ぷよねこ減量日記 2009/5-2016/1

旧ぷよねこ減量日記です。2016年1月に新旧交代してます。

2010/12/1 拙者親方と申すは…。

今日から師走。
恒例。去年の今日は何してたか?
http://d.hatena.ne.jp/shioshiohida/20091202/1259714430


  2009/12/1
  デフレの師走が始まる。
  2009年も大詰め、最終走者にタスキが渡った。
  年間目標の達成具合のチェック、残り31日の目標を確認する。


  血糖値105、ちょっと高いように思うが基準値以内。
  ニードルで刺した時の血の出具合で10〜15くらいの誤差がある。
  測り直すと90くらいになってたりする。
  80-110なら気にする必要もない。
  血圧は121-64、心拍数64。


  …朝9時過ぎから県立西宮病院で脳のMRI検査。
  受付、検査着に着替え、SF映画のような装置で脳の輪切り写真を撮ってもらう。
  放射線ではない。
  強力な磁力でどうして輪切り写真が写せるのか?


去年の後半は体調不良の時代だった。
今年の師走はどう過ごそうか。
Twitterの減量バトルでリスタート宣言。
まずは身の回りをきちんとして、体調を整える。
2010年をちゃんと畳み、2011年の準備をしたい。


…4日連続でジョギング5キロ。
Podcastで「キラ☆キラ」の町山智宏が新作映画の紹介をする。
2週間前の放送だが…。
ダニー・ボイル監督の新作です。
『トレイン・スポッティング』や『スラムドッグ・ミリオネア』の監督さんです。


     


『127時間』という映画。
http://d.hatena.ne.jp/TomoMachi/20101119
アーロン・ラルストンという若者の自伝『奇跡の6日間』の映画化。
事実に基づいた物語 Based on True Story というやつです。
アーロンは28歳のエンジニア、彼の趣味はフリークライミング
ある時、ユタ州のゲレンデで一人で渓谷に遊んでいた。
そこはほとんど人に知られることのない秘密の場所だった。
巨大な岩に深く細く刻まれたクレバスのような場所を登っていた時、
突然、岩の塊が落下、アーロンの右手首が岩と岩壁に挟まれてしまう。
ピクリとも動かない。
リュックにはボトル1本の水、簡単な非常用食料があるだけ。
周囲10マイルには誰もいない。
携帯電話なし、無線機なし。
さあ、どうする?
たまたま持っていた何かのおまけにもらったツールセットに小型のカッターがあった。
岩を削ってみる。
効果なし。
さあ、どうする?
水がなくなる。
食料も尽きる。
このままでは衰弱死を待つのみ。
最後の手段は手首の切断。
しかし、刃渡り2センチのカッターではどうすることも出来ない。
さあ、どうする?
6日後、つまり『127時間』のちに彼は生還した。
どうしたか?
町山氏は目も耳もふさぎたくなるような方法で、と言う。
そんなことが人間に出来るのだろうか。
実は僕も知らない。
実話に基づいた映画『127時間』は日本で公開予定あり。
見たいような見たくないような。


予告編を見る。
いかにもダニー・ボイル的なカット満載。
   


三浦しをん『仏果を得ず』、半分読んですごく面白くなってきた。

仏果を得ず

仏果を得ず

一度なりとも文楽を見たことが楽しみを倍増させる。
大夫と三味線の関係はこんなだったんだ。
若手の健太夫(たけるだゆう)と変わり者の三味線弾き、兎一郎。
師匠の太夫、笹本銀大夫は70代の人間国宝だ。
健太夫は師匠に変人の三味線弾きとコンビを組めと押しつけられる。
こんな会話がある。


  「せやからおまえはアホや言うねん」
  銀太夫はため息をつき、膝を動かして健に向き直った。
  「ええか、大夫と三味線は夫婦みたいなもんや。夫婦が仲ええ必要あるか?」
  あるんじゃないかと健は思ったが、黙っておいた。
  スピーカーを通して、舞台の音が楽屋に低く流れている。
  ちょうど「すし屋の段」だ。
  「親への義理に契ったとは、情けないお情けに預かりました」と、
  お里がやるせなく泣いている。


小学生のミラちゃんが国立文楽劇場の楽屋に健大夫を訪ねてくる。


  「笹本さんいますか?」
  と女の子ははきはきと言い、
  「ここは笹本さんだらけだ」
  と兎一郎はそっけなく答えた。


小説では笹本となっているが竹本のことでしょうね。
確かに、だらけ、でしょう。
演目を大夫と三味線がどう解釈するか? という興味深い会話もいたるところに出てくる。


  どうしたものか、と健はしばらく様子を見ていたが、
  思い切って自分の考えを言ってみることにした。
  「寺子屋って、オレはあんまり好きじゃないんです」
  「俺もだ」
  兎一郎は真面目な顔で答えた。
  「どこが泣きどころなのか、実はさっぱりわからない」
  「源蔵が寺子屋の生徒を『何れを見ても山家育ち』って言う処なんて、
   俺はマジで腹立ちます。若君の身代わり候補を勝手に物色しておいて、
   なんて言いぐさだ、と」
  「しかし、大夫は語らなければ行けないし、三味線は弾かなければいけない」
  「はい、それで思うんですけど、銀大夫師匠が語ると、源蔵の身勝手さが、あまり身勝手に  
   感じられないんですよ。なんでかなあと考えてわかったのは、源蔵夫婦の心情を、
   うちの師匠がすごく細やかに語るからじゃないかと」
  「ふうん」
  兎一郎の反応ははかばかしくなかった。
  当たり前のことを、と言いたげだ。
  健はあわててつけ加えた。
  「寺子屋の段は、忠義のために苦悩する男に、大夫の神経が行きがちです。
  でもそうすると、どうしても身勝手な人物のようになってしまう。
  源蔵と戸浪、松王丸と千代、それぞれの夫婦が、思いやりと愛情で結ばれている、
  と観客に伝わるように語るのが肝じゃないでしょうか。
  そうすると、『ああ、忠義一本じゃないんだなあ。
  人間として苦悩してるんだなあ』と、登場人物への好感度がアップします」
  「なるほど」
  兎一郎の目の焦点が、ようやく健に合った。
  「つまり、今日の奥(の段)がぎこちなかったのは、松王丸と千代の夫婦愛を
  語り切れていなかったから、と言いたいわけだな」
  「そこまで言ってませんけど…」
  (中略)
  「具体的に、どこが気になった。ちょっと語ってみてくれ」と言った。
  「無理ですよ!床本もないし、舞台でちゃんと語った箏があるわけでもないんですから」
  「暗記してるだろ。いいから、やってみてくれ」
  健はしかたなく「じゃあ」と咳払いした。
  「松王丸が、身代わりで死んだ我が子を思って泣き笑いするところです。
  『利口な奴、立派な奴、健気な』」
  ここで健は一息詰めた。
  兎一郎はすかさず、テンと健の息を迎えにきた。
  語りやすい。
  健は内心驚いた、。
  あとは三味線の音色と一緒になって地ハルに調子を上げ、
  「『やーつうーううやーこーこーのーつーで』」と。たっぷり語る。
  「ふうん」
  兎一郎が、バチを持った右手を止めた。
  今度の「ふうん」には、少し感心の色がこめられているようだった。
  「たしかに今日の舞台では『健気な』から『八つや九つで』に行くところが、
  少し流れていたな」
  「はい。『健気な』で一度大夫が踏ん張らないと、あとに息がつづかないし、
  松王丸の嘆きの深さも出ません」
  「流れるのは俺のタイミングのせいなのか、大夫が突っ走り過ぎなのか」
  兎一郎は物憂げに、バチを右掌で回転させる。


今年8月に見た『寺子屋』、もういちど文楽で聞いてみたくなった。
大夫というのは凄い。
一人で全部やってしまうのだから。


ところでタイトルの『仏果を得ず』ってどういう意味だ?


…今日もニュースデスクという閑職。
「ミヤネ屋」で海老蔵ネタの際、顔見世で演るはずだった『外郎売』の口上の話になる。
アナウンサーや役者の早口言葉の練習に必ず使う教材なのだそう。


 拙者親方と申すは、お立ち会いの中に、御存じのお方もござりましょうが、
 お江戸を立って二十里上方、相州小田原一色町をお過ぎなされて、
 青物町を登りへお出でなさるれば、欄干橋虎屋藤右衛門、
 只今は剃髪いたして、円斉と名乗りまする…。


延々と続く。
南座の顔見世はどんどんとソールドアウトになって25000円の一等席しか残っていない。
外郎売』の代役、片岡愛之助は、宗家の十八番をやらせていただき光栄の至り、で謙虚。
仁左衛門とともに片岡家は株を上げましたね。
そういえば、この秋に出石の「永楽館」で吉野山を舞ったのが愛之助だった。
見損ねた。


外郎売り、You-Tubeでもいろんな人が披露している。
http://www.youtube.com/watch?v=ONvoX36lO3E (女優?アナウンサー?)
http://www.youtube.com/watch?v=g4_Iq-aRhM0  (小学生の丸暗記)
http://www.youtube.com/watch?v=XnMlOIEK4Wc  (こちらはアクションが面白い子)

NHKにほんごであそぼ』でもやってたかも。
元座長のセルジオは知ってるかな?