ぷよねこ減量日記 2009/5-2016/1

旧ぷよねこ減量日記です。2016年1月に新旧交代してます。

2012/1/7 ななくさ

今年に入って真面目にストレッチを続けている。
場所はジョッグのフィニッシュ地点、回生病院前、海沿いのプロムナード。
息を切らしたまま仰向けに寝転ぶ。
そのまま空を見上げる。
青空を白い雲がけっこうな速さで動いている。


   走っているときに頭に浮かぶ考えは、空の雲に似ている。
   いろんな形の、いろんな大きさの雲。
   それらはやってきては去ってゆく。
   でも、空はあくまで空のままだ。
   雲はただの客人にすぎない。
      (サッポロビールCM『走ることについて語ること』より)
   

空という広大なキャンバスに走る一瞬の絵筆。
雲はただの客人にすぎない。
月日は百代の過客にしてゆきかう年もまた旅人なり。
僕らも長大な歴史(歳月)においては一泊か二泊して去ってゆく旅人に過ぎない。


…今日は正月七日、七草がゆを食べた。
せりなずな ごぎょうはこべらほとけのざ すずなすずしろ
薄い塩味、鏡餅を割ったものが入っていて腹にたまる。

去年     http://d.hatena.ne.jp/shioshiohida/20110108/1294447351
一昨年    http://d.hatena.ne.jp/shioshiohida/20100108/1262913134
変わらないことの幸福。


浪曲寄席@一心寺南会所
ことし初の浪曲寄席です。
ヒロと行く予定だったが訳あって行けなくなりセルジオを誘う。


料金は2000円、受付でナカタのじいちゃんが100円キャッシュバックしてくれる。
先月も聞いた台詞「電話するんもタダやないからね」、ありがとうございます。
今日は満席、僕らは座布団を借りて最後列で見る。


一番手 真山誠太郎の演目は源平の悲恋物語
平家討伐を命じられた源氏の家臣と平家の娘の恋を真山流で語る。
真山流は歌謡浪曲というスタイル。
三味線ではなくオーケストラの録音、映画の時代劇である。
最後列なので隣がミキサー卓、CDで効果音を出すところが見えて面白い。
二番手は春野美恵子、演目は忠臣蔵外伝(なのかな?)の『高田馬場』、
小柄なおばちゃん浪曲師が安兵衛の立ち回りを小気味よく語る。
三番手は天光軒満月、演目は『昭和立志伝 〜須藤源吉〜』、
満月さんは3度目、昭和立志伝は2回目です。
腹の底から出す満月節、天井にヒビが入るのではないかと思うほどの迫力でした。
トリはご存知 京山幸枝若、演目は『寛永三馬術 間垣と度々平』
丸亀城下を舞台に主人とおかしな家臣のドタバタ劇。
40分以上の大ネタ、大熱演の舞台でした。


酒を呑む場面がある。
大好きな酒を断っていた度々平が主人に酒を勧められて呑む。
湯飲みについだ冷や酒を飲み干す。
幸枝若がたっぷりと時間をかけて演じる。
2杯飲む。
のどがゴクンと鳴る。




…というわけで浪曲のあとは阿倍野明治屋』へ行きました。
ご存知『明治屋』は全国数多ある居酒屋の中の名門中の名門であります。
店構えはまったく変わらないまま、つまり昔の店が再開発ビルにそのまま移築されたと聞いていた。
新しいショッピングモールの中、『明治屋』はあった。
常連さんのだろうか、店の前に置いてある自転車も昔のままだ。
このモールには他に、正宗屋、赤垣屋なども並びテーマパークのようだ。


のれんをめくって中を覗くと幸いにもカウンターが空いていた。
使い込まれた木のカウンターや内装も全く変わっていない。
熱燗をたのむと明治屋と書かれた薄いガラスのとっくりで出てくる。
これがいい。
酒は純米、燗ならなお良し。
正一合、うまい燗酒だ。
年配の女たちがきびきびと働いている。
七草がゆしか食べていないので腹が減っていた。
寒ブリの造り、いかの糸づくり、湯豆腐、野菜の寄せ揚げ、名物のしゅうまい。
セルジオは熱燗の2本目、僕は愛媛は八幡浜の産『川亀』のにごりをもらう。
明治屋』、全国から酒飲みが訪れるのもうなずける実力、堪能しました。
     


太田和彦の『居酒屋味酒覧』(第二版)の紹介文が素晴らしい。


  再開発地区に孤高の雰囲気をたたえ木造二階の明治屋が残る。
  瓦屋根に載る大扁額、「酒 明治屋」の吊り看板、紺の大暖簾、
  丸い電灯が古い居酒屋の風格をたたえる。
  ひんやりした三和土、カウンターを壁に付く卓席、時報を告げる大時計、
  提灯の上がる神棚、桜正宗の古い鏡などの生み出す空気の静謐感がすばらしい。
  客が静かなのではなく、しゃべる必要のない充実した満足感がそうさせるのだ。
  ここは居酒屋の聖地である。


ショッピングモールに移転したが太田氏の描写した店の気配は変わらない。
毎回来るたびに独特の“静謐感”を感じる稀有な店だ。
移転してモダンな場所にすっくと立つ姿はさらに孤高感を増した。
    

…帰宅後、iTune Storeでレンタルした映画『阪急電車』を見た。

駄作ではないのだが原作を越えることは出来てない。
制作期間が短かったのだろうか、映像がテレビドラマっぽい。
登場人物が類型化し過ぎてて深みがない。
宮本信子谷村美月、意外に戸田恵梨香が良かった。
彼女は神戸出身らしい。
芦田愛菜ちゃんがしっかりした関西弁を話すのに驚く。
wikiペディアを見ると彼女は西宮生まれだった。
なんでも西宮神社の境内で遊んでたとか。
めっちゃ近所やん。