ぷよねこ減量日記 2009/5-2016/1

旧ぷよねこ減量日記です。2016年1月に新旧交代してます。

09/12/16 ワルツ with バシール

目覚ましラジオの天気予報。
冬将軍ご一行様が6泊の長逗留で日本ツアーへお越しになるらしい。
体重73.00キロ。
今日は体力温存のためにジョギングは休止。
要するにサボる。
来年1月は走り込み強化月間にしたい。
3日の武庫川ロード10キロにも出場するぞ。


新聞記事で『午前10時の映画祭』というイベントを見つけた。
往年の名作50本(リマスター版)を来年2月から全国の映画館で上映する。
午前10時からのモーニングショー。
WEBで見るとその50本が紹介されている。
リクエストなので月並みではあるが何本かは見たいと思わせる。
『昼下がりの情事』『ブリット』『ワイルドバンチ』『アパートの鍵貸します
ショーシャンクの空に』『裏窓』…。
映画館のリストを見ると兵庫県は…TOHOシネマズ西宮じゃないか!
自転車で行く『午前10時の映画祭』、2010年の楽しみがひとつ出来た。

http://asa10.eiga.com/


…2007年から約2年半履き続けた靴のソールが減った。
ローカットのトレッキングシューズで月の半分はこの靴だった。
LLビーンでハイキングシューズを新規購入、靴を買うのは1年ぶりくらいか。
かなりソールがかっちりと固いタイプ。
最初はちょっと履き辛いかも。


15時過ぎ、遅めのランチ、駅前第2ビルの地下でトンテキ定食を食べる。
何度も店の前を通り目をつけていた。
http://www.osaka-asoblog.jp/XP/fd36490.html
味付けはポークチャップみたいな洋食風ではなく生姜焼き風。
とにかく分厚い豚肉、肉食ったぁ、と800円で満足できる。
肉食オヤジなのだ。
カロリーのことを考えると今日は夕食抜きだな。


豚を食って地上に上がる。
マルビルが夕陽に紅く映える。
思わずデジカメで撮影。
仕事をサボりたい気分になる。
スターバックスで珈琲を飲みながらスケジュール調整。
フリーランスの優雅な生活。


…映画見よう。
A部氏がなかなか良いと評していた『戦場でワルツを』(原題Walz with Bashir)だ。
寒空の下を歩きガーデンシネマへ、スカイビルの下では恒例のドイツ祭り。
X'massツリーや回転木馬、イルミネーションに彩られたスペースに人が集まっている。


今日は水曜、料金は1000円とある。
以前は女性のみだったが今は男も1000円らしい。
とにかくラッキーである。
混んでなければいいが。


ガーデンシネマは2つのスクリーンがある。
もう一本は『スモーク』がかかっている。
戦場でワルツを』とほぼ同じ時刻のスタート。
どっちにする?
『スモーク』は今日で終わり。
迷うなあ。
初志貫徹、『戦場でワルツを』に決める。


混むかも?
心配は無用だった。
18:40の回なのに、1000円なのに、客は15人足らずだった。
でも、いつも空いているのを喜ぶのはいいが存続が心配になる。
デフレと同じ構造。
ものが安いのを喜ぶのはいいが…である。


戦場でワルツを』は今年のアカデミー外国語映画賞を『おくりびと』と争った映画。
レバノン戦争を描いた、ドキュメンタリーなのにアニメーション、という画期的な企画だ。
http://www.waltz-wo.jp/index.html


監督自身が主人公、かつて19歳の時にレバノン戦争に従軍している。
イスラエルは国民皆兵、18歳になると男女とも兵役につく。
男は3年、女は21ヶ月、男は45歳まで予備役、いつでも徴兵される。
(つまり僕はもう予備役も終えた年齢だということ)
1982年、主人公は1年の訓練を終え、どこへ行くとも告げられず船に乗せられた。
どこに上陸したかもわからないまま、誰と何のために戦うかも知らされず戦闘が始まった。
レバノンはそんな戦場だった。
   http://www.youtube.com/watch?v=jek5Wo7nNPo
   


戦場でワルツを、戦場とはレバノン市街。
原題は、バシールとワルツを、バシールとは暗殺されたレバノンの大統領、
キリスト教マロン派のファランヘ党の指導者だった人物。
ワルツとはショパンの有名なワルツ Op. 64, No. 2。
切なくて哀しくて美しい曲です。
映画を見れば、バシールとワルツを踊る、という意味がわかります。
ちなみにこんな曲です。
弾き手はルービンシュタイン
   http://www.youtube.com/watch?v=2WpDH5zbhIk
   



今年の1月、ラジオ番組でこの映画を知った。
TBSラジオの『ストリーム』火曜日のコラムの花道だった。
その頃に日記にこう書いている。
ちゃんと映画紹介になってますね。


 …町山氏の映画紹介で『ワルツwithバシール』を知る。
 イスラエルの映画でドキュメンタリーなのにアニメーション、という不思議な映画。
 1980年代にレバノン戦争に従軍したイスラエル兵が監督をしている。
 バシールとはその戦争で殺されたレバノンの大統領の名前。(首相だったかな)
 80年代のレバノン戦争は複雑な戦争として僕も記憶している。
 レバノン戦争激化の1982年、僕は学生だった。
 その後、漠然と報道カメラマンに憧れてた時期があった。
 沢田教一、岡村昭彦、石川文洋長倉洋海…ただ漠然と。
 だからその頃に起こった戦争はよく記事を読んだ。
 アイルランド紛争、エルサルバドル内戦、イラン革命レバノン内戦などなど。


 レバノン戦争の話だった。
 誰と誰が闘っているのか、何のために何を求めて闘っているのかわからなかった。
 なんでイスラエルが参戦したのか理由もあいまいだった。
 主人公はレバノン戦争で闘ったにもかかわらずその当時の記憶が全くない。
 そこでかつての仲間に、自分はレバノン戦争で何をしたのか、を尋ね歩く。
 そのインタビューの映像はアニメ、声は本物。
 語られるレバノン戦争の再現はアニメーションだというのだ。


 町山氏の紹介で語られる一つのシーンが衝撃的だった。
 イスラエルは当時も今も国民皆兵、全員が軍隊に入る。
 まだ10代だった主人公は戦争に行くぞ、と言われて国を出る。
 どこへいくか、誰と闘うか、何のために闘うかも一切知らされない。
 海へ出て、ある浜辺に上陸する。
 隊の目前に乗用車(ベンツ)が現れる。
 号令とともに全員でその車を撃ちまくった。
 恐くて恐くて銃弾が尽きるまで撃ちまくった。
 蜂の巣どころではなかったらしい。
 そんな車を近づくとまた撃ちまくった。
 恐怖心がおさまらなかった。
 インタビューで当時の仲間が答える。
 あの車には親子4人が乗っていただけだよなあ、と。


 今も、ついこの前までガザでイスラエル軍は同じような行為を繰り返していたのだろう。
 敵国に攻め入る軍隊は、恐怖心から、必ず虐殺をする。
 最後に主人公が記憶を失った理由が語られる。
 見る者は、なぜ彼が記憶を消してしまったのか、を知ることになる。
 その場面だけが、実写の記録フィルムらしいのだ。
 恐ろしい記憶…。


 この映画はアカデミー賞の外国語映画賞にノミネートされている。
 日本公開予定はなかったが、最新の町山氏のブログによると公開決定したそうな。
 邦題は『戦場でワルツを 』。
                       (09/1/27の日記より)

保存していたPodcast『コラムの花道』をアップしてみました。
一番右のボタンをクリックすると(たぶん)聞けます。
4分過ぎから『戦場でワルツを』の紹介が始まります。
そこまではとばしちゃって聞いて下さい。
Download



戦場でワルツを
賛否両論が渦巻くのもわかる。
イスラエル軍がこの虐殺にどう加担していたのかは今ひとつ曖昧なままだ。
今年9月に七芸でドキュメンタリー映画『沈黙を破る』を見た。
占領地に派兵されたアビハイという名の元イスラエル兵がこんな告白する。
(アビハイ! アビハイ・コーエン、有名なジャズミュージシャンと同名だ。)


 「平日はトルカレムのような占領地でAPC(装甲人員輸送車)を運転して
  パレスチナ人の車を踏み潰して走っていました。単に楽しみのためです。
  車の上を走るというのは面白いものですから。
  そんな自分が週末の休暇にイスラエル内を車で走る時、通常の運転ができると思いますか。   
  赤信号でちゃんと誰かの後ろにじっと止まって待っていると思いますか。
  できるわけがありません。わかってもらいたいのは、
  占領地で兵士として任務に就いている『アビハイ』という自分と、
  休暇で帰ってきたときの『アビハイ』は、同じ人間だということです。
  つまり兵士たちは占領地から、暴力や憎悪、恐怖心や、被害妄想などをすべて抱えたまま、  
  イスラエルの市民社会へ戻ってくるということなのです」  
                   (『沈黙を破る』公式ホームページより)



装甲車(戦車だったかな)が市街地を駐車してある車を踏み潰す。
全く同じシーンが『戦場でワルツを』に出てくる。
静かだがもの凄く残酷さを感じさせる映像だった。


とにかく、僕らの世代も今の若者の世代も、イスラエルという国は日本とは違う、ということ。
世界は均一ではない、ということ。
それだけは知識として知ることが出来る。



アニメーションは悪くない。
独特の色使いとペンタッチ、人物や背景の動き。
これでチャンドラーやダシール・ハメット、キャビン・ライアルなどなど、
アメリカ産のハードボイルド小説をこのタッチで作ってくれたら面白いと思う。
モダンジャズとも相性が良さそうだ。


映画『ゴールデンスランバー』(堺雅人主演)は面白いらしい。
ガーデンシネマの今後のラインナップでは『千年の祈り』『海角7号…』が見たい。
『海角7号』は予告編で、見たい!と直感した。


帰宅後、ヒロに頼まれて義母(ばあばあ)が出す年賀状をデザインし50枚プリントする。
張り子のトラのイラストをダウンロードして貼り付けただけだけどね。
自分たちのも作らないとね。