ぷよねこ減量日記 2009/5-2016/1

旧ぷよねこ減量日記です。2016年1月に新旧交代してます。

10/9/14 「澤瀉屋!」

新歌舞伎座こけら落とし公演へ行く。
ヒロがチケット予約して入手した激安の3階席はなんと1500円!
いきなり居眠りの三番叟、口上に笑い和み、大熱演の連獅子に感動、
幽玄の美 黒塚に震え上がり、「おもだかや!」の絶妙の大向こうに鳥肌。
1500円のもとは十分とれたね、と大満足。


感想は追って書きます。


…靴を買うのはいつ以来だろうか。
ほぼ衝動買いでウォーキング(トレッキング?)シューズを購入。
24150円、僕にしたら人生3番目くらいに高価な靴。
場所は梅田モンベル、メレルというブランドのカメレオントレックというシューズ。
レザー製、ビブラムソール、雨に強く通気性のあるゴアテックス。


ここ数年、気に入って履いているズボンがある。
(パンツと呼ぶのに抵抗ある世代、なんて呼ぼうかといつも迷う)
色はダークブラウン、シルエットも、ちょっと厚手の生地の肌触りも気に入っている。
でも、合う靴がない。
いっそヘビーな登山靴くらいの方が合うのでは、と思うが、
普段の仕事に重い登山靴を履いていくにはいかない。


今日、家を出る時の玄関でのヒロとの会話。
「どうもこのズボンに合う靴がないんだけどなあ」
「いつも言うてるね。でも気にしてるの自分だけやって」
「うーん、でも落ち着かんのよ」
「他人の履いてる靴なんて人は気にしてないって」
「そうかなあ」
「わらじでも履いてたら気になるかもしれんけど」
わ、わらじ…!


たまたま寄った大阪駅前のモンベル
この靴を見つけた。
買うつもりはないけど履くだけ履いてみよ、と試し履き。
お、お、お、フィットする。
これはいいかも。
色も質感もお気に入りのズボンに合う。
買っちゃうか。
これは衝動買い?
いや、以前からこういう靴を探していた…のだ。
で、購入した次第。
すぐに履いていきます、と嬉しがり。


僕の足は幅広でちょっと変形しているのでなかなかピッタリの靴はない。
いいな、と思っても履いてみると痛かったり違和感があったりして諦めることも多い。
今回は珍しくピピっと来た。
足が一目惚れ。
千載一遇。
買って後悔なし。


自宅へ戻ってWEBで靴の名前を調べてみた。
楽天ショップで売っていた。
http://item.rakuten.co.jp/shoex/1495180
販売価格20700円!(送料無料)
定価が24150円とある。
僕は定価で買ったのだ。
4000円近い差。
ちょっとショック…。
でも、靴はネットショッピングでは買えないもんな。
と、自分をナットクさせる。
買って後悔…なし。



…上本町の新歌舞伎座へ行く。
なんばにあった「新歌舞伎座」と「近鉄劇場」が合体して近鉄劇場のあった場所に新設された。
ユニクロ無印良品やレストランフロアのあるいわゆる複合型商業施設ビルの6階にある。
文化施設としての風情は全くない。


こけら落とし公演。
『松竹花形歌舞伎 市川猿之助監修 21世紀歌舞伎組公演』
ヒロが電話で予約した。
彼女は僕よりずっと歌舞伎に詳しい。
昔からの歌舞伎ファンであるばあばあ(母)につきあって京都南座に何度も足を運んでいる。
今回行こうと思ったの理由は2つだろう。
ひとつは最近、僕が歌舞伎の質問をするから、僕が行きたいのではないか、と思ったこと。
もうひとつはチケットが激安だということ。(たぶんこれが最大の理由だと思う)
よみうりファミリーサークルか朝日友の会とかの割引き料金、3階席 夜の部 1500円!
ちなみに普通に買えば5000円で、このお得感が魅力なのです。


ヒロは金を使わない。
嫁ってホントに金使わんわ、と友人によく言う。
そのたびに、そんなんお前んとこだけやで、と窘められる。
世の中には浪費家の嫁さんも多いらしい。


とにかく1円でも安いものを探して近所のスーパーを回遊する。
旦那がちょっと飲んだら飛んでしまうのに…。
すまないと思う。
独身時代、あれほど海外旅行へ行った人が誘っても行きたがらない。 
こいつといたら贅沢してられないという危機管理だろうか。
正直、年収が低いのに何とか暮らしていけてるのはヒロのおかげです。


聞くところによるとA藤ディレクターの奥様もヒロと同類らしい。
A藤クンは高収入なのに嫁は倹約家らしい。
買ってきたものを見せて「これいくらだと思う?」と聞く。
答えが買った値段より高かったら…喜ぶのだそうな。
逆に買った値段より安く言うと機嫌が悪くなる。
だから、ちょっと下駄を履かせて高めを言うのだそう。


閑話休題
歌舞伎の話に戻します。


新しい『新歌舞伎座』に入る。
奥行きが無い。
3階席からでもすぐに手の届くところに舞台があるように思える。
でも前の席との間隔が狭い。
足が組めないほど。
係の女性スタッフの物腰に違和感を感じる。
撮影禁止、おしゃべり禁止、上演中の飲食禁止、前屈み禁止。
そんなんわかってるよ、ということを何度も繰り返す。
客を取り締まってるという感じ。
劇場の印象は悪い。
3階席は空いていた。
中央に客を押し込めているので窮屈に感じたが勝手に移動する。


21世紀歌舞伎組って何だ?
市川猿之助監修ということは「スーパー歌舞伎」みたいなものかな。
松竹座や南座でかかる歌舞伎とはどう違うのだろうか。
親日とかWWFとかプロレスの興業団体のようなもの?
主催は同じ松竹だからそういうものではないようです。


演目は『太閤三番叟』『口上』『連獅子』『黒塚』
昼は『黒塚』に代わりに『義経千本桜 吉野山』となる。
間に15分から20分の休憩が入る。
こけら落としだからバレエでいうガラ公演みたいなものだよ」とヒロが言う。
ええとこどり、なのだそう。
http://www.shinkabukiza.co.jp/perf_info/201009.html

  


一、『太閤三番叟』(たいこうさんばそう)
絢爛豪華な踊り、台詞はほとんど無し。
大阪のご当地もの、こけら落としのご祝儀舞踊。
昼のプログラムは太閤秀吉が登場するが夜は女形3人の踊り。


   淀の方 市川笑三郎
   松の丸 市川春猿
   北政所 市川笑也


お祝いの演目らしく長唄お囃子が見事。
最初は楽しく見ていたが、しだいに眠くなり、落ちる。
ヒロに「いびきはアカンよ」と起こされる。


二、『口上』
とざいとーざい、で始める。
役者が袴姿で勢揃いしてお祝いの口上を言う一幕。
中心に市川右近、この人の挨拶がジョークがきいて笑える。
市川○○にございます、で始まり、楽しい自己紹介があって、
御願い奉る次第に御座りまする、で力強く締める様式美。
皆さん声もよく通り聞いていて気持ちいい。
澤瀉屋!」「猿弥!」「笑三郎!」の声が飛ぶ。
最後に右近が、すみからすみまでずずずいっと、には鳥肌が立った。


三、『連獅子』
口上で「鶴橋の焼き肉を食べて頑張っております」と笑わせた猿弥が親獅子、
「子獅子をやらせていただくのが夢でした」と行った弘太郎という若手役者が子獅子。


  狂言師右近 後に 親獅子の精  市川猿弥
  狂言師左近 後に 子獅子の精  市川弘太郎


連獅子を見るのは僕はもちろん初めて。
ヒロも見たことがなかったので楽しみにしてた。
期待通り、二人の役者がほぼ1時間に渡り大熱演!
外連味たっぷり、ユーモアたっぷり、そして勇猛な見せ場の「獅子の狂い」で盛り上がる。
これだけのやってくれると拍手も自然と出る。
痺れました。


解説によると『連獅子』は澤瀉屋の家の芸「澤瀉十種」のひとつだそう。
これがホントのお家芸なんですね。
いいもの見た。


これで満足、1500円の元は十分とれたと思ったがまだまだ真打ちがあった。


四、猿翁十種の内『黒塚』
猿之助の祖父にあたる初代市川猿翁が初演したこれもお家芸。
奥州安達ヶ原の鬼女伝説をもとにした演目です。
会場の照明を落として舞台にススキの原が怪しく浮かび上がる。


 老女岩手 実は安達原の鬼女   市川右近
  山伏 大和坊          市川猿三郎
  同  讃岐坊         市川弘太郎
  強力 太郎吾         市川猿弥
  阿闍梨祐慶         市川段治郎


ついさっき『連獅子』を演じた二人も登場、歌舞伎はハードな肉体労働でもあります。
美しい舞台でした。
月光のもと、繰り広げられる怪しげでおどろおどろしい右近の舞い。
息を飲んで見入っていると、すぐ隣から「お・も・だ・か・や」の声。
驚いて、うわあ、と声が出そうになる。
地獄の底から沸き上がってくるような声なのだ。
その大向こうのかけ声は鬼女の舞にふさわしく重く妖しげなのだ。
その後も何度か違う調子で「おも・だかや」とか「おもだかや(早口)」とか。
ヒロが、あれきっとサクラだよ、と言う。
さっきまで居てなかった人だもん。
確かに絶妙なタイミングの名調子だった。
あの演目はかけるタイミングが難しい。


『21世紀歌舞伎組』とあったので新機軸かと予想したけど、
極めてオーソドックスな歌舞伎であるように思えた。(多分)
聞き覚えのある名前は市川右近だけだったけど純粋に十分に芸を楽しめた。


その他の気がついたこと。


新歌舞伎座の名物だという『アイス最中』は絶品。
 和菓子のような包装もいい。


・そのアイス最中を売っている売店で、幕間におばあさんが来て店員さんに言う。
 海老蔵はまだ出ないのか、というようなことをごにょごにょと問い詰めている。
 おそらくちょっと認知症が入ったおばあさんなのだろう。
 おばちゃんの店員さんは、海老蔵さんは京都で出てはりますよ、と優しく答えていた。


猿之助の息子である香川(弥太郎)照之と市川亀治郎って従兄弟なんですってね。
 歌舞伎ど素人の僕はヒロに教えられて知った。
 そういえば似てるわ。


20時に終了。
新歌舞伎座と同じビルにある『鎌倉パスタ』で軽く食べて帰宅。
途中、谷町九丁目で、おっと思う自転車を見つける。
真っ白なフレーム、シンプルなデザインのスチールロードバイク。
近づいて見るとフレームに、tokyobike.com の文字が…。
WEBでは知ってたけど初めて見た。
凄くシンプルなのに凄く目立つ。
どこかヨーロッパ製の自転車のよう。
大阪にも取り扱い店があるのだろうか。