ぷよねこ減量日記 2009/5-2016/1

旧ぷよねこ減量日記です。2016年1月に新旧交代してます。

2011/1/18 You can't have everything

快晴、澄み切った空気の朝、六甲もくっきり。
晴れた日が続くのに最近さっぱりジョギングしてません。
ものすごく損してるような気分。
損得で考えるようなものではないれど。
もったいない。


今日で一段落です。
甲子園にあるスポーツバーで番組収録。
心配していたアスリート仲間のトークは盛り上りのうちに終了。
とことん悲観的に考えていたので何があっても大成功!って気分になるのです。
いや、マジで楽しいトークでした。
リラックスした雰囲気で、爆笑あり、本音あり、それぞれがキャラ立ちしてた。
30分番組には収まらないくらいの獲れ高でした。
まあ、編集は大変ですが…。
いい素材は手に入ったので一安心。


…収録後一旦帰宅、出直して阪急電車で京都河原町へ行く。
身体はちょっとシンドイけど気分は休息よりご褒美を欲している。
夙川から河原町まで1時間ほど、京都は近い。
神戸三宮までは20分、阪神間はつくづく便利だと思う。
19時半過ぎに河原町到着。
立命館大学で講演があり京都前泊の眼鏡堂氏を待つ間にぶらつく。
木屋町先斗町あたりの路地に良さげな店が並ぶ。
おばんざいの居酒屋、洋食ビストロ、京風おでん…。
「今日は一晩中、中島みゆきかけてます」という貼り紙の店もある。
ちょっと遠慮したい。


20時過ぎ、眼鏡堂氏が祇園へ到着。
以前から行ってみたかった四条川端の『うずら屋』へ行く。
カウンター10席のみの小さな店。
桜宮にある超人気店『うずら屋』の姉妹店です。
高架下の本店も狭いことで知られているがこちらのカウンターはゆったりと居心地良し。
カウンターの最奥どん詰まりの席というのも落ち着く。


小さなグラスビールで乾杯。
滋賀の淡海地鶏の造り盛り合わせ、京都の焼き野菜数種。
白肝が旨い。
初めて食べた鶏の白子(精巣)の刺身。
なにコレ、ヤバ〜イ!と思わずオカマ言葉になっちゃうくらいの旨さ。
2杯目、僕は奥播磨の常温、眼鏡堂はスペインの白。
3杯目からは同じイタリアの赤ワイン。
白金豚のソーセージ、うずらの手羽先、白肝のパテ。
濃厚な味の料理が赤と絶妙に合います。
特に二人と絶賛したのが白肝のパテ。
最後は南アフリカの濃厚赤。
締めは比内地鶏の手羽先にぎりを一貫づつ。
大葉と塩昆布をませ混んだご飯に炭火で炙った小さな手羽先の肉がのっている。
香ばしくて美味至極。
大満足!

ラストオーダーが深夜1時なので夜の歌舞伎終わりでも来られますね。
料理は本店とほぼ同じものがあるようです。
http://blog.livedoor.jp/picarle/archives/cat_50012878.html


…眼鏡堂さんと語り合ったこと。


去年の暮れの日記に「マネしちゃためだよ」というタイトルでこんなことを書いた。
http://d.hatena.ne.jp/shioshiohida/20101229/1293589140


  いろんなことを諦めるたびに肩の荷がおりて気分が楽になる。
  こうして僕は生きてきた。
  よい子のみんなはこんな生き方マネしちゃダメだよ。


でも思うのです。
YOU CAN'T HAVE EVERYTHING
全ては手に入らない。 
あの人のような人生も魅力的だし、別の人の生き方にもあこがれる。
あれもしたい、これもしたい。
でも、YOU CAN'T HAVE EVERYTHINGなのです。
欲望は果てしない。
すべてを手に入れようとすると何も手に入らなくなる。
人は完璧には生きられない。
「今回の人生ではやめておこう」と考えることを覚えよう。


パーフェクトを捨てる。
何かを諦めることで人生の見え方が変わってくるのは確か。
でも、諦めるのも手加減しなければとは思う。
塩梅がむつかしい。


自分は、これが出来るけど、出来ないこともある、と理解すること。
当たり前だけど、そういう分別というか、悟りというか、線引きをするのは難しい。
特に時間が無限にあるかに思える10代や20代ではね。
でも、若くしてそういう判断が出来る人もいる。
能力の高い低いは関係ないと思う。
僕などは今振り返るとまったくのダメ人間だったけど諦めるのはかなり遅かった。
功も名も財もないけれど、それなりに今は楽しい。
いつからかそう思えるようになった。
成功ではないけど失敗ではなかったと思う。
道を間違えたかも? と思うことはしょっちゅうあるけど。
内田樹先生が言う通りだと思う。
「人生はミスマッチである。私たちは学校の選択を間違え、就職先を間違え、
 配偶者の選択を間違う。それでもけっこう幸福に生きることができる」


眼鏡堂氏と最初に会った時、YOU CAN'T HAVE EVERYTHINGという話をした。
その時、眼鏡堂氏は30代だった。
いや、やりたいことは全てやってしまいましょう、と。
今、YOU CAN'T HAVE EVERYTHING(全ては手に入らない)に同意してくれる。
彼も40を越え、ようやく私の境地に達したのだね、ふふふ。


とにかくこの10年で学んだこと。
・すべては手に入らない
・迷ったらGO!
・先のことは誰にもわからない。
・多少の選択ミスがあっても結果は大して変わらない。
 逆に時が経つにつれ逆の結果になることも多々ある。


文楽や歌舞伎を見て思うこと。
基本は厳しい身分社会が背景である。
登場人物はその制度そのものに異を唱えることはなかった。
制度を動かしがたい事実として受け入れる。
その前提ありきで歌舞伎や文楽における悲劇が成立した。
百田尚樹『影法師』も同じ。
主人公が制度に異を唱え始めたらあの悲しい物語は成立しない。
忠義、義理、愛憎、友情…。
だた唯物史観で考えると全く別の構造になる。


二人とも『うずら屋』に大満足。
寒さもゆるんだ京の夜におぼろ月が浮かぶ。
酔い覚ましに祇園新橋を歩く。
辰巳橋あたりは時代を忘れさせる雰囲気がある。
眼鏡堂さんは東北出身の末っ子。
幕末なら薩長維新派の敵役となっていたはず。
鳥羽伏見の戦いで討ち死にしていたかもしれない。
あるいは慶喜について大阪へ逃れたか。


祇園新橋の石畳。