10/8/2 日米の人形劇に涙…!

   


トイ・ストーリー3』@TOHOシネマズ西宮
夏休み、平日だがさすがに混んでいる。
それでも7から8割くらいの入り。
4人なので事前にネット予約していった。
僕とヒロは夫婦50割引、ばあばあはシニア割引、甥っ子は中学生料金。
4人とも¥1000です。


ここでは3D吹き替えが2スクリーン、3D字幕が1スクリーン、2Dが1スクリーンの上映。
上映回数も3Dが一日5回、キャパも大きなスクリーンだ。
でも、ネット予約の状況を見ると3Dは空いていて2Dは混んでいる。
庶民は少しでも安く見たいしメガネをかけて見るのは鬱陶しい。
保守的なのだ。
我らもそれは同じ、家族4人で2Dと3Dとでは1200円違う。
3Dを普及させたいのなら逆に割安にすべきだと思う。


面白かった。
映像もきれいで楽しくて笑わせてくれてハラハラさせてホロリとさせる。
映画として上手いなと思った。
アンディが自分のおもちゃたちを紹介するシーンにじーんと来た。
誰も死なないし、誰も不幸にならない。
でも、悲しいのはどうしてだろう?
この映画は深い。


恥ずかしながら僕ら夫婦は(自分でいうことではないが)不憫である。
おもちゃ世代はとっくに過ぎて過去のこと。
でも、今もぬいぐるみたちを盲目的に愛しているので映画への思い入れはまた格別かも。


大学生になって家を出るアンディがおもちゃとお別れする。
ヒロが、私だったら絶対に手放さないと言う。
ヒロは捨てられない女である。
漫画本や鍋釜や映画のパンフや昔の番組を録音したカセットテープは捨てない。
僕にはすぐに、バイバイ! とか言うクセに。


      


夏休み映画、これはオススメです。
5ブラボー!
3Dでもう一回見てもいいなぁとさえ思う。


…『菅原伝授手習鑑』@国立文楽劇場
文楽という芸能の存在は知っていた。
大学時代に同じ下宿にいた同じ学部のM先輩が大阪出身で、
彼の祖父が文楽人形使い人間国宝だった。
(正確には重要無形文化財保持者ですね)
そのM先輩とは毎日のように飲んでた時期があって、
じいちゃん人間国宝、とよく言ってた記憶がある。
それ以後、文楽の写真や記事を見て、ああこういうものかと認識してはいたが、
僕はこの芸能を見ることもなく死んでいくのだなと意味のない自信を持っていた。
何故だかわからないが、文楽=見ないだろうな、という確信。


でも、人生とはわからないもの。
50を過ぎて3年半、ひょんなことから文楽なるものを見に行こうと思いたった。
「そうだ、文楽行こう」である。
人生には他人に影響されたくない時期と、これも何かの縁だからと身を任せる時期がある。
四十を過ぎてからというもの、身を任せるのを是とする。
意外と具合がいい。
「人生とは何かを計画している時に起こってしまう別の出来事」



西日の差す国立文楽劇場
日本橋界隈は中国語、韓国語、に混じって大阪弁が飛び交う。
ミナミの帝王」の世界です。
30年近く関西に住んでいても緊張する。
梅田あたりよりこっちの方がナニワ、上方、という雰囲気が強い。


チケット売り場、僕の前の二人連れの男はドイツ人らしい。
4600円の当日券、席は12列の12番。
解説本650円購入。
『菅原伝授手習鑑』の部を熟読する。


やがて開演。
廻り舞台のからくりよろしく床がくるりと回って登場したのは語り手(太夫)と三味線弾き。
予想以上に速く床が回る。
音で表すと、クルリンパ! という感じ。
勢いで太夫が客席に飛び出していくんじゃないかと思うほど。
飛び出したらそれはそれで面白いですが。

   



先ずは『寺入りの段』
大夫が語り、三味線弾きが拍子と効果をつけ、人形が演じる。
人形浄瑠璃文楽とはこういうものか。
語りの文言は舞台の上に電光掲示される。
テレビのコメントフォロースーパーみたいなものですな。
最初は寺子屋で子供たちが何やら習いごと。
先生はおらず自習している様子。
15歳(?)のちょっとアホな子供(十五のよだれくり)が笑いをとる。
そこに幼い子を連れた女が登場。
てなことを、ト書き(状況説明)、場の空気、台詞ともに語りの大夫がすべて受け持つ。
なるほど。
12列からだと人形の動き、特に子供が、ちくと見えづらいせよ。
仕組みがわかったので次の『寺子屋の段』からは物語の世界に没頭することに。


寺子屋の段』
『菅原伝授手習鑑』は日本の三大浄瑠璃の一つだとということである。
あとの二つは「仮名手本忠臣蔵」「義経千本桜」、舞台となる時代から言えば一番古い。
(言うまでもないことだが)僕はこの歳になるまでなーんにも知らなかった。
バルト三国の首都は全部言えても浄瑠璃は知らないのだ。
こういうのは日本人としての教養なのではないか。
恥じ入ります。


残酷な話である。
許されざる非道な社会、野蛮な風習、封建的な主従関係。
当たり前である。
平安時代たもの。
いちいちそんな主張をしていたら悲劇として成立しない。
シェークスピアだって千一夜物語だって同じ。


松王丸の台詞。
「アノにつこりと笑ひましたか笑ひましたかハハハハハハ」
笑ってる場合か、と突っ込みつつも思わず泣きそうになる。
この松王丸を歌舞伎で仁左衛門海老蔵が演じたらしい。
これは見てみたい。


ふと気がつけば人形たちが愛おしい。
人形劇で泣くかあ? と僕が言うとセルジオが、
「それが泣けてくんねんて。ぬいぐるみみたいなもんやで」
納得。


大夫(語り)が圧巻!
最後の場面は竹本津駒大夫。(たけもと つこまだゆう)
この人、一見すると自民党土建屋族の衆院議員のようである。
強面の悪者面(すいません)
しかし!
顔を紅潮させての大熱演であった。
狂ったかと思うほど。
これは芸です。


三味線の人は『酒や肴 よしむら』の吉村さんに似てました。
吉村さんは正統派の上方伝統芸能顔ですね。
ちなみに大相撲の行司の木村、式守などと同じく決まった名字がある。
大夫は竹本○○大夫と豊竹○○大夫、
三味線は鶴澤と竹澤、豊澤、人形使いは吉田、桐竹。
人間国宝は各部門に2人ずつ。


上方の世話物とか人情物も見たかったなあ。
三十路さんも書いてたが、ここいら国立文楽劇場近辺の話ばかり。
臨場感満点。


実は…僕は大阪芸能文化国民健康保険組合員です。
毎月送られてくる組合広報紙がある。
そこに文楽の竹本某氏が喜寿を迎えたとか、表彰を受けたとかの記事がよく載る。
そう、今日熱演してた竹本津駒大夫さんや吉田さんらと僕とは同じ組合員なのです。


幕が下りてミナミの街。
地下の「赤垣屋」で生ビール1杯。
法善寺の老舗バー「カルバス」でハイボール締め。