ぷよねこ減量日記 2009/5-2016/1

旧ぷよねこ減量日記です。2016年1月に新旧交代してます。

2004/8/25 アテネ17日目

アテネ OTE Palini)
アテネを発つ日が来た。9日にアテネ入りして今日で17日目。
ようやく日本に帰れる。
ロシアで航空機が2機同時墜落、テロか!とのニュースが入る。
何とか無事に帰国したいもの。
このアテネに滞在している間は来る前に日本で噂されていた五輪テロの警戒心は薄れていた。
会場の雰囲気はそれほど緊迫したものではなかった。
この会場にテロはないだろうと確信めいたものがあったのは事実。(何の裏付けもないが)


村上龍メールマガジン野口みずきの金メダルのレースについて
朝日新聞に載った沢木耕太郎の文章について「違和感がある」と書いている。
沢木は一貫して野口みずきにとって
「見えない敵」高橋尚子との戦いといった文脈でとらえていて、そこに違和感があるというのだ。
物語性を追求したいがために本質を見失ってしまう。
はたして、レース中、野口みずきはどれほど高橋尚子のことを考えて走っていたのだろうか。
いや、村上龍はそんなことに興味はないと言い切る。
スポーツに物語が必要だろうか?
沢木スポーツドキュメントはその物語ありきで始まる。
野口の走りはそれを爽やかに否定する。
僕としても沢木の固執にこのケースは違和感を覚える。
物語性を必要としないスポーツシーンもあり得るのだ。
詳しくは村上龍のHP http://ryumurakami.jmm.co.jp/のフィジカルインテンシティの欄を見て下さい。


…昨夜はPALINIの教会の坂の途中にあるシーフードタベルナで打ち上げ。
庭のテラスで40人ほどでビールやワインを飲み、烏賊やタコを食べる。
こっちに来て初めてのシーフード、味付けは自然の塩味がベースであっさりして美味しい。
カレマレスという烏賊の唐揚げ、タコの足をそのまま炭火で焼いただけのものにレモンをかけて食べる。
何だか、ほっとする味。
烏賊を輪切りにして中に野菜の詰め物がちょっとだけ入った料理もやわらかくて美味しい。
こんなのを毎日食べていたかった。
中継はすべて終わったので、みんな楽しそうに飲んで笑う。
僕が最初の頃に「こむら返り」がしたと話すと、
50年配のプロデューサー氏も「僕もそうだったんだ」と、
また跳馬のスイッチャーK氏も「僕も最初は大変でした」という。他に女性スタッフも数人、「返った」と言う。やっぱり、過労と朝晩の冷え込みが原因なのだろう。
それともアテネには妖怪こむら返しなんてのがいて、日本人にいたずらしたのかも?
あん馬のスポッター(現場フロア)にM君(ベルギー在住)が
タベルナの親爺に手を引かれ連れて行かれる。
何だ、何だ?と思ったが、自宅に遊びに来いと口説かれたそうな。
もう一人のスポッター、オーストラリア人のジャスティンも陽気に酔っぱらっている。
ニューヨーク在住のディレクターE氏も土産のウゾの瓶を持ってごきげんさんだ。
ジャスティンにオーストラリア国歌を歌ってみろと言うと、「AUSTRALIAN…mmm」とハミングになり、
「we are young and free」でまたハミングになる。
オーストラリア人はあんまり歌詞を憶えていなくて好きなフレーズだけ歌うらしい。ほんとかな?
ジャスティンは「カナダ人もそうだよ、あいつらも国歌の“Oh Canada!”というとこだけ
大きく歌ってあとはハミングだよ」と言う。これはホントっぽいな。


池澤夏樹の「パレオマニア」に「ギリシャでは至る所でイヌが昼寝している」とある。
まさにそうだった。ほぼ死んでいると見間違うほど脱力して寝ているイヌ、
時々、外国人に触られては迷惑そうに目を開けて生きていることを証明する。
この狂乱の五輪が終われば彼らにも平穏な日々が戻るのだろう。


…10時出発の神志名Pや竹林P、ジャスティンらを見送り、パッキングもほぼ済ませる。
テレビでは女子のトライアスロンを生中継している。
ランに入りオーストラリアの選手がトップ、アメリカの二人が追っている。
オーストラリアの選手は2分以上差をつけての独走の様子。
シドニーの覇者スイスのマクマホンや女王ミケリー・ジョーンズは出場していないのだろうか。
しばらくすると突然実況が「アンビリーバブル!オーストリア」と騒ぎ出す。
観ると今まで見なかったグレーのユニフォームの選手が
1位のオーストラリアの選手の真後ろに来ていて今にも抜きそう。
そして、その選手はゴール100メートルくらい前で抜き去り金メダル、
劇的な逆転勝利だ。あっけにとられて見てしまったなあ。
それにしてもシドニーはスイスの選手、アテネオーストリアの選手とトライアスロンアルペンの国が強い。
その後、録画だろうけど3000m障害の決勝、この種目はケニアの独壇場、
ファイナルラップで一人がスパートし、トップに発つと後ろのケニアの3人を振り返り、
「さ、ワンツースリーでフィニッシュするぞ」とばかりにコントロール、
2人が並んでついているのを確認しながらゴールする余裕、この強さは凄い、桁外れ。


…荷物をパッキングしてバルコニーに座り、缶のハイネケンを飲む。この景色ともサヨナラ。