10/1/4 黄金のまどろみ

松の内が明けて今日から仕事。
編集の上がりをチェックするだけのゆるい仕事ですけど。
朝ご飯も通常モード、焼き鮭、百合根の卵とじ、水菜の煮びたしに味噌汁。
ヒロも眼が痛むのに飯を炊き洗濯をする。
73.85キロ、体重は順調に増えていく。


…深夜2時、伊坂幸太郎『ゴールデンスランバー』読了。
年末、ヒロが図書館で借りてきてほぼ一日で500頁を一気読みした小説。
僕も読み始めは著者の文体に馴染めず進行が遅かったが、
200ページを過ぎたあたりから一気読みしてしまった。
この人の本は前に『アヒルと鴨のコインロッカー』を読んだ。
正直、イマイチだった。
今回の『ゴールデンスランバー』は面白かった。
舞台は仙台、地元の凱旋パレードで首相がラジコンヘリに乗せた爆弾で暗殺される。
全く身に覚えのない男が犯人と断定され、巨大な警察組織に追われる、というストーリー。
至るところに伏線を敷きサスペンス満載だ。
2年前だったか、「ストリーム」でトヨザキ社長が推薦してた本。
   

ゴールデンスランバー

ゴールデンスランバー


「テレビなんて嘘ばっかり流している」
マスメディアの餌食になった主人公が言う。
テレビの仕事をしていながら内部告発のようですがこの意見に激しく同感。
少なくとも「嘘も流す」し、テレビ局にとって「都合のいい情報しか流さない」は事実だ。
おそらくこの小説で一番説得力のあるメッセージがこれだ。


あとは…どーなんだろう。
結局、主人公を追い込む黒い巨大権力の正体は明らかにされないし、
ヒロが言うように物語の結末、その読後感は決して心地いいものではない。
モチーフにしているケネディ暗殺事件だって何も明らかにされていない。
これは社会派サスペンスではない寓話なのだ。
そういうことなのだろうな。
僕は、何で彼が?というのが一番気になる質なのだが…。


『アヒル…』もそうだったが伊坂幸太郎の小説には“悪意”がまぶしてある。
ぼくらの世代には受け入れがたい“悪意”、それを当たり前に存在する空気のように描く。
いや、少なくとも僕には受け入れがたい。
(具体的にはキルオの存在)
嫌な気分がこびりついたままだ。


市橋容疑者は読んでいたのだろうか。
おそらく、彼が捕まってからこの本を読んだ人は連想するのではないだろうか。


映画が今月末に公開される。
試写会を見た眼鏡堂氏の友人(ぽっちゃり氏)がブログで絶賛していた。
主人公は堺雅人、なるほどいいキャスティングだと思う。
伊坂作品はもしかしたら映画の方が成功するのかもしれない。
僕も今後は読まないかも知れないが映画は見たいと思う。


タイトルのゴールデンスランバーは「黄金のまどろみ」という意味らしい。
ビートルズの『アビーロード』のB面(古いね)のメドレーに入っている曲。
僕が最初に聞いたアルバムがこの『アビーロード』だった。
一番好きなLP(アルバム)だ。

Abbey Road

Abbey Road

FM放送でアルバムごと全曲流れたのをカセットテープに録音した。
金沢の下宿で繰り返し聞いた。
小説の中で歌詞が何度も出てくる。
“かつてそこには家へ帰る道が存在した”

 Once there was a way
 To get back homeward
 Once there was a way
 To get back home


 Sleep, pretty darling, do not cry
 And I will sing a lullaby


 Golden slumbers fill your eyes
 Smiles awake you when you rise
 Sleep, pretty darling, do not cry
 And I will sing a lullaby


   http://www.youtube.com/watch?v=WYwvJbkaDs0


あのころに帰りたい。
でも、帰ることなんて出来ない。
もう戻り道はない。
そう言いたいのだろうな。
でも、物語の中では共感するものがない。
僕が古い世代の人間だから共感できないのだろうか。
自分は楽しんだのにイチャモンばっかですいません。


…早めに帰宅。
ヒロの眼の痛みはなかなか鎮まらない。
診療所で処方された目薬も効かない。
痛みがひどいので鎮痛剤のナロンエースを飲む。
ペインクリニックだ。
飲んでしばらくすると痛みが和らいできたと言う。
辛いなあ。
ネットで調べると強膜炎の場合、痛みが強い場合は眼球に注射するのが効果ありとのこと。
ヒロに言うと絶対イヤと拒むが…。