ぷよねこ減量日記 2009/5-2016/1

旧ぷよねこ減量日記です。2016年1月に新旧交代してます。

2011/5/28 浪曲錬声会@文楽劇場

雨だけど午後から自転車(通勤用デコレッタ)に乗って阪神西宮駅へ。
先日、当局に収容されたときに駐輪してた場所に性懲りもなく停める。
雨の日に手入れはないはずとタカをくくる。
阪神電車でナンバに出て今日は文楽劇場で『浪曲錬声会』へ行く。
チケット代は友の会料金で1600円。
十分に元はとれるほどに見応え聞き応えあり。


総評:天衣無縫な自由芸能と言われるように曲師によってスタイルは様々で楽しい。
三味線のみもあり、ギターもあり、映画音楽のような効果音あり。
浄瑠璃と比べ大衆的でわかりやすい。テレビや映画の時代劇を見る感覚なのです。
浄瑠璃の台詞が伝統的な古い言葉なのに対し、浪曲は徹底的に大衆向け、
台詞(タンカという)が現代語になっている。いわゆる時代劇の言葉遣いなのです。
歌の部分(フシという)はまさしく演歌、ケレン味たっぷりに歌い上げる。
タンカを決め、こぶし回して歌い上げる浪曲師の「どや顔」を見ながら、観客は拍手喝采。
浪曲には明解なカタルシスがあるのです。


僕が見たのは第2部、同じ浪曲師が演目を変えて登場します。


登壇順にひとことレビューを。


真山誠太郎(まやませいたろう)
今の年齢は分からないがおそらく60代、プロフィールに40代後半で入門したとある。
いきなりファンから「いよぉ、、待ってました!」の声がかかる。
ときに元禄十四年三月十四日、朝から曇り空、春とはいえど肌寒い日であった…。
有名な忠臣蔵の『刀傷松の廊下(にんじょうまつのろうか)』、
時代劇風のオーケストラ伴奏(録音)で演じる。
演歌(歌謡)浪曲と呼ばれる芸風でコブシを回し見事に歌い上げる。
北島三郎、サブちゃんを見ているようでした。
主君、女房、家来、憎たらしい吉良上野介など台詞(タンカ)の演じ分けが絶妙。
終演後、ロビーで客に挨拶してくれる。
私服だと近所のおっちゃんでした。


You-Tubeに細川たかしの動画がアップされていた。
これはフシ(唄)がメインだが雰囲気は分かると思う。
http://www.youtube.com/watch?v=Xpaw-WD8SFg


それにしてもアサノ君、なんで刃傷沙汰に及んでしまったのかなあ。
この浪曲では前段がけっこう細かく描かれていて、
「うーん、くそおおおお、上野介」
周り(妻、従者)が「殿、ここは何とぞご辛抱を」
「そうじゃったそうじゃった、お前達のためにも忍耐の二文字だ」
こんなやりとりが3場以上もある。
なのに吉良の無理難題をつきつけるパワハラに屈してしまうとは愚かなり。
武士はつらいよ、です。


春野ココ(はるのここ)
元漫才師のおばちゃん浪曲師、あのケイコ先生と同門。
ユーモアあふれる「お伽浪曲」で演じたのは『一休さん』だった。
落語でいう枕の部分から独特のしゃべりがかなりサムかったが浪曲もネムかった。
(実際にちょっと眠ってしまった)
休憩時に客のおばちゃんから今イチやったなあと言われていた。
ココさんには悪いが激しく同意。
三味線の沢村さくらさんは一目惚れするほどの美人でした。



京山倖若(きょうやまゆきわか)
初代京山幸枝若(こうしわか)の直弟子。
この人も会社員から浪曲師になった転向組であるらしい。
先日、二代目京山幸枝若を聞いたがスタイルは同じだった。
台詞(タンカ)の部分はまるで上方落語、何度も笑わせてくれる。
『難波戦記』という演目は初めて知った。
講談として有名な物語であるらしい。
長大な物語だがこの日演じられたのは「後藤又兵衛 大坂入城」の段。
登場人物は福岡藩の豪傑 後藤又兵衛と小倉の宿主や城主、家老ら。
ちょっとした落語のようなユーモラスなお話でした。
幸枝節というのはこういう浪曲なのですね。



天光軒満月(てんこうけんまんげつ)
トリはきらびやかな衣装に堂々たる浪曲師の恰幅、満月さんである。
かのチャンバラトリオの頭(かしら)でおなじみの南方英二を彷彿とさせる。
大衆演劇の座長のイメージなのだ。
演じるのは文豪菊池寛の名作『父帰る』、現代劇、昭和のホームドラマだ。
台詞まわしが戦前の松竹映画を見ているよう。
あるいは子供の頃の紙芝居のおっちゃんの語りを聞いているかのよう。
演じ終えてロビーで全員に握手していた。
しばらく立ち話するファンのご老人にも丁寧に応対、お客様は神様です、と満面の笑み。
満月せんせい! 自民党の古参議員のようでもありました。


小ホールはほぼ7割くらいの入りだった。
もちろん僕は若手、五十、六十はまだひよっこです。
補聴器装着率高し。


…大阪日本橋に雨は降り続いている。
日本一(日本橋一丁目)の交差点でラグビー応援僧K住職が待ってくれていた。
ミナミの夜のマイスターK輪氏のナビゲートで難波呑み。

連れて行ってもらった千日前、NGK裏の界隈はどこか熱帯アジアの雰囲気が漂う。
K輪氏曰く、このあたりも屋台風の立ち飲みが増えました、とのこと。
「味園」という巨大なレジャービルにあるキャバレーも廃業してしまったらしい。
周囲を圧するビル、ここに娯楽の殿堂があり隆盛を極めていた時代があった。
さっきまで聞いていた浪曲もかつて日本人の娯楽のメインストリームだったのだ。
千日前というと僕らの世代はアルサロのビル火災を思い出す。
あのビルはその後プランタンデパートになり今はビッグカメラが入っている。


K輪住職お薦めの屋台風の鮨屋で呑む。
いい店ですね、ここ。
生雲丹、いくら、蒸し穴子、平目などは1貫で150円、いか、鮪、下足などなどは2貫で150円。
嬉しいのは一口サイズでつまみに最高、ネタの大きさを自慢する店あるけど興ざめですよね。
K輪マイスターと意見が一致する。
旨い、安い、ネタも悪くない。
久々に美味しい雲丹を食べましたよ。
寿司焼き、なるものを注文。
要するに炙りネタのにぎり盛り合わせ。
これも嬉しい。
瓶ビール2本、熱燗2合×2、お好みの寿司で満腹。
しめて…驚きの4500円!
http://www.tokisushi.jp/
http://blog.livedoor.jp/kurokurodesu/archives/51892836.html


じゃあ、デザートでも。
男のデザートはハードリカーです。
法善寺のバーへでも行きましょう。
道すがらミナミの立ち飲みの老舗『丑寅(うしとら)』を覗く。
なるほどいい酒場の持つ気配濃厚、実力派ストロングスタイルの店、
いつか行こうと場所をしっかりとチェックする。
http://r.tabelog.com/osaka/A2702/A270202/27017138/
http://www.google.co.jp/search?q=%B1%AF%C6%D2&hl=ja&ie=EUC-JP&btnG=%B8%A1%BA%F7&q=site%3Ablog.livedoor.jp%2Fkurokurodesu%2F


ミナミの店は普通に芸人さんが呑んでいる。
住職が巨人師匠に大衆食堂で会った話はmixiで読ませてもらいました。
今日も法善寺近くの小さなバーにざこば師匠の姿がありました。
お目当ての『バー花本』、僕らが入る直前に数人のグループが入って行く。
賑やかなのは苦手です。
それでは、とK輪氏行きつけの英国風パブへ。
黒ブッシュのロックを一杯、住職はハーフロックなる飲み方で男のデザート。
美味浪曲、美味寿司、美味愛蘭土酒精、満足のうちに20時過ぎに締め。
K輪氏は近鉄、僕は阪神で帰途につくのでありました。