ぷよねこ減量日記 2009/5-2016/1

旧ぷよねこ減量日記です。2016年1月に新旧交代してます。

2015/11/18 見映えの悪い「恋人たち」

朝から雨。
六甲の谷筋から霧が沸き上がる。
陰影が風景に奥行きを加える。

   


タイムラインでこの写真を見てしまったからには今日食べずにいられない。
小山薫堂氏の事務所の投稿だった。
「甘い美味しさのあとから辛さが追いかけてくるよ」との描写。
知ってますよ。
季節に一度は、いや二ヶ月に一度は食べたくなる。
まだ朝なのに口はインディアンスパになってしまいました。
東京では行列を作っているそうな。
大阪で並んだことは無い。

   


生活を朝型にしよう。
特に予定は無いが10時に家を出る。
小雨が降り続く。
札場筋のスターバックスのテラスが空いていた。
白石一文の「神秘」を読む。
11月も残り2週間を切った。
思うところをMacBookに書き記す。


駅への道、
公園に皇帝ダリアが咲いていた。
草花なのに4メートルくらいの高さまで成長する。
先日、花園ラグビー場へ行く途中の民家の庭にも咲いていた。
この時季、ちょっとトロピカルな色合いの大きな花が目立つのだ。

   


花の少ない晩秋、日が短くなるといっきに咲く。
お彼岸はついこの前のように思うけど、
あと一ヶ月もすると冬至なんだな。  
 
   


局に出てミニ番組の代打、テロップの手直し、というか発注をする。
今回は内容的にかなり苦戦、今後はネタとテーマを精査しないといけないだろう。
定期的にネタ選択会議も必要なのは必然だけどスタッフの質と人間関係に問題があって実現しない。
僕が仲介役をすべきだろうか。
問題はどちらにしてもうまく機能していないことだが…。


予定通りドーチカのインディアンカレーでスパゲッティを食べる。
炒めたスパと濃厚なカレーソースが混じり合う。
もちろん卵つき。
欲望がすとんと落ち着いた。
隣の男が「カレー、目玉、ピクルス大盛り」と注文する。
目玉とは卵二つのことらしい。
男は大盛りのピクルスをカレーの上からぶっかけて卵と入念に混ぜ混ぜしている。
気持ちの悪い光景。
そんなマイルドにしてしまったら辛さが意味ないじゃん、と心で指摘する。


…映画評で絶賛されてて、ホントかな? と疑りつつ観にいく。
『恋人たち』@テアトル梅田
http://koibitotachi.com

じわりと心に迫ってくる傑作でした。
いい映画は余韻がある。

       


どん詰まりの人生、退屈で夢の無い人生、自信過剰なくせに臆病な人生、3つの物語が交錯する。
2時間20分、スクリーンから目を離せませんでした。
オーディションで選ばれた3人の役者が素晴らしい。
同じ監督の前作「ぐるりのこと」も良かったけど「恋人たち」はそれ以上でした。


   通り魔殺人事件によって妻を失い、橋梁点検の仕事をしながら裁判のため奔走する男、アツシ。
   そりが合わない姑、自分に関心をもたない夫との平凡な暮しに突如現れた男に心が揺れ動く主婦、瞳子
   親友への想いを胸に秘める同性愛者で、完璧主義のエリート弁護士、四ノ宮。


美人もイケメンもアイドルも存在感あふれる大御所スターも見映えのいい人は一人も出ていない。
それでも見るべき理由はある。

   



   


奥さんを殺された若者のドラマチックな絶望も、
平凡でパッとしない主婦のようなウエットな絶望も、
ゲイの弁護士のように他者の目に追いつめられる迷走した絶望も、
この世界、絶望は各種取り揃えてあるのだ。


誰も主人公の話を聞かない。
市役所の担当者も、姑も、夫も、ゲイの友人も。
彼ら彼女らの言葉はなにひとつ伝わらない。
主人公の3人は随所でモノローグのように自分のことを語る。
ノーカットの長い台詞。
唐突に語り始める。
語らずにはいられない。
これが橋口演出のキモなのかも。
抱えている説明難解な想いを他者に聞いてもらうことが救いなのだ。
一見、絶望的で、平凡で、偏見に満ちた人生も、シェアする相手が一人でもいれば少しだけ楽になる。
少しずつ主人公たちはそれぞれ微妙でいびつなカタチで話すを聞いてくれる相手が現れる。
ラストは救われた気持ちで見終わった。
雲間から差しこむ冬の日差しみたいな。
決して全面解決では無いけれど。。
泣いたあとのような爽快感が少しだけ。
この少しだけというのがいい。
仕事終わりに缶ビールを飲むとか、バカ話をするとか…。
そこんとこがリアルです。
現実は(メジャーな)映画みたいにはうまく解決なんてしないものだ。
去年観た「そこのみにて光輝く」も同じような読後感を抱いた記憶がある。
監督がいう「飲みこめない想い」や 説明困難な「人間の感情」は残念ながらテレビという媒体で表現するのは難しいなと思った


  


脇役で1シーンだけ嫁さんを通り魔に殺された主人公の義理の姉が出てくるんだけど、この変な顔した変な彼女がいい。
(変な顔と僕が思ってるんじゃなくて彼女本人がそう言ってます)
彼女の長いセリフに泣けた。
黒田大輔演じる片腕を失った土木会社の上司もいい。
腕どうしたんですか?主人公が聞くと
「あ、これね、僕、むかしは左翼でね。皇居ね、ロケット飛ばそうとして自分の腕ぶっ飛ばしちゃったんだ、ハハ 」
そんな彼が言う。
「殺しちゃダメだよ。 殺したらこうやって話せないじゃん。僕は、あなたともっと話したいと思うよ。」

そうだよな。
  


…自宅で夕食。
待っていたのは自家製のスップリとマカロニグラタン。
このところ連日深酒しているので今日はノンアルコールビールです。
   


昔、ホワイティ梅田の「オリーブ」というスパゲッティハウスでよく注文した記憶あり。
ペペロンチーノを初めて食べたのは「オリーブ」だった。
1990年代の始めだったか。
   


昼間にインディアンカレーでスパゲッティ、夜はホワイトソースたっぷりのグラタン。
明らかにカロリー過多ですよね。