼には一昨年に実際に会ってインタビューした。
物静かな好青年という印象、「自分色」のメダルが獲れて良かったね。


バドミントン女子ダブルス準決勝、末綱・前田組がストレートで敗れる。
滑り出しは好調だったが、ねちっこい試合巧者の韓国ペアにやられた感がある。


女子体操、2大会続けて担当した平均台を観る。
あん馬と同様、カメラ位置や台数は変わっていないようだ。
日本のちびっこチームが健闘、団体5位に入賞。


続いて柔道、男子90キロで泉が一本負け、女子70キロの上野は順調に勝ち上がる。


BS1で福島が敗退、日本人選手の出ていない女子射撃の決勝を観る。


柔道、上野が金メダル。
日本の金メダルは、内柴、北島、谷本と全て連覇。


夜は競泳の予選、男子200m背泳ぎで入江が7位通過。


星野ジャパン、初戦はキューバ戦。
高給取り達のオリンピックが始まる。
フルスイング、全力疾走、全力投球、キューバ野球は魅力あるなあ。


現場に立ち会えば日本のメダル獲得率100%(らしい)
生島眼鏡堂氏から電話が入る。
フェンシング会場からだ。
凄い、日本が準決勝進出ですよ、と。


この日のエポックはフェンシング男子フルーレ決勝。
太田が勝ち上がりBS1が急きょ決勝を生中継する。
初めて真剣に見るフェンシングの試合。
これもバドミントンと同様に激しい運動量の多い競技だ。
ボクシングに近いのかも。
相手のドイツ選手との相性が悪いのか太田は苦戦、
ここまでの激戦に疲れてしまったのだろうな。
でも、フェンシング、かっこいいなあ。


最後は女子バレーのポーランド戦。


お前、何やってんだと言われそうだが五輪観戦はキツいなあ。
これって、世界陸上世界水泳と野球のWBCと世界体操、世界柔道
加えて世界バレーバドミントン、フェンシング…を同時にやってるのと同じじゃん。
今さら何言っんだ、と言われるかも知れないが、これって大変なことですよね。
シドニーアテネで現地にいた時は、もっとのんびりと観戦してたような気がする。
日本のテレビがうるさいのかな。


…姪と甥をばあばあの家に送り届けたヒロと夙川で合流、蕎麦処『侘助』で蕎麦を食べる。
唯一、外出したのはこれだけ、あとはずーとテレビの前にいた。


テレビ観戦もほどほどにしないとね、と思う。
気持ち悪くて落ち着かないのはどういうわけか。
情報が一方的にインプットされてくる。
脳にどんどんと溜まる。
いつか 容量不足です、とフリーズしそうな予感がする。


過剰なインプット(入力)、
で、アウトプットするわけでもない。
アウトプットが何を意味するかはわからないけど、スッキリとしないのだ。
中継映像の集中豪雨。(見なきゃいいのだが)
とにかく、現実感のない映像ばかりのオリンピック映像に中毒状態。
困ったもんだなあ、


仕事もしなきゃいけないし。
五輪はもはや仕事ではないし。
テレビ観戦もほどほどにしないとね、と思う。


気がつけば、今日は輝くような美しい夏の一日だった。


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北京オリンピック観戦記 #12 ■
観戦場所はYTV6Fフロア
     


出勤中に北島が2個目の金メダルを獲得。
世界新が出なかったせいなのか、これで終わったという安堵感からか、
本人のインタビューに100メートルの時の高揚感は無い。
静かな思いがゆるやかにこみあげているかの様子。
背泳ぎの入江は4位で決勝に進出。


柔道の鈴木桂治が初戦敗退、迂闊にタックルを食ってしまう。
女子の中沢さえという選手も初戦、2分過ぎに指導を受け、そのまま逃げられる。


フジテレビの北京のスタジオにフェンシングの太田が出演。
「準々決勝のドイツの選手、準決勝のイタリアの選手、どちらの選手にも勝てるのは
年に1回あるかないかの確率、それが8月13日に重なったのでしょう」と冷静なコメント。
つまり、鈴木桂治が連続一本負けしたのも年に1度も無いことが8月14日に重なった。
世界柔道や世界フェンシングが同時に行われているオリンピックゆえの偶然。


眼鏡堂氏が体操会場にいるとメールが入る。
男子個人総合、中継を見始めると内村があん馬で落下、富田がつり輪で失敗。
ああ、これでメダルは無いかな、と思う。
昼飯を食べに出ていると、内村が銀メダルとの知らせが入る。
新採点法ならこういうこともあるのかあ。
最後まで諦めなかったら後半で逆転も可能なのだ。
世界選手権でも後半にみんな失敗してたことを思い出す。
体操の個人総合はサバイバル、生き残れば結果は出るのだ。


でも、鉄棒の内村の演技構成はちょっといただけない、と僕は思う。
離れ技3連発は確かに素人受けする、いわゆるネモフの構成。
日本人はやったらアカンやろ、と思う。
かつての監物の鉄棒は予備スイングは一切無かった。
全てが連続技でフィニッシュまで無駄は無い。
ま、新採点法の影響もあるだろう。
おっさんのノルタルジーでしょう。


アーチェリー女子個人の決勝を見る。
韓国と中国、雨中の戦い。
ラスト5本で韓国が8点、中国がリードする。
ラスト3本、中国に金メダルのプレッシャーがかかる。
9点を連発、韓国は10点を決め追い上げる。
しかし、ラスト2で韓国が痛恨の8点。
これで決まったかな。
韓国はラストで10点を決める。
中国のラストの矢、8点なら同点延長、9点なら金メダル。
見ている僕らも緊張する。
9点! 中国が優勝!
アーチェリー中継、分かりやすくて面白い。


競泳予選、柴田亜衣が不調で予選落ち。
隣のコースがぶっちぎりの先頭を行く選手、
ターンするたびにその差が拡がって行く。
辛いだろうな。
解説が「先頭の選手とすれ違うたびに柴田はゴーグルの下で涙しているでしょう」と言う。
これもオリンピックの現実。


野球の台湾戦は雨で1時間遅れのプレイボール。
マー君と中島の地元である伊丹のパブリックビューイングにカメラを出している。
長い試合を日本が制する。
涌井から岩瀬、藤川、上原とつないで逃げ切る。
帰宅したのは深夜1時過ぎ。


やらなければならないことがいっぱいある。
何もせずにまたオリンピックで一日が過ぎてしまった。



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北京オリンピック観戦記 #13 ■
観戦場所はYTV6Fフロア
    


今日もデスクをしながら五輪中継から目が離せない。
心落ち着くことがない。困ったことだと思う。
中国による中国のためのオリンピックなんて、と思っていたはずなのに。


競泳男子、背泳ぎの入江は5位に終わる。
スタート前の表情が思いっきり緊張してた。
ジャパンカップSPEEDOを着て日本新記録を出した入江だが
聞くところによるとそのレーザーレーサーが不調の一因だと言う。
筋肉の出来上がっていない成長期の選手にとって締め付ける水着は大きな負担になるらしい。
入江はまだ少年の身体だものなあ。


アーチェリーの守屋は準々決勝敗退。
ウクライナの優勝候補との対戦で、守屋は第1エンドの3射をオール10点!
しかし、これで心が乱れたのか、第2エンドでいきなり7点、続いて7点、
守屋自身が言っていた「半死に(はんじに)」のエリア連続してしまう。
アーチェリーはなるほどメンタルな競技だと思う。
平常心を保つのは難しい。
淡々と9点と10点を並べるウクライナの選手、顔がプーチンに似ている。
沈着冷静、無表情、冷酷そうでさえある。
結局、このウクライナプーチンが決勝進出、韓国の強豪と対戦する。
ここでもプーチンは最終エンドまでリードを許す。
が、しかし韓国の選手が最終エンドで金メダルを意識したのか8点を撃つ。
プーチンが9点、10点、9点で逆転金メダル!
9点か10点以外は絶対に外さないプーチン、アーチェリーの強さはこの安定感に尽きる。


柔道は最終日。
女子の塚田真希が中国の巨漢選手に残り11秒で一本負けで銀メダル。
男子の石井慧は決勝で優勢勝ち、最重量級で金メダルを獲得した。
NHKに出演した石井が言う。
「柔道に“指導”というルールが無くならない限り、自分の柔道は変わりません」と。
日本選手権の時に石井をボロカスに言っていた解説の篠原も実況中継で勝利を讃えていた。
でも、石井のフラッシュインタビューを聞いたあと、
「しゃべらない方がいいですね」と一言。
確かに、何を言ってるのかよくわからなかった。
あとで斉藤先生にもお叱りを受けるだろうな。
斉藤仁や篠原にドツかれながら石井は自分なりに自分の考えを通したのだろう。
でも、石井を見てるうちに、亀田(興毅)に似ているなと思う。
それにしても王者リネールはどうして負けたんだろ?


塚田真希はいいね。
ゆるキャラというか、人を緊張させない。
着ぐるみのような日中の二人の決勝は手に汗握る激闘だった。
にも、かかわわらずユーモラスで、ユーモアというのは偉大だなと思った。
逆転負けした場面、一本背負いでゴロンと転がされるところさえ微笑ましい。
泣きべそをかいた顔も、表彰台の笑顔もカワイイなと思う。
スタンドの妹は普通の女の子なんだな、これが。


バドミントンの3位決定戦。
末綱・前田ペアは中国に完敗、メダルを逃す。
この試合を中継していたのはフジテレビだが、
なぜか試合のライブ映像に実況音声が流れない。
スタジオの古田と平井アナのコメントで試合は進む。
これってルール違反じゃないの?
それに試合はちゃんと実況アナで伝えて欲しい。
現地のコメンタリーブースにトラブルがあったのだろうか?


陸上も今日から始まる。
為末、成迫、朝原は準決勝に進めず、室伏、塚原は進出。
なでしこジャパンは中国に勝ち、星野ジャパンはオランダに勝つ。
明日から女子レスリングが始まる。


高校野球阪神横浜戦のニュースを裏送りしてデスク終了。
帰りの深夜タクシーに乗っていて50周年特番について焦り始める。
こんなんでいいのだろうか、とためらっていたら編集まで1週間を切った。
“覚悟を決めて”(by 中村礼子)自分に出来る限りの(as much as I can)ことをしよう。
明日からしばらくは他のインプットを遮断する覚悟を決める。


陸上女子10000m決勝をヒロと観る。
ラスト1周の女王ディババのスパートには驚きを通り越して笑ってしまう。
他とは違う動物だなあ、あれは。


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北京オリンピック観戦記 #14 ■
観戦場所は自宅&YTV6Fフロア
   


自宅で競泳の背泳ぎ女子200m決勝を見る。
中村礼子アテネに続き銅メダルを獲得。
彼女を見ていると何故か心が落ち着く。
頭が良さそうだなと思う。
しっかりしたいい嫁さんになりそう。
新潟出身、いっしょに日本酒を飲みたいですね、なんちゃってですが。


男子100mバタフライ決勝。
フェルプスが負けたかに見えた。
しかし、電子掲示は1位。
え?と思う。
フェルプス7つ目の金メダル。
ちょっと疲れてきてるが、あと一つ。


女子レスリングの決勝はYTVで見る。
吉田沙保里はまさに最強、圧倒的な強さで中国の若手をフォールした。
アテネでは女子レスリングを全く見ていない。
こんなに強かったのか、と改めて最強女王の強さを痛感する。


卓球もチラ見するが、男女とも団体戦を闘っている。
テレビの画面からも闘志が伝わってくるような戦いぶりだ。
女子ホッケーやトランポリンもやっている。


仕事が全く手につかない。
マジで焦っているのだが…。


野球が始まる。
今日は韓国戦、WBCで二度負けた相手だ。
韓国リーグのレベルは別としてナショナルチームは強い。
先発は和田、韓国は20歳のサウスポー、こいつがいい。
井川タイプだがルックスが斉藤佑樹をより男らしくした感じ。


陸上男子100m準決勝を見る。
ウサイン・ボルトの走りは異次元だ。
左右の選手を見ながら軽く流すレース運び、
これはトップ選手のパターンなのだが、違うのはタイム。
ボルトは流して9秒8台なのだ。
大きい選手、ストライドが違う。
タイソン・ゲイが決勝に進めない。
もう一人、アサファ・パウエルは緊張した走り、
ボルトのリラックスぶりと対照的。


野球、韓国戦は2対2の同点。


…11時半過ぎに帰宅。
帰るとヒロが興奮している。
100メートル決勝、世界新だよ、9秒69!
惜しい、生で見ることが出来なかった。
スロー再生で見る。
オリンピックの決勝で胸を叩いてフィニッシュする選手なんて初めて見た。
しかも、人類史上最速のタイム!


男子バレーはベネズエラにストレート負け。


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北京オリンピック観戦記 #15 ■
観戦場所は自宅&YTV6Fフロア
    


女子マラソン、土佐は外反母趾の激痛でリタイア。
中村は2回目のマラソンを普通に走った、という感じで12位。
序盤、レソトの黒人選手が集団のトップに出る。
ウエアも素人っぽくて決して速そうに見えない。
案の定、ほどなく脱落する。
ペースメーカーが役目を終えたように集団ははずれる。
(彼女はもちろんペースメーカーではない)
身体に深刻な変調があるように見える。
だが、一旦は脱落したこの選手は再び集団に復帰する。
かなり苦しそうだ。
解説の有森がどこかが痛いのでしょうね、と言う。
また脱落する。
すると、またゾンビのように集団の前に姿を現す。
南アの領内に独立する国レソトは決して豊かな国ではない。
何かのっぴきならない理由があって彼女は走っているのではないか。
メダルを獲って世界に訴えたいことがあるのか、
あるいは家族の一人が脅されていて死んでも走らなければならない理由があるのか。
そんなことさえ想像する無謀な走りに見えた。
ほどなくして彼女は消えた。
ラドクリフも中盤にメダル争いから脱落。
金メダルはルーマニアの選手、2位にアテネと同じケニアのヌデレバ
リディア・シモンが8位に入る。
この選手も強い。
シドニーで銀、大阪の世界陸上でも5位だったのではないか。


競泳は最終日、男子メドレーリレーの銅メダルは価値ある銅だと思う。


女子レスリングで伊調姉妹の妹が薄氷の金メダル。
浜口京子が銅メダルを獲得、アニマルが吼える。
うーむ、この親子はどうなんでしょって思う。
アニマルも京子も嫌いではないのだが、何だか行く末を心配してしまう。
余計なお世話なのはわかってますが。


女子卓球の団体は韓国に完敗。
女子バレーは中国にストレート負け。
バレーボールやサッカーは出場権を巡る予選の段階でテレビが連日スター扱いする。
その時点でオリンピックは終わっているような感じがする。


室伏は5位に終わる。
本人からギラギラしたものが抜けてしまっている。
若くして哲学者になってしまった。


陸上の決勝種目。
女子100mはジャマイカが表彰台独占する。
今日は生で見られた。


タクシーで深夜帰宅すると男子10000m決勝の途中だった。
6000メートルくらいか。
エチオピアの皇帝ハイレ・ゲブレセラシエが集団を引っ張る。
その中には新皇ケネニサ・ベケレがいる。
この二人が一緒に走るのは初めて見た。
ゲブレが勝ったら凄いな、と思いながら見つめる。
集団にはスズキのマーティン・マサシもいる。
去年の菅平、マサシはサンダルを履いて一人で朝の散歩をしていた。
日本からは松宮と竹澤が出場しているがすでに集団にはいない。
先頭はケニア2人、エチオピア3人、エリトリア1人。
もの凄く速い。
周回遅れの選手が次々と食われていく。
スト2周、ゲブレが新皇帝ベケレに合図をする。
行け! みたいに。
集団のペースが上がる。
松宮が周回遅れとなる。
マサシが遅れる。
ゲブレが遅れる。
マラソンに転向したゲブレにかつてのスプリントは残っていないのか。
ラストラップ。
弾けるように新皇帝が発射。
竹澤がスパッと抜かれる。
え?と驚いたような表情。
(国内では逆の立場なのにね)
大阪の世界陸上で見た必殺のスパート。
きたきたきたあ、と思わず笑ってしまう。
エチオピアのワンツーフィニッシュ。
ベケレは五輪新の27分01秒。
もう少しで26分台だった。
マサシは惜しくも4位。
終始ペースを作って揺さぶりをかけた皇帝ゲブレは6位に終わる。
ベケレのラスト1キロのラップタイムを聞いて驚く。
2分20秒台だと言う。


でも、ゲブレって喘息で北京のマラソンは出ないはずだったのでは?
で、1万に切り替えたの?それとも中国に説得させられたのか?


…ニュースデスクの仕事と五輪放送に悩まされながらも仕事を進める。
夜になり決勝種目がちらつくと仕事のペースが格段に落ちる


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北京オリンピック観戦記 #16 ■
観戦場所は自宅&YTV6Fフロア


陸上、男子200m一次予選で末続が通過ならず。
大阪世界陸上、日本選手権と不調が続いている。
4継は大丈夫だろうか?


通勤途中、ヒロから、リュウショウが棄権!と携帯メールが入る。
110mハードル、北京五輪のシンボル劉翔が棄権したとの報。
日本で言えば、野口みずきが棄権した以上の衝撃ではないか。
加えてライバルのトランメルも棄権したらしい。
大阪の決勝で大接戦を演じ、互いに顔を見合わせフィニッシュした。
北京では再現ならず。


今日は真剣モードで観なかった日。
野球は気づいたら終わっていた。
手強いのでは?と思っていたカナダ戦に1-0で辛勝。
先発成瀬の好投と稲葉の一発で逃げ切る。


女子トライアスロンで期待の上田藍は17位に終わる。
レース運びのミス、スイムの遅れをバイクで無理をして取り戻したツケがランで出た。
井出樹里が5位と健闘する。


体操の種目別、女子トランポリン決勝をチラ見。
女子サッカーの準決勝、日本vsアメリカの前半途中で会社を出る。


帰宅すると1-4で負けている。
もしや女子サッカーが金メダル?と期待したのに…。
ロスタイムに1点返すが3位決定戦、相手はドイツだ。


女子棒高跳びの録画を見る。
イシンバエバが5メートル越えの世界新
以前から気になっていたフェオファノワは銅メダル。
戦争に行った夫をロシアの大地で待つ薄幸そうな妻のイメージなのだ。


…編集の準備に1970年代の『野球教室』のフィルムを見る。
懐かしいのはもちろんだが、プロ野球の取材環境がゆるくていい。
今は何でもスター扱いだ。
プロ野球ニュース」が始まったあたりかだろうか。
フジの成功に各局がスポーツニュースを拡大させてた。
取材環境が激変したのは殺到するテレビのせいでは?と推測する。


ドカベン香川が呉キャンプで幼稚園児に「でぶー!でぶー!」と言われている。
ルーキーの近鉄金村はイチロー似で凛々しい。


久々にPODCASTで「ストリーム」を聞く。
コラムの花道やブックレビューに影響されてamazonで本を注文する。
泉麻人『シェーの時代〜「おそ松くん」と昭和こども社会〜』
トヨザキ社長推薦の長嶋有『僕は落ち着きがない』。
加えて本屋に並んでいて読みたいなと思った一冊、星野博美『愚か者、中国を行く』の3冊。
星野博美さんというのは写真家 橋口穣二のアシスタントをしていた経歴の持ち主。
橋口氏の『ベルリン物語』は若い頃に感銘を受けた一冊。


紀伊國屋でも一冊買ってしまう。
上原隆の新刊『胸の中にて鳴る音あり』、日本のボブ・グリーンだ。
仕事の合間に最初の一編「東大の時計屋」を読む。


PODCASTで聞いたネタをもう二つ。
椿(ツバキ)の花はご存知のように花びらを散らさず一個の花ごと落ちる。
それは知っていたのだが、落ちる時に必ず花を上に向けるという。
そうだったのか、と合点する。
4月に見た椿の落花、まるで誰かが意図的に並べたようだった。
セルジオが、並べたんじゃないの?と言ってたがあれは自然の成せる業だったのだ。


居酒屋の達人 太田和彦が「ラジオ版学問のすすめ」で言う。
夢のような思いをした居酒屋は?と聞かれ、島根県益田市にある店を挙げていた。
行きたい、と思う。
しかし、益田って凄くアクセスが悪いんだよな。
網走や石垣島の方が近いような気がする。


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北京オリンピック観戦記 #17 ■
観戦場所は自宅&YTV6Fフロア
   

 
男子トライアスロン
トライアスロンの生中継をスタートからフィニッシュまで見たのは初めて。
トライアスロンのレース中継、いやあ面白かった。


スイムは誰が誰だかよく分からないし、差もそれほどつかない。
順位よりもここはいかに消耗度を抑えて上位グループに入るかが勝負だな。
田山は4位でバイクに移行する。
バイクは50人ほぼ全員が大集団(プロトン)を形成する。スイムで落ちこぼれた選手は皆無だ。
自転車が得意のヨーロッパの選手が何度か逃げを打つ。
自転車のロードレースと同様に単独では逃げ切れず、ほどなくプロトンに吸収される。
日本の山本良介も単独で前に出るがすぐに飲み込まれる。
ランキング上位の有力選手は集団にいて決して目立たない。
集団のペースを決めているのは彼らだろうか。
バイクの終盤で3人の選手が飛び出す。
単独ではないので先頭を順に交替しながらペースを上げていく。
メキシコ、ベルギールクセンブルクの選手。
1分以上の差がつくが集団はあえて追わない。
こいつらの力ではランで逃げられない、と判断してのことだろうか。
集団の中のトップ選手の会話が聞こえてきそうだ。
追う? 
逃げてるの誰?
ベルギールクセンブルクとメキシコ、
じゃ、放っておこう、
大丈夫か?
問題ない、
心配なら行けよ、つきあうよ
いや、やめとこう
ペースをちょっと上げとこうぜ
逃げる3人のうち力の弱いメキシコが脱落。
ベルギールクセンブルクはバイクのラストで互いに健闘をたたえ合いハイタッチする。
さあ、ランだ、逃げるだけ逃げようぜ、と。
バイクでつけた集団との差は1分20秒くらい。
田山も山本も集団の最後尾、ちょっと苦しい展開か。
最後の勝負、ランが始まる。
10人くらいの追うグループには金メダリストや現世界ランキング1位が含まれている。
逃げるベルギールクセンブルクは3キロ過ぎでトップ集団につかまる。
つかまっちゃったよ、と互いに顔を見合わせる。
5キロ過ぎからトップ集団にゆさぶりがかけられ、何人かが脱落していく。
残ったのはスペイン2人、ニュージーランド1人、ドイツ1人、カナダ1人の5選手。
ラスト2キロでシドニーの金メダリスト カナダのベテラン選手が脱落する。
残るは4人。
一人はメダルをとることが出来ない。
壮絶な椅子とりゲーム。
残り1キロ、メインスタンド前で各選手が猛然とスパート!
スペインの一人が遅れる。
その時、背後からカナダのベテランが迫る。
いったんは死んだか見えたシドニーの金メダリストがゾンビのように蘇った。
ここでもうひとりのスペイン、金メダル最有力の選手が力尽きる。
おお、最後の直線でカナダのゾンビがトップに立つ。
残り100メートル。
実況アナが、2大会振りの金メダルです、と言った瞬間、
競っていたドイツの選手が目が覚めたように猛然とスパート!
うおおおおおおおおおおおおお!と声が聞こえるような追い上げ。
カナダのゾンビが諦めたようにペースを落とす。
ドイツが金、カナダが銀、3位にはニュージーランドが入る。
ふと、この中継を村上春樹は見てるだろうか、と思う。
きっと、いや絶対に見てるな。


田山は47位と惨敗する。
どこか故障があったのだろうか。
それともハイペースについていけなかったのか。
5月に取材で本人に会った。
爽やかで腰の低い、眩しくなるほどいい奴だった。
会えば応援したくなる、というタイプ。


メダリストの歓喜の裏には夥しい敗北がある。
五輪は、叶えられなかった夢と報われなかった汗の墓場でもある。
でも、思うのだ。
“結果が最初の思惑通りにならなくてもそこで過ごした時間は確実に存在する。
 そして、最後に意味を持つのは結果ではなく、そこで過ごしたかけがえのない時間なのだ”
写真家 星野道夫さんの言葉、本当はこれだと思うよ。


男子レスリングのフリースタイルで銀と銅。
僕らの世代、レスリングは日本のお家芸と言われた。
東京やメキシコでは各階級でメダルを獲ってた記憶がある。
まだサークル状ではなく四角いマットで試合をしていた時代だ。
『アニマルワン』というアニメ番組があった。
♪ がーんばれアニマルワン、メキシコ目指して!


野球は中国にコールド勝ち。
でもなあ、オリンピックのニュースに、次は野球です、と
阿部とか矢野とか、星野仙一が出てくるのには違和感が拭いきれない。
パリーグはともかく、巨人や阪神の選手はなあ)
やっぱ、オリンピックはせいぜいアマチュアチームでいいよなあ。
正直、なんでプロが出てんだ?って思う。


帰宅してトランポリン男子決勝を見る。
外村は惜しくも4位。
金は中国、銀はカナダ、銅も中国。
でも僕らがダントツで美しく高くキレもいいと思ったのは銅の選手だった。
採点がよくわからない。


陸上、女子100mハードル決勝。
トップを走っていたアメリカの選手が最後から2番目のハードルに足をひっかける。
転倒は免れるがもたついた瞬間、ほぼ全員に抜かれる。
呆然とする選手、かなりの美人選手だった。
(ジョーンズという選手、白黒混血でホイットニー・ヒューストンかバネッサ・ウイリアムズ)


陸上、昨日の女子棒高跳びの表彰式を見る。
イシンバエバが涙、アップにすると映画のワンシーンのようだった。
女優みたいだもんな。
銅メダルのフェオファノワはたくましく、かつ垢抜けていた。
以前の薄幸のイメージがなくなってました、個人的には残念。


…早めに帰宅、と言っても10時前。
編集、どうにでもなれ、どうにかなるやろ、と居直りの気分。
あと10日で終わる。
楽しくやればいい。
秋の楽しみを考えてほくそ笑む。


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北京オリンピック観戦記 #18 ■
観戦場所は自宅&YTV6Fフロア
    


オリンピック中継も高校野球も見ずに朝食をとる。
静かな朝、こんなふうにお祭り騒ぎと関係なく過ごすことも出来るのだなあ。
YTVに行くと当然モニターがそこら中にあって五輪中継の垂れ流し。
ま、いっか。


ソフトボールは決勝トーナメント。
アメリカとの延長タイブレイク、エース上野が主砲ブスカスに特大のスリーランを浴びる。
ページシステムなのでまだ金メダルの可能性は残る。


夜はオーストラリア戦、勝ったかと思ったが最終7回にホームランを打たれ延長へ。
6階のスポーツ局のフロア、生中継のテレビにスタッフが集まり声を出して応援する。
上野の力投は続く。
アテネでは中継を見ていないので知らなかったが解説の宇津木妙子さんが凄い。
日本がいい当たりをされた瞬間、絶叫というか悲鳴というか、
“うわあああああああああ!”とか“ぎぁああああああああああ!”なのだ。
しまいには明らかにファウルとわかる打球もいい当たりだと、“ああああ!”だ。
アンタ、僕らよりわかってるはずでしょ、と思う。
そうかと思うと、自分が絶叫したのも知らぬ顔で冷静な解説でノムさんばりにぼやき連発。
宇津木さんは面白い。


で、日本は延長タイブレークで西山のサヨナラ打で勝つ。
上野は300球のまさに力投、一球一球に魂がこもっていた。


NHKでは野球のアメリカ戦。
こっちはどーでもいいよって感じで見る。
互いに、どうぞどうぞ、って感じで試合をしているように見えた。
勝ったらキューバ、負けたら韓国。
ソフトボールの無名の選手たちのひたむきな戦いを見た後では気合いが入らない。


シンクロ、卓球の個人戦、などをチラ見する。
オリックス戦のニュースを送り終えると陸上男子200m決勝が始まる。
100mを生で見逃したので真剣に見る。
歴史が変わる瞬間を見るのだ、と気合いを入れる。
10年後、ボルトの世界新読売テレビの仕事をしていた時に見たんだと思い出すだろう。
そうそう同じ日にソフトボールで盛り上がってねえ、と。
オリンピックの記憶はそんなふうに刻まれていく。


…仕事の方は開き直りと煮詰まりが交互にやってくる。
ヤケクソになった方が楽なのかと思いつつ、ちょっとヤケクソになってもいる。
A氏に誘われデスクを抜け出し「なにわ翁」で蕎麦酒をする。
これも“ま、いっか” ガス抜きだと思え。
9日目の断酒破り、瓶ビール半分でほろ酔いになる。
被害は最小限にとどめて、明日からまた断酒。


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北京オリンピック観戦記 #19 ■
観戦場所は自宅&YTV6Fフロア


オリンピックも終盤、ここからは世界最強決定戦という感じになる。
朝食の時に男子バレーボール準々決勝を見る。


肉食獣だ。
セルビア対アメリカを見てそう思った。
ボールが破裂せんばかりの強打、火花が飛び散るようなブロック、
オレンジコートの肉弾戦、激情が迸り、1ポイントごとに咆哮が轟く。
一戦必勝の決勝トーナメントに入って 本能に火が放たれた。
とにかく闘争心むき出し、激しいのである。
こういうのってサッカーも同じだよな、と思う。
ユーロやチャンピオンリーグを見ていると日本のそれとは別のスポーツに見える。


おそらく日本は草食動物なのだ。
肉食獣は本能で察知する。
コイツラハ 食ウタメノ餌ダ と。
闘争本能は100%全開する必要はない。
草食動物を狩るために必要な戦いをすればいい。
合わせてしまう、のだ。
だから、別のチームのように見える。
あれ?この程度だったのかな?と。


男子バレーは肉食獣の戦いになった。
負ければ自分たちがエサになる。
アメリカと闘っているのはセルビア
シドニー五輪ではユーゴスラビアとして金メダル、
アテネではセルビアモンテネグロで出場したのでは?(違うかも)
今回はセルビアでベスト8に進出した。
アメリカには負けられない。
空爆の恨みがある。
闘将グルビッチの弟ニコラ・グルビッチがチームを鼓舞する。
フルセットの大接戦、しかし勝ったのはアメリカ。


もう一試合、ブラジルと地元中国。
凄まじい応援の中国をブラジルが完膚無きまでに叩いた。
国民の目の前でこてんぱんにやっつけた。
間違って出てきた草食獣を肉食獣が食べ散らかしたよう。
ライオン、虎、北極グマ、黒豹に混じったバクみたいなもの。


ブラジル、圧巻は高速パイプ攻撃。
長身セッターの平行トスにセンターが反応する。
クイックが決まったかに見えたがそれは囮(おとり)に過ぎなかった。
死角から凄い距離のブロードジャンプでバックアタックが決まる。
中国相手にそこまでしなくても、と思うほど容赦ない。


卓球の個人戦、福原愛の相手は世界チャンピオンの張。
健闘するもストレート負け。
愛ちゃんの表情、瞬間ドキっとするほどキレイに見える。


女子サッカーは3位決定戦。
ドイツに0-2と敗れメダルを逃す。
でも、大健闘に拍手。


ソフト決勝、日本がアメリカを破る。 
まさに全力投球!うなりをあげるウインドミル
エース上野かっこいいなあ。
星野ジャパンにプレッシャーだなあ、と思いながら見る。


解説の宇津木さんが最高さった。
放送席には冷静な宇津木監督と別人格のタエコがいる。
レストへの大飛球に「入った、入った、入った」とタエコ。(入ってねえよ)
チャンスで内野ゴロに「アタ、アタ、アタ、当たった当たった!よし、よっし」
実況の工藤さんが「今の声は私ではありません」と言い訳するのが面白い。
「宇津木さんの声に私も一瞬驚いてしまいましたが 2アウトです」
優勝の瞬間はタエコが絶頂に達した。
そして、絶句。
肩車だれた上野が放送席の宇津木さんに向かってガッツポーズをしていた。


陸上男子4継予選。
アメリカがバトンを落とす。
予想されたことが現実となった。
日本より格上と思われるナイジェリア、イギリス、南アも失格。
追い風が吹いてきた。
これで決勝で本命のジャマイカがボルトのゾーンオーバーかなんかで失格になったら…。
日本が金メダル!?
ショートトラックブラッドバリー現象が起きるかも。


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北京オリンピック観戦記 #20 ■
観戦場所はYTVスポーツライブラリー


中国の女子体操選手の年齢が詐称ではないかと米メディアの話題になっている。
そうかもしれないなあ、と僕も思うが、見かけで言えば日本の鶴見も大島も同じだ。
実際に現場で女子体操を見ると(失礼だが)ちょっと気持ち悪いよ。
採点法が変わり難度重視になれば余計に曲芸に近くなる。
女子体操は以前には低年齢化がこれ以上進まないようにする動きがあったのに…。
選手の矮小化は北京五輪でますます進んだような気がする。


テレビ各局にソフトの上野が出演している。
野球はどうなったんだろう?
やはり、僕にとって長嶋“泳いで帰れ”ジャパンであろうが星野ジャパンであろうが、
オリンピックという名のもとにプロ野球選手はしっくりこない。
もの凄いプレッシャーと言うが、負けても自分らのチームに帰り年俸は保証されている。
4年という歳月をこの勝負にかけてきたわけでもない。
柔道や競泳やソフトに比べてチームとしても個人としても切実さと戦う理由が希薄だ。


それにしてもソフトの斉藤監督は影が薄い。
実はこの人、8年前のシドニー特番に投手の石川多映子らと中継で出演してもらった。
その時にも編集でカットされてひと言もしゃべってなかった。
キャプテンだったのに…。

この日、一番の感動は男子4継の銅メダル。
桜井某とか平井某がこのメダルの持つ意味とか、朝原選手の思いとか、
語る、語る、語る。聞いていて嘘くさいからもういいよ、と思う。
24時間テレビの偽善的な雰囲気を思わせる。
お前らは語るな。


それにしてもジャマイカが凄かった。
日本の銅メダルもいいのだが、JCの実況もこの世界記録にもう少しは触れて欲しかった。


夜、卓球女子決勝を観る。
オウナンとチョウ・イネイの中国の新旧エース対決。
これは凄い試合でした。
フルセットの末、若い張が勝つ。
王楠は時おり笑顔になったり、シンドそうな顔をしたり感情が出た、
それだけベテランになって人間性も豊かになって余裕でもあるのだろう。
ヒロが、その差が勝敗に出た、と言う。
こんな勝負は勝ちたいという一切の感情を捨てた方が勝つ。
チョウ・イネイは厳しい顔を終始変えなかった。


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北京オリンピック観戦記 #21 ■
観戦場所はYTVスポーツライブラリー&自宅


陸上トラック5000m決勝。
ベケレのスパートにはその痛快さ、明解さは見ていて自然と笑ってしまう。
三段階に加速しても実はまだもう一つ高速のギアを隠しているかのような余裕。
ベケレと女子のディババ、この二人は凄い。
ボルトもフェルプスも凄いがそれに匹敵する強さだと思う。


長距離の上位、いや決勝にさえ白人の姿はない。
国籍は米国、デンマークとあるがアフリカン以外は消えてしまった。
昔はヌルミ、サトペック、ラッセ・ビレンなど欧州が強かった。
そういえば100m決勝もアフリカン以外は消えた。
ミュンヘン五輪ではソ連のボルコフが金メダル獲ったのにね。


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■Numberの五輪別冊読後記■



星野ジャパンへメディアが手のひら返しのバッシング。
でもまあ、批判してるのは新聞、週刊誌だ。
テレビは見なかったふり、なかったふりしてますよね。


以下、長くなるので興味のない人、
星野ジャパンの戦いに感動した、と言う人は読み飛ばして下さい。


痛快だったのがNumberの五輪別冊に載った奥田英朗の観戦記。
待ってました!と快哉を上げげてしまいました。
アテネ長嶋ジャパンを“泳いで帰れ”と名ゼリフで切った刀で星野を切った。
奥田節炸裂!
氏の著書「野球場へ行こう」を読めば奥田英朗がどれほど野球好きかが分かる。
自腹で球場に通ってヤジを飛ばす昭和40年代までは多数派だった正統派のファンだ。
中日ファンだ。
時に厳しく、時にあたたかく。
今は、厳しくするべき時だ。
自腹で野球場に通った人が怒っているのだ。
怯えているような野球をして敗れるべくして敗れた代表チームに。


その代表チームはなんだか気持ち悪いような扱い方をされていた。
たかがプロ野球の寄せ集めじゃねえかと僕は思ったものだ。
WBCでも感動なんてしなかった。
イチローのはじゃぎぶりとマスコミの感動の押し売りに違和感だけを感じた。


さて、奥田観戦記だ。
選手にはやさしい。
特に中日の投手、打ち込まれた岩瀬と川上にはやさしい。
凡ミスしたGG佐藤にも奥田英朗はやさしい。
引用させてもらう。
以下、『Number Plus』北京オリンピック完全保存版より抜粋。
カッコ内はぷよねこコメント。
  

 (韓国との準決勝に大敗して)
 結果論で言うわけではないが、わたしはこうなる気がしていた。
 星野監督は五輪前に「ベースボールの素晴らしさを世界に伝えたい」と
 のたまっていたが、わたしはこのチームの戦いに魅力を感じたことは一度もなかった。
 美しさも、官能も、勇気も、粋も、何ひとつない。
 仮に勝ったところで、誰も憧れない野球なのだ。


 (もう一つの準決勝、キューバ対アメリカが始まる)
 観ましょう。
 キューバなら、わたしの好きな野球を見せてくれる。
 アテネ五輪でもキューバチームを観たが実に美しかった。
 爽快で官能的なのだ。
 彼らは権利でプレーする。そして勝つ。(野球は義務ではないのですね)
 彼らこそがスポーツの伝道師だ。


 (僕の感じていた違和感を説明してくれた)
 そもそも星野ジャパンについては最初から懐疑的だった。
 サッカー日本代表の人気に目をつけた代理店筋が、野球でそれも出来ないかと画策し
 五輪野球を利用した。
 そしてプロ野球機構と手を組み野球日本代表を金のなる木にしようとした。
 キャンプ視察、候補選手の発表、海外視察。
 何もかもが大仰だった。
 実際のところ、五輪の野球種目に真剣に取り組む国など、
 韓国と台湾とキューバぐらいしかないのに、それは見ないふりして、
 さもビッグイベントであるかのように見せかけた。
 マスコミもそれに乗った。
 視聴率や部数を稼ぐためには少しでも話題が欲しい。
 星野監督と選手たちはネームバリューも実績も十分で、
 オリンピックの有力なコンテンツになるはずだった。


 バカヤローな話ではないか。
 わたしは、コメント欲しさに媚びを売るぶら下がり記者ではないから
 遠慮無く言わせていただく。
 ドラマを捏造してスポーツを汚すな。
 野球に偽善を持ち込むな。
 ちょっと興奮してしまいました。


 (星野ジャパン、3位決定戦にも負けて)
 さあ、帰るぞ。
 その前にひとこと野次ってやる。
 選手が一塁内野スタンドの前に並んだところで、わたしがレフト外野席から大声を発した。
 星野、こっちにも顔かせ!
 ところが次の瞬間、わたしは耳を疑った。
 スタンドの日本人客から拍手が起こったのである。
 「お疲れさまー」の声もかかる。
 信じられん。こんな恥さらしなチームに。
 四年前のアテネとまったく同じである。
 銅メダルをかろうじて獲っただけの長嶋ジャパンに、スタンドは温かかった。
 「感動をありがとう」の横断幕さえ揚がった。
 わたしは猛烈に腹が立ち、心の中でひとこと叫んだ。
 それと同じ言葉を、ここ北京でも言わなくてはならない。
 おまえら、泳いで帰れ。(出たあ、待ってました!)


 結局、星野ジャパンは弱かった。
 アメリカに2敗、韓国に2敗、キューバに1敗。
 これでどんな言い訳が出来る?
 日本のプロ野球選手は大舞台に弱い。
 それは日頃、いいように甘やかされているからだ。
 ブーイングをしないファン、関係者を気取り批判をしない新聞とテレビ、
 外国人枠に保護されたぬるい競争。
 そういった環境の中で、少し活躍するとちやほやされ、大金が転がりこみ、
 本当のプレッシャーを知らずに「スター選手」になってしまう。
 アメリカ代表のマイナー選手たちは、日本選手の年俸を聞いて鼻で笑うに違いない。
 「いい国にお住まいで」と皮肉のひとつも言う。
 わたしはガキの頃からのプロ野球ファンだ。
 本当にがっかりした。


 物書きとはまことに因果な商売である。
 一生懸命やっている人を野次り、皮肉り、原稿料を稼ぐ。
 もっとも読んでくれる人がいないと、いとも簡単に失業する。
 その点ではプロ野球選手と同じだ。
 だから遠慮はしない。


何のために書き写しているか?
痛快だから、だ。
星野さんがキライでたまらないと言うわけではない。
エラそうにする奴と勘違いしている奴と金持ちがキライなだけだ。


記者会見で、敗れてストライクゾーンの批判をするのは恥だろ、と思う。


でも、星野ジャパンは日本人自身のうつし鏡なのではないか、とも思う。
過保護で、おだてられて、批判されるのが嫌いで反発心も無い。
ついでに言えば、サッカーの日本代表も嫌いだ。
アジアのどこの国よりも優遇されて自国のリーグも好環境なのに、
すぐに悲劇の主人公になって。絶対負けられない戦い、となる。
これはテレビ朝日のキャッチか。


批判はこれくらいにしておこう。


奥田氏の観戦記が載っているNumber 別冊号に面白いミニ記事を発見!
眼鏡堂氏も書いている「17days Diary」がそれだ。
中でも傑作は「編集Tの北京美女探訪記」だ。
「美しい旗手は誰だ」でドバイのテコンドー選手を紹介、
アラブの大富豪の娘と知り一言。
“大金持ちの令嬢に思い切り蹴られてみたいという方にはおすすめです”って、
何がオススメなのだ。
でも、Tさん、つかみはOKです。
日本テレビの鈴江アナの隣に座り観察する。
“会見中にチラ見してわかったこと。左利きです(どうでもいいが)。
そして、字は汚いです。(もっとどうでもいい)”
飛び込み競技は美女が多い。
“なぜ演技が終わったあと、すぐにシャワーを浴びるのだろう。なにか重要な意味があるのか
そもそも観客の前で浴びる必要があるのか?”
僕が好きなネタは「スエマエ」のだ。
“スエとマエの魅力は、その同僚OL感に尽きる。普段は明るくて優しい子だな程度の印象
なのだが、たとえばあるプロジェクトをともに任され、そのがんばり屋さんぶりに
心を奪われる。そしてそれはいつしか好意へと転じる。
「俺、スエ(あるいはマエ)のこと好きかも…」、もちろんすべて妄想だ。”
福原愛が中国で人気がある理由の一つは彼女の中国語が日本でいう東北弁のように
訛っているからだと言う。
“ダニエル・カールみたいな存在か。以下、福原のコメントを東北弁に訳してみる。
「試合内容は悪ぐねがった。明日もけっぱるから見ててけろ」
ちょっと違うかもしれないが、なるほど、確かに可愛い”
他にも、中国コールが圧倒するバドミントン会場でニッポンコールするオグシオの健気さ、
「ビーチの妖精」を記者席で見て、西堀はいま何をしているのだろう、と心配したり、
女子ホッケーの小野真由美が好きでネット検索すると、
毎回「(アコムの)小野真弓ではありませんか?」と表示され困る話。
アメリカの主砲ブストスは凄くいい奴だったという話、
敗色濃厚で誰もが沈む野球の記者席で相武紗希がYMCAを踊ってるのを見て癒された話など。
ソフトの上野を見て、嫁に行きたい、上野なら幸せにしてくれる、と何となく共感できる。
ほとんど書いてしまいましたが、面白いです。
名ライターが競う五輪別冊で陰のMVPではないだろうか。
(でも、ちゃんと仕事してたのだろうか)
ぜひ書店で購入してお読み下さい。(って書いとかないとね)