ぷよねこ減量日記 2009/5-2016/1

旧ぷよねこ減量日記です。2016年1月に新旧交代してます。

2013/8/12  "Le vent se lève, il faut tenter de vivre." (未)

ぷよねこ減量日記、史上初のフランス語の表題です。
"Le vent se lève, il faut tenter de vivre."
ヴァレリーの詩の一節。
発音さえも出来ません。(第2外国語は独語)
堀辰雄が「風立ちぬ。いざ生きめやも。」と訳した。
そう、映画『風立ちぬ』を西宮シネマで見たのです。
ジブリアニメを映画館で見るのは『千と千尋の神隠し』以来だから10年ぶりくらいかな。
  
    


17:50 の回は満員ではありませんでした。
最近、僕の見る映画はたいていは客層の平均年齢が高いのですが夏休みだけあって若者やカップルが多かった。
ぼくはいい映画だと思いました。
駿じいさんとは趣味が合うな、とエラソウにも思いました。
若い人はどう思ったのだろうか。ふと気になった。


内田樹先生がブログでこの映画を見て面白いことを書いています。
http://blog.tatsuru.com/2013/08/07_1717.php
転載自由なので一部コピペします。

     ある映画について語っているときに、あの場面、あの台詞が忘れられない
     …とひとりひとりが思い出す場面がすべて違うような映画はよい映画である。
     その点で、映画批評は「通夜の客の思い出話」に似ている。
     通夜の席で参列者ひとりひとりが語る故人の思い出はそれぞれにばらばらである。
     ある人が「忘れがたい思い出」として語り出す故人の言葉やふるまいは、
     しばしば他の誰も知らなかったものである。
     全員がまったく別々の思い出を語り、そのせいで、
     故人の全体像が混沌としてくるような死者がいたとしたら、
     その死者はずいぶん人間として厚みと奥行きのある人だったのだろうと私は思う。
     映画についても同じである。

                           (「内田樹の研究室」より)


自分が感想を書く前に優れた映画評を読んでしまうとダメですね。
SPYBOY さんの「特別な一日 風にさらわれた恋:映画『風立ちぬ』」も素晴らしいレビューだった。
http://d.hatena.ne.jp/SPYBOY/20130805/1375701166
いい映画評が多いというのは故人の人間としての深みゆえ、いやいや作品の深みだろうと思う。
怪物も、妖精も、魔女も、人魚も、登場しないジブリ映画。
子供のアニメでなく大人のアニメ。
優秀なレビューの力を借りてのちほどもう少しだけ感想を書きます。


  
…昨日の寝起きの33.6度で驚いてはいけない。
今朝の室内は34度を超えていた。
ただ、湿度が30%くらいなので意外に耐えられる暑さなのだ。
でも、やっぱり暑いよ。


ヒロは連日のスイミング。
ぼくは昼から自転車で外出する。
登山用のTシャツと七分丈のパンツにサンダルというゆる〜いおじさんの夏休みスタイル。
夙川公園の桜並木、アスファルトに落とす影は真夏の定番。

   


青森煮干しラーメン「なかた屋」へ行く。
きょうはいつもの煮干し中華でなく特製つけ麺(麺は平麺)にした。
これが、いやこれも旨い!
Mのランチ風に書くなら (゚Д゚)ウマー!(゚Д゚)ウマー(゚Д゚)ウマー! の(゚Д゚)ウマー!3つであります。
大好きな魚ダシがしっかり効いている。
つけ汁にかなり背脂が浮いているがそれほど脂っこくない。
あっさり煮干し中華(細麺)と特製つけ麺 うーむ、甲乙つけがたい。

   


あいかわらず女性料理人(オーナー?)が可愛くて笑顔がいい。
美味しいだけでも嬉しいのにこれだからなあ。
すごく得した気分。


映画の時間までハワイアンカフェ「オコナ」で涼む。
丁寧に煎れたアイス珈琲が絶品です。
ここのアイス珈琲はかなりレベル高いです。
ホットをおかわりしてお盆のスケジューリングをする。
   



…映画『風立ちぬ』@TOHOシネマズ西宮


   


映画に登場する人たちはみんな若い。
堀越二郎も、里見菜穂子も、本庄も、黒川も、みんな今のぼくよりずっと若い。
なのに、みんな与えられた時代を潔く生きている。
みんな何もかも失ってしまうのに…。
貧困、病気、震災、恐慌、統制、弾圧、そして戦争。
いちど点火された炎は逃げ場のないほどの早さで世界を焼き始める。
そんな時代、ぼくならどう生きただろうか?
と映画を見終わって思った。
どうしてだろう?
悲しいけど、清々しい気持ちになるのはなぜだろう。


   


失ってしまった時の過ごし方。
風の吹く信州の避暑地に流れていた空気。
堀辰雄や立原道造の世界。
それを知らない僕らも繋がったDNAが呼び覚ます何かがある。


静かな映画だった。
音声はモノラルらしい。
この時代にあえてモノラル。
頑固ジジイやるなあ。