2015/1/26 あるマラソンランナーの記録

子どもの頃、いや二十代のころまで、何となくぼんやりと理想としていた生活に
パーソナルコンピューターはなかった。
気がつけば仕事も遊びも、そう映画も通信も原稿書きも写真も音楽も
みんなコンピュータスクリーンの中にある。
モノより思い出、というけれど思い出だってこのスクリーンの中に閉じ込めておける。


円谷幸吉をモチーフにした新刊小説を読んでたら
東京五輪(1964年)のマラソンの記録映像が見たくなった。
You-Tubeで探しているうちに、
「あるマラソンランナーの記録」というドキュメンタリー映画があることを知る。
1963年制作、監督は黒木和雄、内容紹介を読んで、見たいと思った。
http://www.kagakueizo.org/create/tokyo-sinema/79/


DVDが出てないかと探すとあるNPO法人のサイトで無料配信していた。
富士フイルムがスポンサーとなって制作された63分、カラーの記録映画。
翌年の五輪需要を見こんでのセールスプロモーションでもあったようだ。


   


さっそく観る。
映画の中では個人名は一度も紹介されない。
最後まで無名のままだ。
主人公は「彼」と呼ばれる。
肉声をオンで使われているのは「彼」と「コーチ」の二人だけ。
63分の長さの3分の2は「彼」が走っている映像だ。
見ていると心拍数が上がっていく。
圧巻は50分あたりからの映像。
トラックで一万メートル走ったラスト5周をノーカットで見せる。
カメラは「彼」といっしょに400mトラックを周回し、
5分以上が「彼」の表情のクローズアップ。
それだけでも見る価値が十分にある。


「彼」の名は君原健二。
当時、八幡製鉄陸上部所属の22歳。
円谷、寺沢とともに東京五輪のマラソン日本代表。
(コーチはマラソン解説で有名な名将 高橋進)


東京五輪のマラソン中継は小学生の時、授業(?)として教室で見た。
ニッポンの期待は日本記録保持者の寺沢とエースの君原に集まっていた。
結果は無名の円谷が銅メダル、君原は8位、寺沢は15位だった。
円谷幸吉の自殺を経て1968年メキシコ五輪で君原は銀メダルに輝く。
君原健二は小学生のころに雑誌の記事を読んで以来、
体操の加藤沢男とともに僕のあこがれのスポーツ選手だった。
  



光栄なことに仕事で寺沢さんと君原さんに会うことが出来た。
君原さんは「あるマラソンランナーの記録」では見せなかった笑顔で
走ったあとに飲むビールが大好きだと話してくれた。
映画の中に僕の知らなかったシーンがあった。
東京プレ五輪、本番と同じコースで行われた朝日国際マラソン。
そのレースに出場した君原健二は3位で国立競技場へ戻ってきた。
100メートルほど前にベルギーに選手が走る。
トラックで激しく追い上げた君原は第3コーナー手前でその選手を抜き2位でゴールした。
奇しくもその1年後、同い年のライバル円谷が同じ第3コーナー手前でヒートリーに逆転される。
プレ五輪のシーンは予知夢のようだった。


映画を見て気づいたことあれこれ。


・彼が生まれて生活している北九州の街がカラーで映し出される。
 若戸大橋が見える。その周りに広がる瓦屋根の家々。
 路地を走るオート三輪や大きな荷物を担いだ女たち。
 僕らの親の世代の青春時代。
 1963年の日本はまぎれもなく中進国だった。


・冒頭で彼がインタビューに答えている。
 一日平均22キロ走る。
 その答えの中にジョッグという言葉があって驚く。
 日本人は知らなかった言葉だろう。
 「空の走者たち」の中で円谷幸吉もジョッグという用語を話している。
 ニュージーランド合宿で憶えた言葉だという。


・音楽が重苦しい。情念、不安、焦燥、孤独、あるいは恐怖。
 黒澤映画のようでもあり、戦争のドキュメンタリー映画のようだ。



終盤で彼が言う。
「苦しいことばかりで、楽しいことはわずかしかない。
どうしてこんなに苦しい思いをしてまで走るのかわからない。」
画面の中の彼に教えてあげたい。
あなたはメキシコで銀メダルを獲得し、引退後は数々のマラソンレースに招待され、
大好きなビールを飲めますよ、と。
映画の中で「日本国民のために走る」という台詞は一度も出てこない。
 

…NHK「ザ・プロフェッショナル 仕事の流儀」を見た。
ラグビー日本代表監督エディー・ジョーンズ。
カーワンが監督の頃、デュレクターの付き添いと夏休みを兼ねて
日本代表の中標津合宿へ行ったことを思いだした。
そういえば2007年はウエールズへ行き、現地でワールドカップを見たっけ。
エディーさんのジャパンには期待出来そうだと番組は伝える。
また代表戦を見に行きたい。


きょうはずっと家にいた。
朝食はランプステーキ、昼食はカップ蕎麦、夕食はそばめし。
  


マツコデラックスの番組で紹介された雪印6Pチーズの食べ方を
まねてホットプレートで焼いてみた。
醤油をぬって海苔で巻く。
日本酒のつまみに最高。
  


この冬は雨が多い。
12月はそこそこ冷えこんだので寒いかなと思ってたがここにきて暖冬の予報が当たっている。
やっぱり冬は寒く夏は暑いがいい。