ぷよねこ減量日記 2009/5-2016/1

旧ぷよねこ減量日記です。2016年1月に新旧交代してます。

2011/3/30 自粛の先にあるもの

今朝は自転車でなく久しぶりにジョギング。
ごくごく軽めに夙川公園を20分ほど。
ユキヤナギが満開になっていた。


バラ科、噴雪花(ふんせつか)、"小米桜(こごめさくら)"とも呼ばれる。


ソメイヨシノは開花のカウントダウン。


ジョギングから帰るとキッチンからタマネギを炒める香りがする。
今朝はペンション風の朝食、タマネギはパンプキンスープで使ったのだとか。

  

…3月の月末は2日連続のニュースデスク勤務。
今日もさんざん取材は出動するもキー局の意向により野球は全てボツ。
選手会長もホームラン打ったのになあ。
何が何でも震災復興に絡めたいらしい。
何でもいいから “泣ける話” 集めて来いや、という大号令。
センバツも東北の学校が消えたから1試合のみ30秒しかない。



…夜9時過ぎから開幕特番のスタッフと福島の『一本松』へ行く。
薩摩地鶏の造りと焼き物、すべてが美味です。
話題は昨日のサッカー、プロ野球、そして、やっぱり原発クライシスへと流れていく。


昨日のサッカー中継は海外に生中継された。
配布される資料にはホストプロダクションの解説者の名前がローマ字で表記される。
海外のスタッフは、これはブラックジョークか、と目を疑うのではないか、と
解説者本人が真剣に心配してたらしいという話。


楽天は3.11に明石でオープン戦、あれから以降、一度も仙台に戻っていない。
仙台市民の失望が怒りに変わってきているという話。
開幕を控えた大事な時期、練習や調整が必要なことはわかるが一度は戻るべきだと僕も思う。
街のシンボルなんだから僕らのような一般人とは違うのだ。
邪魔になるとは思えない。
その分、神戸や横浜で募金活動をするのもわかるけど…。
この時期に一日でもいいから被災地と寄り添っておかないと信頼は得られない。


「大工殺すにゃ 刃物はいらぬ 雨の三日も降ればよい」
いっしょに飲んだフリーディレクター FはNHKでバラエティの生番組を担当している。
昨今の事情で現在は放送中止、これがいつまで続くのかわからないらしい。
NHKは単に自粛だけじゃない別の事情があるのだろうけど…。
その間の収入は無い。
同年配の友人U は雑誌のライターを主な仕事としている。
震災以来、東京の編集プロダクションとまともに連絡がとれないらしい。
開店休業中。
我が身にもいつ降りかかってくるかはわからない。
この調子なら来月、3ヶ月後には何らかの影響は必至。
いやすでに4月のゴルフトーナメントが中止になって影響は出ている。
「未組織労働者 殺すにゃ刃物は要らぬ 自粛を3ヶ月もすればよい」
深刻だよなあ。
自粛によって経済活動が止まる。
すると、どういうことになるか、はこれによって明白。
いや、未組織労働者だけの話ではない。


徹底的に自粛反対を主張する佐々木俊尚氏がツイートしていた。


 「(自粛は)何か良いことをしているという気分にさせる安易な方法だ。
  しかし、当人たちは実際にどんな効果をもたらすかはあまり考えていないようだ」
  /NYTimes「日本は自粛という強迫観念にとらわれている」
    sankei.jp.msn.com/world/news/110…


原発の話。
昔読んだ高村薫のサスペンス小説『神の火』を思い出す。

神の火〈上〉 (新潮文庫)

神の火〈上〉 (新潮文庫)

神の火〈下〉 (新潮文庫)

神の火〈下〉 (新潮文庫)

あれは敦賀原発へのテロの話だった。
人間に「火」を与えたのはプロメテウスというギリシャ神。
原発は第二の「プロメテウスの火」と呼ばれる。
人には制御出来ない「神の火」だ。
廃炉にすることさえ困難だなんて。
まさに…。


24時過ぎに帰宅。
佐々木譲さんが激しい調子で連続ツイートをしていた。



  科学と技術についての知識量で原発を擁護してきた連中は、
  こんどは経済学を楯に原発擁護にかかっている。
  しかし、日本ブランドが被ったこの甚大な被害は、東京電力では補償できない。
  旧通産官僚や御用学者の首をいくつ差し出されても、回復できない。



  いま国内で福島が受けているのと同じ処遇を、やがて日本全体が受けることになる。
  その事態はすでに一部、日本の農産物の輸入規制、投資の停止、外国人の避難、退去

  というかたちで現出している。


  オーストラリア人、中国人滞在客で賑わっていた北海道ニセコ・エリアは、
  福島原発事故発生直後の週末から、外国人の姿がほとんど消えた。



  つぎは事故の規模は問題にならない。
  事実か、それとも誤報か虚報か、と問うことも無意味。
  どれほど影響が局地的な事故であろうと、
  それは「日本がまたやった」として受けとめられる。



  一度傾いた評価は、あとは坂を転がるだけだ。二度目に地に墜ち、三度目はない。
  二度目のあとに、原発推進者たちの責任追及はできるかもしれない。
  しかし、その連中をたとえ二万四千年刑務所にぶちこんでおこうと、
  日本社会が受けた被害は絶対に補償されない。絶対に。
 

悲しいストーリーだが僕も氏の見解に同調するものである。


…去年読んだ真山仁『ベイジン』の作者あとがきに書かれた警告が今になって頭をよぎる。
「逆風から追い風へ」と題された文庫版あとがきだった。
2009年の地球温暖化会議で決定された温室効果ガス排出量の制限が原発復権の追い風になっているという話。
作者は、こと原発に関しては政治やコストで語ってはならない、と書いている。
原発をブームにしてはならない。と。

ベイジン〈上〉 (幻冬舎文庫)

ベイジン〈上〉 (幻冬舎文庫)

ベイジン〈下〉 (幻冬舎文庫)

ベイジン〈下〉 (幻冬舎文庫)