Aさん(69)は日本海に面した小さな港町に暮らしている。
21歳で失明し、29歳のとき女の子を産んだ。
母となった彼女は、按摩(マッサージ師)として生計を立て、一人で娘を育てた。
42歳の時、目の見えない人は運動不足になるから、とマラソンを薦められた。
初めて走った3キロレース、若い消防隊員の伴走者に引っ張られ、優勝してしまう。
表彰台、優勝の楯、拍手、世間から誉められたのは初めて、誇らしかった、とAさんは言う。
以来、当時中学生だった娘に自転車で伴走してもらい、駅までの3キロを毎日走り始める。
そして、フルマラソン200回以上、100キロのウルトラマラソンも9度完走する。
ほとんどのレースを娘が伴走した。
走り始める前は80キロを越えていた体重も50キロ台になっていた。
問わず語りに、ロケで彼女の住む町を訪れた高倉健の話をしてくれた。
1970年代、Aさんが32歳のころのことだ。
町の老舗旅館に泊まっていた健さんのマッサージに呼ばれた。
「ねえさん、上手いね。 ひとりで娘さん育ててるんだって?」
気に入られ1週間、毎晩旅館に通った。
明日でこの町を発つという最後の夜、入念にマッサージをした。
終えたら深夜0時を越えていた。
いつものように自宅まで送ってもらおうと宿の女将さんを呼んだ。
が、何度呼んでも返事がない。
健さんもいっしょになって女将さんを呼んでくれるが返事がない。
探そう、と健さんが手をとって廊下を歩き出す。
古い大きな旅館の別館、本館につながる長い通路を健さんと二人っきりで歩いた。
奇跡のような時間だった。
何度も繰り返し話したであろう健さんの思い出を話すAさんは十代の乙女のようだった。
(結局、女将さんは居眠りしてたそうな)
その町でロケされたのは『無宿(やどなし)』という映画。
1974年公開、キャストは高倉健と勝新太郎、梶芽衣子。
ロベルト・アンリコの「冒険者たち」をベースにした映画であるらしい。
アラン・ドロンが高倉健、リノ・バンチェラが勝新太郎、ジョアンナ・シムカスが梶芽衣子か。
DVDで出ている。見てみたい。
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…朝6時台の始発で撮影地へ向かう。
7時前に駅に到着したらぽつぽつと降り始める。
約束の場所で取材対象者と合流するも、海は大荒れ、横殴りの雨が吹きつける。
台風15号の影響だろうか、昨日までの予報には晴れマークだった。
無理だろうな、と思いつつ何カットか撮影する。
悲壮感漂う映像になってしまう。
ご自宅へ戻り、少し話を聞く。
出直しを決意す。
びしょ濡れになったのは久しぶり。
涼しいので気持ちは悪くないのだが。
帰るにも1時間半ほど特急電車がない。
町の温泉施設があるというので時間をつぶす。
高台にあり荒れた日本海が見渡せる温泉でほっこりする。
また、駅までの道で濡れてしまうのだが…。
宮津、福知山を経由して帰宅す。
阪神地方は朝から晴れていたようだ。
日本海側も昨日までの天気予報では昼まで保つはずだったんだが…。
この市民ランナー取材、初戦敗退。
負けないぞ!
…今日9.19は全国で「さようなら原発5万人集会」が開催された。
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2011091901000372.html
東京の明治公園では主催者参加で6万人が集まった。
TwitterやUstreamでも現場から次々にライブリポートが入る。
ありがちだけどボルテージ上がり過ぎの人もいる。
10代や20代の人にとってこの規模の集会は初めてなんじゃないだろうか。
いや、僕ら世代(50代)も知る限り、無い。
原発停止、福島のこどもを避難させて欲しい、との主張は当然だと思う。
この集会のメッセージを僕も強く支持したい。
http://mainichi.jp/select/wadai/graph/20110919/
空撮を見て1989年、東欧諸国の首都広場に集まった民主化デモの映像を思い出した。
プラハのヴァーツラフ広場の写真を見ているよう。
http://blogs.yahoo.co.jp/swaochan/22303539.html
…ヒロとばあばあが歌舞伎を見てきた。
右近(猿之助)の孫悟空にワクワク、おもだかやあ!
翫雀の浪花人情劇に泣き笑い、なりこまやあ!
そして、海老蔵の弁慶、にらみと六法踏みに鳥肌、なりたやあ!
花道がよく見える席も良かったそうな。
ええもん見せてみろうた、声がええ、姿がええ、と大喜びだったとか。
成田屋の睨みで病魔よ去れ!
ヒロは澤瀉屋の『華果西遊記』が気に入った様子。
笑也、春猿、笑三郎と澤瀉屋の女形はきれいやわ、とのこと。
確かに笑也、春猿の美貌は玉三郎に匹敵すると僕も思う。
この人、本当はおっさんだよ、という意識を消して女として安心して見られる。