2011/8/15 大逆転ふたたび

日本が無条件降伏した年から今年で66年目になる。
昭和20年生まれの人も66歳になるのだ。
朧気ながらも戦争を記憶している人は70歳以上の人だということ。
僕らの世代(50代)だと60以上は戦争経験者という感覚がある。
そろそろ改めなければならない。
甲子園でも正午に黙祷があった。
球児たちにとっては戦争犠牲者を追悼するというイメージより3.11だろうと思う。
今年はちゃんと戦争を考えることが出来ない。
選手宣誓をした若者の美しいまなじりに少しだけあの時代を連想するのみだ。


…あ、そうそう、昨日の八幡商業の逆転劇。
ヒロがばあばあの見舞いに阪神電車で梅田へ行った。
甲子園駅からちょうど試合が終わった八幡商業を応援する人らが乗り込んできた。
帝京は勝ったと思ったやろな、と言っては怪気炎。
ヒロ曰く、おじいさんやおばあさんが乗ってきたので席を譲らなアカンかなと思ったけど、
みんな大騒ぎで興奮してて座る気配もなく、しまいには踊り出した、と言う。
たぶん、かなり誇張があるのだと思う。


東洋大姫路と新湊の試合が8時プレーボール。
でも、起きたのが8時ちょうどだった。
出鼻をくじかれた! 
って自業自得じゃないか。


東洋大姫路は“新ハンカチ王子”原樹里投手にスポットが当てられる。
ほとんどの人は投げ合った相手エース井上真衣人(加古川北)のことを知らない。
準決勝で強豪と大接戦を演じ、9回を投げきった井上の方が圧倒的にヒロイックだったのに…。
でも、まあ、そうだよね。
勝ったのは原投手だし、甲子園で井上投手のことを讃えることに意味はない。


2-1、リードする東洋大姫路は8回裏、1アウト満塁とする。
原樹里の打球はセンターへ打ち返す。
新湊のセンター林は目測を誤って後逸、東洋大姫路が2点を追加した。
実質、林クンのエラーだった。
彼の気持ちが、彼の実際のプレイより、先へと走ってしまった。
打球が来る。
タッチアップ、何としてもホームで刺すぞ。
助走をつけて、と。
あれ?
打球が伸びる。
うわあ!
やってもうたあああああ。


  送球は捕球より先には出来ない。


彼は順番を間違えた。
テレビのスローを見ながらそんなことを考えていたら、
そういうことって人生にもあるよなと思った。


  宝くじは買わないと当たらない。


あるいは、


  離婚は結婚より先には出来ない。


中継を見ながら人生と野球の共通点についてあるあるツイートした。


  盗塁失敗したら、次のバッターが2塁打。


  俊足の外野手が、凡フライに右往左往して落球。


  勝負球でツーストライク目をとってしまう。


  ボールは低めに集めろというが、低めが大好物のバッターもいる。


東洋大姫路、今大会初のベスト8進出となる。
富山の新湊、ラジオで聞いているだけでも熱いアルプスだった。
思わず、新湊アルプスに、いいね! を送る。
いいなあ富山湾、烏賊が旨いだろうな。



…午後遅く甲子園球場へ行く。
なんたって甲子園まで2マイルだもの。
夕方から日陰になるライトスタンドで浜風に当たりながら夕涼みだ。
丼さんお薦めのタコスで生ビールを飲もう。
と、お気楽な気分で見に行った試合、とんでもない展開になりました。


いつものように自転車を右翼側駐輪場に停めて歩き出すと、
見たことのある顔がぴょこたんぴょうこたんとライトスタンドへ急いでいる。
おお、E野村くんじゃないか。
10年前に身体障害者野球のドキュメンタリー番組で取材した男だ。
声をかけると、仕事帰りに寄ったのだと言う。
彼は西宮の兵庫県事務所に勤めているのだ。
いっしょに観戦することにする。


第4試合 智弁学園(奈良)vs 横浜(神奈川)
結果は知っての通り、9回2アウトからの智弁の大逆転劇、生で目撃しましたよ。
普段は一人で観戦するのが好きなのだけどこの日ばかりはE野村くんと一緒に見て良かった。
智弁がヒットを打つたびに、よおおおおおおっし!と思わず大きな声を出してしまった。
同点に追いついてはE野村とがっちり握手、逆転してはハイタッチ。
彼は左半身に麻痺があるのに次々と素早いアクションを求めてしまいました。ゴメンね。
でも満足度は200%、あの場所にいられて幸せでした。


奇跡のような展開に揺れる智弁アルプス、Cの人文字。
ライトスタンドのアルプス寄りだったので応援団と一体になれました。


このサングラス兄ちゃんはずっと智弁アルプスといっしょに声を出していた。
逆転劇に我を忘れて狂喜乱舞、周囲は大爆笑、楽しませてもらいました。
長かった9回の攻撃、横浜の乙坂主将の後ろ姿が切ない。
こういう時、なすすべ無しの外野手は辛いだろう。


かっとばせー、ヨコハマ!
智弁アルプスから突然聞こえてきた声に耳を疑った。
もしや、と思ってスタメンボードを見たら、智弁学園7番ファースト 横濱クン。



逆転しただけでなく大量8点のビッグイニング
ケンカに喩えれば上に乗っかられてやられてた奴がボディブローをたたきこんで立ち上がり、
逆にマウントポジションでボコボコにして、ついでにトドメを刺してしまった、という感じ。
あれだけやられたら、さすがに9回裏は淡泊、ファイティングスピリットも奪われていた。


ヒーローたちの挨拶にまたまたアルプス震度5強



この試合、内野の守備体系について考えさせられた。
ランナーが3塁がいかにヒットゾーンを広げるか、を再認識。
定位置なら凡ゴロのはずが、劇的な同点タイムリーになってしまった。
何を最悪の事態と考えるか?
そして、悪いことが起こってしまった後の対応、
パニックを起こさないためのリスクマネージメントの大切さ。
野球は深い。


でも、不思議だなあ。
とりててて智弁学園を応援するために甲子園に来たんじゃないのに興奮が抑えきれない。
高校野球の不思議な魅力。


なんて大層なことを思いつつ食べてた甲子園のタコス。
ルマンドッグ、ロティロールとともに丼さんの推奨フードです。
生ビール一杯にちょうどいい分量。
重からず軽すぎず、いいね! でした。



…夜、『熱闘甲子園』を見たあと、伊集院光のラジオを聞く。
Twitterでもつぶやいたけど『熱闘』を見たあとの後ろめたさについて語っていた。
伊集院曰く、
「もの凄く真剣に見た試合、もう一度泣こうと「熱闘甲子園」を見たら
 自分の応援した方と逆のチーム目線だったときの空振り感、
 しかも、そのエピソードが泣けるいい話だった時の罪悪感ったらない。」
伊集院は能代商業(秋田)を例に出す。
「子供の時に相次いで両親を亡くした能代商業の選手が、
 おじいちゃんとおばあちゃんに育てられて、すごく真っ直ぐないい子に育って、
 能代がその試合に勝ったらおばあちゃんが甲子園に来るってエピソード。
 自分が相手チームを応援してたってことは、結果的におばあちゃんと孫の夢を
 ぶっ潰すことだったんだって気がついたときの自己嫌悪。」


熱闘甲子園』…罪な番組です。