2012/8/2 Hi-Liteと文庫本と白いブリーフ

うんざりするほど暑い一日だった。
最近のこの日記の流行り言葉で言えば “心が折れる” 暑さだ。
オリンピックのライブ中継を見続けて体調が悪くなっている人が多いとか。
9時5時日勤のまともな勤め人には御法度です。


夙川沿いの夾竹桃の花でさえ熱にうだって元気がない。
 



ちょっと仕事してくるわ、と家を出たものの…暑い。
会社へ行く気にもなれず今日も無料のサマーリゾート、パブリックライブラリーへ行こうか。
図書館の前に並ぶ自転車の多さにうんざり、阪神電車神戸元町へ出る。
昼下がりの元町裏通り。
「Just in Time」で冷コー1杯の涼をとる。
JBLパラゴンから流れくる気怠いジャズバラードに小一時間ほど身をゆだねる。
誰のテナーだろう。
体幹に響く中低音。
図書館で借りた笹本稜平『グリズリー』を読む。
札幌、知床、釧路、マサチューセッツ、東京、別々に進行する物語の帰着はどこだ?
2段組450頁の弁当箱小説、100頁を過ぎて、これは掘り出し物かもしれない、とほくそ笑む。


映画を見る予定はなかった。
時間つぶしにと iPhone で調べるとシネリーブル神戸で『苦役列車』がかかっている。
タイミング良く16時30分の回がある。
リーブルなら会員なので1300円で見られる。


森山未來主演『苦役列車』@シネリーブル神戸
映画を見ながら二十代の頃に見た『十九歳の地図』(1979年)という映画を思い出した。
中上健次原作、焦燥感を煽る板橋文夫トリオの暗く激しいピアノも好きだった。
主人公の青年と同じ新聞販売店に住みこむ三十男の蟹江敬三のクズ男っぷりは惚れ惚れするほどだった。
主人公の本間雄二より蟹江敬三ばかりが印象に残っている。
蟹江演じるダメ30男の紺野が言う。
「どういう具合に生きていったらいいのかわからないなあ」
この台詞はしばらく僕らの仲間うちで流行した。
蟹江敬三、まさにあの役者の真骨頂だった。
そう、あの時代、三十過ぎた奴って、人生の半分が終わったジジイだと思っていた。
今思うと笑っちゃうけど、ホントにそう思っていた。
         


西村賢太原作の映画『苦役列車』、見てみたいと思ったのは主演が森山未來だったからだ。
うーむ、悪くはないけど、わざわざ見るべき映画とも思えない。
私小説だから80年代半ばの原作者の青春時代を描いているのだろうけど、どこか現実感がない。
苦役列車』は読んだことがないが他の同じような中編をいくつか読んだ。
たぶん似たり寄ったりの小説なのだろうと思う。
小説の読み味は決して嫌いではないのだけれど、わざわざ映画にして見せるものだろうか。
正直、そんな印象でした。


いくつか印象に残ったこと。
主人公や他の登場人物がのべつまくなしに煙草を吸っている。
くしゃくしゃにしたハイライト(僕も吸っていた)と、カバーをはずした文庫本と、白いBVDブリーフ。
なんだかちょっと懐かしい組み合わせアイテムの組み合わせ。
『十九歳の地図』の蟹江敬三に当たるダメ中年として高橋さんという日雇い人夫が登場する。
演じるのはマキタスポーツ
最初は誰? と思ったけど歌を聞いて思いだした。
古本屋の店主は田口トモロウ。
劇中には思わせぶりな台詞はないけれど、いかにも左翼くずれの雰囲気を醸し出していた。


苦役列車』を見て最大の収穫は『十九歳の地図』を思い出したこと。
テーマは違うけど、青春、底辺、性衝動、怨嗟、焦燥って共通のくくりはある。
でも明らかに70年代の映画は説明はつかないけど原初的なメッセージは強烈で、
僕らの世代にとっては全肯定はしないけど、ああ、これこれ、これだよな、と納得してしまう何かがある。
つまりは世代的にしっくりするというだけなんだろうけど。


苦役列車』予告編


『十九歳の地図』予告編




…映画を見終えたらヒロからメールが入っていた。
「カレー作ったよ。冷房入れてビール飲んでオリンピック観ながら、どお?」
八島食堂あたりで飲んで帰ろうと思ったがカレーも悪くない。


満月で大潮。
満々と水をたたえた夙川河口の入江。
 


バドミントン無気力試合で優勝候補の4組が失格!
重量級の穴井は早々と一本負けで敗退。
錦織はウインブルドン全英オープン)と同じデルポトロに準々決勝で敗れる。
今日はプールで歩いて早めに寝ることにする。