2016/1/11 悔恨と解放

夜中に一度も目が覚めないまま朝を迎えた。
いつ以来だろう?


神保町のホテルでも、渋谷のホテルでも、深夜の2時か3時に目が覚めた。
そこから朝まで熟睡することは出来なかった。
まどろんでも悪い夢とともにふたたび目が覚めた。
去年のクリスマスあたりから3週間毎日続いた。
年越しで自宅に帰っても同じだった。


去年の11月23日に上京し仕事の内容を聞く。
翌24日の会議に出席、不意に始まった。
3日後までに何の準備もしてないまま2本分の構成台本を書かなばならなかった。
提出してから3週間、今度は一歩も前に進まなかった。
暮れになって急転直下、無理やり詰めこまれたスケジュール生涯最悪の年末年始になった。
新幹線で大阪と東京を往復すること7回、滞在23日。
3日前に決断した。
昨日、東京で最低限の引き継ぎをして、半ば強制的に幕引きをした。
2016年1月10日は悔恨と解放の日だった。


  


人生とは思惑と違い、突然起こってしまう別の出来事なのだ。
11月末に始まり昨日終わった40日ほどの出来事はまさにそれ。
直前まで想像もしなかった日々だった。


悔恨。
今回、その予期しなかった出来事に最後まで適合することが出来なかった。
言葉の違い、進め方の違和感、病んだ担当者との会話、
罵倒とため息の繰り返し、慣れない編集ソフト、日々変わる方針…。
僕はフリーランスの雇われスタッフとして仕事を受けた限りは適応しなければならなかった。
仕事の内容や環境をよく知らなかった時点で僕はこの仕事を前向きにとらえていた。
現状を打開するチャンスになるのでは、と本気で考えていた。
日記に記している。
2015/11/29 「晩秋所感」 http://d.hatena.ne.jp/shioshiohida/20151130/1448809257
「…とにかく最後まで責任もってやりきろう」


どんな理由があるにしろ、いったんは受けた仕事を途中で放り出して
他者に任せるという経験はおそらく人生初。
他者をレスキューしたことは複数回あるが…。
五十八歳にして救助される。
どんな気分だ?


   How does it feel ?  How does it feel ?
   To be on your own ? With no direction home ?
   A complete unknown ? Like a rolling stone


                 ボブ・ディラン " Like A Rolling Stone "


一連の出来事が人生においてどんな意味があるのかは今考えても甲斐のないことに思える。
決断した理由はもちろんある。
でも、あとになってしまえば、例えば3ヶ月後に桜が咲き始めたら、
いま抱えている理由なんて大した意味を持っていないに違いない。
ずっとあとに笑い話として思い出せばいい。
眼鏡堂がメールをくれた。
「あの決断が良かった…とするには、今後の生活を経済面、健康面で安定させることに尽きますね。」
経験上、この言葉さえも、いつか忘れてしまうのかもしれない。
せめて、いまはこのミッションをしっかりと受け止めておこう。

  


自分がいま何が出来るか、ということより、出来ないことを知った。
その事実を突きつけられたことは辛いことではあるが、知ったことには意味はある。
悪いことばかりじゃなかった。
少なくとも…大事だと思えるいくつかのものに気がついた。
西宮の海と山の風景、毎朝つくってもらう食事、
そして、僕がSOSを発信してたときに声をかけてくれた友人たち。
もし、僕に友だちがいなかったら決断出来ないまま未だ解放されずにいたかもしれない。
3週間ぶりに眠れる日々が戻ってきたのは友人たちのおかげです。


これくらいにしておきます。
さあ、損なったかもしれない健康面のチェックが目下の急務だ。
同時進行で自分の2016年を始めていこう。



…朝、きのうの日記メモを書き終えてヒロの筋トレにつきあう。
15分くらいのマシンなしの筋トレだが、
「ためしてガッテン」とか「テレビ体操」とかのメニューが追加されてキツい。
これを毎朝やってるなんてちょっと驚き、しかも自宅で自重筋トレなのでお金がいっさいかからない。
芦屋の運河まで往復して1時間ほど走る。
このあたりは芦屋キャナルパークと呼ばれているらしいが知らなかった。
カラフルな競技用カヤックが群青色の運河に浮かぶ。
夕方、ヒロと買い物に出る。
コーナンのマナベ・インテリア・ハウスで座布団を買う。
阪神西宮駅のカルディで珈琲豆を買おうとするも今日が西宮えびすの残り福であることに気づき回避する。
帰宅し、最後の東京仕事をしてメール、資料などを全てゴミ箱に捨てる。
テレビで日本百名山の五竜岳を見る。
昔、ミネーロと初夏に唐松岳から五竜へテント縦走しようとしたが
難所である牛首あたりが強風で中止したことがあった。
五竜岳はいつか登ってみたい。
この歳でいつかなんて言ってるとゲームオーバーになってしまうよなあ。
新年最初に読む本を決めかねる。
静かな読書が出来そうだ。
徳岡孝夫「妻の肖像」を再読しようか、
それともずっと読めなかった梨木香歩の「渡りの足跡」にしようか。
エンターテイメント小説はそのあとにしよう。
夜、amazonでレンタルした映画「500日のサマー」を半分見る。
1時過ぎに就寝。