2015/3/6 何を見ても何かを思い出す。

ことし10本目の映画は「おみおくりの作法(原題 Still Life )」です。  
最初にタイトルを見たときには「おくりびと」の海外版リメイクかな? とか思ったり、
ポスターを見てフィンランドのアキ・カウリスマキの映画のようなトボけた映画かな? と思ったり。
このブログを読んで心惹かれ、予告編に導かれ、大阪への電車に乗った次第。
http://d.hatena.ne.jp/SPYBOY/20150302/1425294920
   


今日のタイトルはヘミングウェイの小説 " I Guess Everything Reminds You of Something "より。
最近、つくづく思うこと。
映画を見ても本を読んでいても気がつけば昔を思い出してしまう。
二十歳の僕はいっきに五十八の僕になったわけではない。
そこには38年の使い古された日々が横たわっている。
映画で寡黙な主人公ジョン・メイは列車で旅をする。
進行方向に向かって後ろ向きに坐っている。
目の前を飛び去る風景。
僕はあんな感じでいまを生きているのかもしれない。



7時起床。
せっせと確定申告の記入。
年収は去年より100万円減る。
サラリーマンの人にはあまりそういうことはないだろうけど結構キツい。
ざっと振り返ると2000年から2008年は安定していた。
2009年にいっきに300万以上減った。
リーマンショックの年だ。
それでもなんとかやっていけてることに感謝しなきゃね。


最近、天気予報が微妙にずれ込んで当たらない。
今日は朝から晴れている。
筋トレするつもりだったけど海沿いを反時計回りに走る。
写真は西宮浜に住みついていたイノシシが深夜に渡った(推測)と言われる跳ね橋。
ぼくは「イノシシ橋」と命名した。
   


群青色の水路をカラフルなカヤックがゆく。
   


青い海とカヤックと甲山と。
欲張りな写真です。
下手に僕が走っているジョギングロード、上手に海と色とりどりのカヤック、背景に街と甲山という配置。
   


写真自体は解像度も色もイマイチ。
ミラーレスが欲しいけど…走りながら撮るにはコンデジしかない。
   


これも欲張りな一枚。
海と街と山と。
   


車を所有したことが一度もない。
車を必要としてなかったし、免許とったのも四十過ぎで、アラスカやハワイ島を旅行したくて、免許が無いとどこへも行けないからだった。
自動車好きの久米宏がラジオで、いま軽自動車が凄い、と話してた。
東京や大阪では富裕層に高級車が売れてるらしいが、札幌では軽、特にスズキのハスラーという車が人気らしい。
デザインもよろしい、というのでネットで検索してみた。

   


あ、いいな。
突然、この車が欲しくなる。
モーリスのミニとか、イタリアのアウトビアンキの軽自動車版か。
車を所有したい願望がむくむくと沸き上がる。
4WDだと140万以上する。
欲しいけど、税金も上がるし、軽だって駐車場も要るし、相変わらずバックや縦列駐車は激ヘタだし、加齢とともに反射神経も動態視力も弱ってるのを自覚してる。
要するに人を殺す確率も高くなってるし…なーんて一日考えて諦めました。
よく考えたら先立つものも無いし。
年収が100万も減ったのだ。


ゆげ焙煎所で珈琲豆を買う。
それくらいの贅沢はしてもいいだろう。
エチオピアとケニアが入荷していた。
エチオピアはベリー系の香りがする。
かなりクセの強い豆だ。
以前はストレートオンリーだったが最近はハウスブレンドやダークローストなどブレンドを始めたみたい。
本を送ってくれたM氏へのお礼と自分用にエチオピアとダークローストブレンドを100gずつ2袋買う。

  
…で、「おみおくりの作法」@リーブル梅田です。
友の会の期限が切れていたので1000円払って再入会する。
今日は金曜日で会員は1000円で見られる。
「おみおくりの作法」は五割ほどの入り、けっこう混んでいた。


   


   


ロンドンに住むジョン・メイは44歳独身、市の民生課に務める公務員。
孤独死した人のケアが彼の仕事だ。
遺品を整理し、手がかりを探し、身寄りに伝え、葬儀に参列してもらう。
宗教に従って葬儀の手配をする。
遺品から故人にあう音楽を選び、ジョン・メイ自ら弔事を書く。
たいていの場合、参列者はジョン・メイただ一人。
埋葬まで彼はていねいに “ おみおくり ” する。
それがジョン・メイの仕事だ。
淡々と、誠実に、ジョン・メイの仕事ぶりと同じように落ち着いたカメラワークでとらえる。
真正面からのアングルを多用して、おかしみ、を醸し出す。
ワンカット、ワンカットで彼の暮らしぶりがわかる。
横断歩道の渡り方、慎ましい食事、デスクの上の備品、三色ボールペン。
決して機嫌が悪いわけではないのだが笑わない。
アキ・カウリスマキの映画に登場する人々にも似ている。
暮らしぶりの描写が心にしみる。


   


丁寧で、ある意味非効率な仕事ぶりがアダとなる。
行政統合を機に若い上司から解雇を宣告される。
ジョン・メイは淡々と受け入れる。
判で押したような日々が少し波立つ。
彼がある目的のためにイギリスを旅する。
ブリットレイルの駅舎が懐かしい。
後ろ向きに走る列車が懐かしい。
海沿いの街の寒々とした風景が懐かしい。
フィッシュ&チップスを売る店の殺風景なたたずまいが懐かしい。
何を見ても何かを思い出す。
映画の公式サイトによるとジョン・メイが尋ねるコーンウォール地方のプリマスやトゥルーローという町は僕もブリットレイルで旅したことがある。
そう、僕もジョン・メイのように飛び去る緑の牧草地を観ながら後ろ向きで列車に乗っていたのだ。


映画を見ながら自分が孤独死したときのことを想像する。
ロンドンの故人たちと同じような子どもの頃のアルバムは手元にある。
ジョン・メイだったら僕のCDストックや蔵書からおみおくりのBGMはそんな選曲をしてくれるだろうか。
葬儀に誰を呼んでくれるだろうか。
椎名誠が「いま、ぼくが死について思うこと」に書いていたが、そんなことを夢想しながら逝く孤独死も悪くない。
想像するだけなら…。


ネタバレになるが…。


   


数々の故人を見送ったジョン・メイも身寄りがない。
映画では終盤ちょっとした変化が訪れる。
しあわせにも似た感情。
その一歩手前…。


ひとつ前に見たのは「シェフ 〜三つ星フードトラック始めました〜」は賑やかで元気な映画だった。
「おみおくりの作法」は好対照だが、いい映画でした。
ブログの記事を見なかったら見過ごしていた。
若い人にとってもいい映画だとは思うが受け取り方は違うだろう。
今、日本は没落しつつあり、おかたづけをし始める時代だ、と言われても若い人は納得しかねる。
でも思うのだ。
僕らの世代と違った自由がある。
日本という国にこだわらなければ僕らの頃よりずっと条件はいい。
この先馬鹿げた戦争が起きなければ、おあいこだ、と思う。


帰りがけにUnicoで皿とカップ&ソーサを買う。
早めに帰宅して、夕食は即席ラーメンを半分こする。
寝る前にプールへ行き半時間歩く。