2014/9/10 リトルフォレスト

3日続けて8キロくらいずつ走ったので今日は調整日。
左足に力が入らないのは筋力の衰えだという見立ては正しい。
ひざそのものは全く痛くない。


  中年すぎてからの病気というのは「他が全部健康で、特定の器官だけが
  単独に機能低下する」というものではなく「身体のシステム全体」が失調すると、
  その「最も弱い環」から切れ始めるという仕方で発症するものである。
   (中略)
  病気は「システム全体の失調」のサインである。
  「そろそろ『おつかれさん』の時間だよ」という「終わりの合図」である。
   (中略)
  「おじさんの病気」というのは、あの「下校時間になりました」のアナウンスと
  同じ機能を持っている。これが聞こえたら、ぼちぼち「あとかたづけ」を始めろ、
  ということである。
                   (内田樹『おじさん的思考』角川文庫より)


現在のところ。左足のふともも周辺の違和感くらいであとは概ね通常運転、シアワセだと思う。
長く酷使していた足に綻びが出来るのは当然と言えば当然。
よくも57年も黙々と働いてくれてると思う。
先日、ラグビーの番組に出てくれた同年輩の人が悪性リンパ腫になったと聞いた。
この5月に発熱し、風邪かと思ったら違ったとのこと。
「システム全体の失調」で「最も弱い環」がリンパだったのか。
いずれにしても心配で、自らにも覚悟を促す。


朝イチでスポーツ整体へ行く。
太ももの後ろの部分を電気をかけて筋トレする。
終わるとかなりグッタリする。


朝ごはんは豪勢に一尾980円ののどぐろ(赤むつ)です。
マックスバリュで買ったそうです。


7月末、僕が淡路島ロケの準備でひーひー言ってる頃、
酒友の阿部老師のガラケーからこんなメールが来た。
「唐突ですが『楽園のカンヴァス』間違いなく今年読んだ小説のNo.1です。」
文庫本をデスクに置いておくとのことだったので、わけあって数週間後にピックアップして読み始めた。
最初は少々だるかったけど後半までちょっとガマンすると、ぐいぐい引き込まれて老師の言にナットクの面白さでした。
さすが山本周五郎賞の作、読んで損はないです。
美術史とミステリー、主軸はアンリ・ルソーです。
美術に暗いのでルソーが評価されないまま、死んでいったという事実も知らなかった。
登場人物も魅力的でした。
大原美術館で館内監視員をしているオリエ・ハヤカワ、トムとティムの二人の世界的キュレーター、
伝説のコレクターであるバイラー、インターポールの美術担当ジュリエット・ルルー。
原田マハ、読ませてくれます。
彼女本人も美術史に詳しい絵画のキュレーターであるらしい。
前に「シネマの神様」という小説を読んだことがある。
そのときはいまひとつピンと来なかったけど…。


   



きょう、最終章をたまたま西梅田のスタバで読み終えた。
ルソーらしい観葉植物に囲まれたオープンテラス席だった。
読了記念にインスタグラムで一枚撮った。
無性に本物のルソー作品が見たくなる。
そういえば今年は美術館にあまり行ってない。
3月に松本市美術館で「モローとルオー展」を見た。
ルオーより草間彌生に打ちのめされた。
さて、次は中島らもの遺作を読もうか。

  

映画「リトルフォレスト 夏・秋編」@大阪ステーションシティシネマ
         


原作のファンでした。
            


トイレで読んでたのは10年前くらいだろうか。


  …我が家のトイレには常時コミック本が置いてある。
  「酒のほそ道」や「レモンハート」や「寄席芸人伝」等々。
  この数ヶ月は五十嵐大介「リトル・フォレスト」がお気に入り。
  月刊アフタヌーン連載の自然派エッセイの類で心が落ち着く漫画です。
  小さな山村「小森」で一人暮らしする20代半ばの(たぶん)「いち子」の日常を描く。
  ページをめくるように移り変わる東北の四季が美しい。
  スローライフ漫画、自分で作って自分で食べる、おいしいご飯の話が多い。
  たまにドキッとするメッセージ性がある。


  都会から知り合いの男の子が故郷「小森」へ帰ってきた。
  彼と養魚場のアルバイトへ出かける主人公。
  いち子は「なんで小森へ帰ってきたの?」と聞く。
  若者は答える。


  自分自身の体でさ
  実際にやったことと
  その中で自分が感じた事 考えた事
  自分の責任で話せる事ってそれだけだろう?
  そういう事をたくさん持ってる人を尊敬するだろ、信用もする


  なにもした事がないくせに
  なんでも知ってるつもりで
  他人が作ったものを右から左へ移してるだけの人間ほどいばってる
  薄っぺらな人間のカラッポな言葉をきかせれるのにウンザリした

  (その青年が岩魚を殺して三枚におろす)

  他人に殺させといて
  殺し方に
  文句つけるような
  そんな人生を送るのはやだなって思ったんだよね。

  だべ?

          (五十嵐大介「リトル・フォレスト」12th Dish 岩魚 より)


映画のタイトルバックで橋本愛がママチャリに乗る長いカットがある。
これがいい。
彼女の一ヶ月限定インスタグラム愛読中。
高校生のころ、日活ロマンポルノにハマって都内の映画館に入りびたっていたらしい。
http://instagram.com/hashimoto__ai
  


映画は原作(コミック)のエピソードを忠実になぞってる。
何度も読みこんでいる人(僕も)にとっては安心して見られる。
安心してみられる分、発見がない。
小森の集落の映像もとりたてて美しいわけではなく、ありなままに淡々と。
そのあたりは下手な演出をせずに好感がもてる。
桃源郷ではなくどこにでもあるありふれた東北の田舎。
きっと原発事故の前に飯舘村もそうだったろう。

  


各エピソードにDish1やDish2と字幕が入る。
自給自足のレシピ、という副題がついてもいいくらいに次々と食べ物が紹介される。
橋本愛のはしゃぎ過ぎない低体温な感じの演技がいい。
変にガンバロー的な元気娘だったら疲れる。
それでも食べ物を美味しそうに食べる。
大きな口をあけて食べる。
食べっぷりもいい。


この娘、生まれは熊本なんですね。


  
  


きょうはちょっと血圧が上がるようなストレスフルな案件があった。
あえてこの映画を選んだのは正解だった。
気持ちがほっこりした。


今回見たのは夏編と秋編、来年2月に冬編と春編が公開される。
そちらも見ようと思う。