ぷよねこ減量日記 2009/5-2016/1

旧ぷよねこ減量日記です。2016年1月に新旧交代してます。

09/9/12 ふいご座ライブ@京都ネガポジ

     

朝、目覚めると雨がアスファルトを叩く音がする。
空気が湿気を帯びて肌が汗ばんでいる。
酒は残っていないが、ホイル焼きで食べた青森ニンニクの痕跡が吐く息に残る。
ヒロの機嫌が悪くならなければいいが。


コーヒーと昨日ヒロが買ってきたヒキタのチーズケーキを食べる。
ベイクドケーキが濃厚でいて甘くなくて切なくて美味しい。
雨はいったん止んだが今にも降りそうな気配。
走る気があれば走れたが走らず。


…昨日、いっしょに飲んだF島氏が三上寛に心酔するようになったのは21歳の頃だという。
当時、早稲田のラグビー部員だった氏はスポーツバッグを下げてライブ会場へ通ったという。
時は(おそらく)70年代終わり、フォークの世界に体育会は不釣り合いな時代だったと思う。
想像すると微笑ましい。


思い出すことがある。
西天満のバーの主、Uさんも学生時代は日本拳法部。
学ラン(長ラン)のいかつい格好で天王寺の春一番フォークコンサートへ通ったのだった。
明らかに異様だったと言う。
それは70年代半ばのことだ。


…夜、京都へ行く。
鞴座(ふいござ)のライブが『ネガポジ(陰陽)』というライブハウスである。
四条烏丸に着いた時はまだどしゃ降りの雨だった。
地下鉄に乗り換えて烏丸御池(おいけ)で下車する。
雨が上がっている。
5番出口からの地図は憶えてきた。
小さな公園があってその東向かいにあるのだ。
頭の中の地図通りに歩くが目当ての公園がない。
あれ?イノダコーヒーの三条店があるぞ。
ここは三条通、ということは…あれれ?
時間に余裕があったのに開演まで30分を切っている。
あれれ?
携帯電話で地図を確かめる。
よくよく見ると最寄り駅は御池(おいけ)ではなく丸太町だった。
なんたるちや。
丸太町は次の駅、歩いた方が早い。
早足で急ぐ。
幸い涼しいので汗をかくことはない。


三条通に比べるとひっそりとした夜の公園。
その公園沿いに『ネガポジ』はあった。
地下への階段を下りる。
ライブハウスのざわめきが全く聞こえない。
一瞬、今日は中止だったりして? と疑ってしまう。
二重になっているドアを開けると音楽が聞こえる。
ステージの前に数人の客もいる。
2000円払って席に着く。
ステージに向かって下手の端、背もたれのあるソファ席。
座り心地よし。
『ネガポジ』はこぢんまりした懐かしい感じのするハコ。
磔磔や拾得に似ていかにも京都らしい雰囲気のライブハウスだ。

    


客は15人ほどだろうか。
F島さんが東京のライブハウスで聴く三上寛は10人くらいだと言ってたなあ。
今日はステージに4人、客席に15人だからそれよりも贅沢。


予定の7時半に少し遅れて開演。
前半はミュゼットやアイリッシュ、クレズマー音楽など欧州横断の旅。
鞴座の3人によるポーグスセットの演奏。
『フェアリーテイル・オブ・ニューヨーク』から始まるポーグスメドレーだ。
ほどなく客演のパーカッション田中良太氏を迎え入れる。
笛の先生である鉄心さんの微温湯のようなトークでライブは進行する。


岡部氏のキレのいいギター、田中氏の絶妙のパーカッションがいい。
鉄心先生もいつにもまして今日は楽しそうです。
ヨーロッパ音楽の旅、旅の最後は日本です、と鉄心さん。
江戸時代の音楽なんですが…とぼけた味で紹介する。
大江戸捜査網』、続いて『暴れん坊将軍』、最後はなぜか『ブルーライトヨコハマ
鉄心先生の尺八演奏あり。
“首振り三年”と言われる奥義を見ることが出来ました。


休憩中。
隣に座る女性に話しかけられる。
「よく鞴座さんのライブに来られるんですか?」
「あ…は、は、はい、3回目です」
清楚な美人、30歳くらいか。
ちょっと得した気分。
調子に乗って聞かれてもいないことをべらべらとしゃべる。
あの笛はティン・ウィッスルです。
あの笛の人に教えて貰ってるんです。
京都のスタジオです。
初心者歓迎です。
僕は西宮に住んでます。
恥ずかしながら52歳。
糖尿病で入院したこともあります。
はい、今は元気です。
いやいやなかなか上達しませんで、ハハハ。
そこへ開演前に注文したでっかいエビせんべいが運ばれてくる。
一人でバリバリ食べながら、デレデレとお話ししました。


後半も素晴らしいステージ。
鉄心さんが本当に楽しそうだ。
ネガポジで鞴座+田中良太、これで2000円はお得です!


隣の女性に挨拶してネガポジをあとにする。
雨はすっかり上がっている。
烏丸通りを南へ歩く。
ライトアップされた赤煉瓦のビルが美しい。
京都の女性がみんな美人に見える日、というのがある。
やっぱり大阪より京都がいいなあ。
今年は笛教室に通い始め京都率が高い年、なのに京都を味わっていないと思う。