ぷよねこ減量日記 2009/5-2016/1

旧ぷよねこ減量日記です。2016年1月に新旧交代してます。

2014/4/20 のぼうにも魂

甥っ子タカくんが泊まっているのでいつもより早い朝ごはん。
雨は降っていないが曇り空で肌寒い。3月中旬の気温らしい。
出張中からサボっていたNHK「Enjoy simple English 」を一週間分まとめて聞く。
一日5分なのでたいしたことはない。
ヒアリングが向上してるかどうかはわからない。
簡単すぎるかな、とも思う。
とにかく3ヶ月続けると決めたのだ。


サンテレビで兵庫リレーカーニバルの中継を見る。
県内の小中高の生徒が100mやリレーを走る。
西宮の中学や高校を応援したりしてると父兄の気分になって楽しい。
小学生でもこんなテレビ中継に出られると思えば力が入る。
兵庫県の陸上が強いのもこんなチャンスがあるからだろう。
特に姫路、加古川、小野など播磨地区が強い。
長距離の強い子は西脇工業へ行くのだろうか。


夕方からバイクで近所へ買い物。
エビスタのブック1st で英語のテキストとコミック「ワカコ酒」を図書カードで買う。
阪神百貨店でルフランのバター焦がしラスクと
出店している別の店でマサラダとカレーパンを買う。
スターバックスのテラス席で日記の続き。
僕と同じか、ちょっと年上のおっちゃんの一人客も多い。
日曜日、家の居場所がないのだろうか。


…DVDで「のぼうの城」を見る。
眼鏡堂さんに「村上海賊の娘」上下巻を譲って近々読むつもりなのだが
この著者はまだ読んだことがない。
最近、ラジオに著者の和田竜氏が出ていてPodcastで聞いた。
大阪出身で早稲田卒、繊維の業界紙の記者をやりながら脚本を書いていた人だと知った。
だから小説家というより脚本家指向が強く映画化は本望だろうな。
で、先にベストセラーになった「のぼうの城」の映画版を見ておこうと思ったわけだ。
本を読みたかったのだが、ここ数年読むのが遅くなってきてるし、ま、面倒だし。


野村萬斎主演、とだけは知っていた。
監督は犬童一心と特撮の担当監督。
犬童監督の作品は「タッチ」を見たくらいか。
萬斎以外には準主役に佐藤浩市、ぐっさん、成宮寛貴、榮倉奈々、西村雅彦、鈴木保奈美
市村正親、夏八木勲、前田吟、尾野真千子、芦田愛菜らなかなかの人気キャスト。
攻める豊臣側の大将 石田三成役に上地雄輔というのがちょっと新鮮だった。

   


映画はテンポのいいエンターテイメントで面白かった。
これは史実に基づいている物語らしいが和田竜の小説に忠実なのだろうか?
豊臣の関白軍と戦った北条陣営で唯一残った小藩が現在の埼玉県行田市にある忍城(おしじょう)で、
その頭首が主人公の成田長親、領民からは、でくのぼう、略して「のぼう様」と呼ばれていた。
成田家は北条の家臣だ。
あるとき、豊臣の大軍が攻めてくると北条家の使者が来る。
長親は北条の使者の前でのほほーんと言う。
「北条家にもつかずに、
秀吉側にもつかずに、今まで通りのんびり暮らせないものかなあ」

一同呆然となる。
結局、豊臣と戦わずして城を明け渡すと決めたのだが、
豊臣側の使者のあまりの横柄ぶりに、のぼう様が態度を一変する。
そのときの台詞がいい。
「武あるものが武なき者を足蹴にし、才ある者が才なき者の鼻面をいいように引き回す。
 これが人の世か。・・・・ならば、わしはいやじゃ。わしだけはいやじゃ!!!」
2万と500、絶望的な戦いの火ぶたが切って落とされた。

   
     


感想をあれこれ。

・キャッチコピーが「この男の奇策、とんでもないッ!」とある。
 見る前はこれに過大な期待をしてしまった。
 もっと伏線を縦横にめぐらしたビリー・ワイルダー並みの仕掛けがあるのかなと思っていた。
 頭首が小舟で田楽踊りって確かに奇策かもしれないが…ま、ギャンブルで確実性はない。
 2万を相手にするのだからギャンブルだよ、と言われればそうなんだけど。
 でも、映画に出てくる長親や百姓たちの節回しは悪くない。

・水攻めのシーン、堤をを切って大水に村を襲わせる。
 農家が一瞬にして流され、田畑は水没し、女子供の悲鳴がかぶさる。
 当然のことながら津波を連想する。
 公開は2011年9月の予定だったらしいが1年以上延びたらしい。


・水攻め、合戦の場面は当然ながらCGを合成している。
 確かに実写では撮れないような壮大なスケール。
 最近はどんな映画でもよく使われている。
 でも、やっぱりCGなんだよなあ。
 人工的で、きれいで、つくりもの、なのだ。
 それならいっそアニメの方がマシに思える。
 たとえば「風立ちぬ」の関東大震災。
 
 
・豊臣軍は例によって大軍です。
 兵数と物量で圧倒する。
 20世紀の米軍のような軍隊だ。
 果たして兵たちはどこから集められたのか。
 彼らはもともと百姓であり職人であり家族のある生活者であった。
 それを思うと暗い気分になる。
 戦国ドラマを楽しむには向いていない性格。
 忍城下の民はまだいい。
 自分たちの土地を荒らされて百姓が出来なくなって豊臣に召し抱えられた。
 他国を攻める侵略者となる。
 映画の中で槍の名手になぎ倒されたり串刺しにされたり油をかけられて火責めにされたり。
 つくづく戦国ものを楽しむに向いていない性格。


・この物語はどこまで史実に正確なのだろう。
 理性派の石田三成といえどもあそこまで情けがあって、正義漢で、ものわかりがいいのだろうか。
 そこはそれ小説だからね。


・ひとつ教訓としてしっかり納得したことがある。
 最初に豊臣の使者として城の明け渡しを迫った男。
 こいつが “強い者には下手に出るが弱い者にはかさにかかって恫喝する” という奴だ。
 三成が心配した通りになった。
 相手の誇りを傷つけて交渉は決裂した。
 でくのぼうにも魂があるのだ。
 そうなんですよね。
 コミュニケーションって。
 思想家のアランが幸福論で書いている。


   真価を発揮するのは口調であって、ことばそのものなど小唄ほどにも意味がないのだ


 伝達は内容より態度だと。
 モノの言い方ひとつでまったく違う内容が伝わってしまう。
 内田樹先生も、インタビューされてライターに口調を変えられて大変だったと書いていた。
 内容は二の次なのだ。
 人は90%見かけ、と同じようなものです。
 

・エンドロール後に現在の忍城あたり(行田市)が映し出される。
 これがよかった。石田三成が陣を構えた丸墓山古墳の桜がめちゃくちゃ美しかった。
 水攻めをした堤も一部が石田堤として残っている。



…運動もしなかったので、今日は飲まないぞ、となんとなく決めていた。
なんとなくパソコン作業をごちゃごちゃっとやってたら夕方になった。
余りもので作った、と食卓に出てきたのは揚げたての天ぷら。

   


南瓜、椎茸、ちくわ、枝豆とウインナーのかき揚げ。
天ぷらとワインは合わへんよな、と言う。
そんなことないで、と赤ワインを飲み始めてしまう。
というか…天ぷらだけ食べるわけにはいきませんよね。
やっぱ、なんとなくの決意はかくのごとく脆いものです。
   


ちくわの天ぷらって美味しいですよね。