ぷよねこ減量日記 2009/5-2016/1

旧ぷよねこ減量日記です。2016年1月に新旧交代してます。

2012/4/11 花散らす雨

春は雨が多いが、今年は降る周期が短いような気がする。
きょうは花散らしの雨。
咲いたばかりの花は雨でも風でも簡単には散らない。
今月3日の強風と豪雨にもつぼみやまだ咲いたばかりの若い花はほとんど散らなかった。
でも、満開に近くなるとやさしい雨でもたやすく散る。
もう十分生きた、というように潔く舞い落ちる。
人間はこうはいかない。


雨だからJRさくら夙川まで歩く。
駅までの道は桜の回廊、ここに住んでいてよかったと思う季節だ。
夙川公園の桜は阪急夙川駅より北が人気スポットだが阪神より南のここは穴場だ。
特に雨の日は人が少ないので贅沢している気分。
バーベキューも、弁当も、お酒も要らない。


雨の花見散歩は透明なビニール傘に限る。


京都の桜守の老人が話しているのをテレビで見た。
「桜は朝早く見るのがいい。朝露に濡れて一番きれいだから」
雨に濡れた桜も同じかもしれない。
透明感のある花のアップや、川面を漂う花筏や、地面に敷き詰められた落花を撮るのは楽しい。




…今日はニュースデスク。
楽天主催の甲子園は天候不良とグランドコンディション不良で中止。
飲む予定ではなかったのだがニュース斑の会議に出ていたら気分が悪くなり無性に飲みたくなる。
一種のプチやけ酒だ。
A部氏改め老師、と老師の同居人である酒豪Nさんと天満『にこ』へ行く。
自分の中ではやけ酒だったのにお酒とつまみの美味しさにトゲトゲした心も丸くなる。
おまけに『にこ』の料理は旨くて安い。
グリーンアスパラの煮びたし、牛肉と糸こんのすき焼き風煮、あさりとじゃがいもの酒蒸し、鰆の塩麹漬け焼、だし巻き、
三種のチーズの大人ピザ、アンチョビーのポテトフライ、牛すじとこんにゃくの赤味噌煮、フィッシュカツのホットサンド。
一皿の量が少ないので3人いたら多種多彩のつまみが少しずつ食べられる。
でも、まさかボトルを空けるとは思わなかった。



アイルランドあたりを思わせる幻想的な海の色。
去年の5月にレンタカー&自転車で京都の美山から若狭へ行った時に撮影した。

目をこらすと湾の向こうの山にいくつかの鉄塔が見える。
大飯原発へからの送電線だ。
政府と電力会社はどうしても原発を再稼働させたいようだ。
再稼働反対。



━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
《BACK TO 2011》
2011/4/11 女殺油地獄国立文楽劇場  http://d.hatena.ne.jp/shioshiohida/20110412/1302535204
文楽劇場へヒロと出かけている。人間国宝が操る人形が被災地への募金活動をしていた。


起き抜けにトイレで新聞30分。
津波で九死に一生を得た人の体験談に心拍数が上がる。
屋根にしがみついて漂流、流れてくる漁船に飛び乗って生き延びた人が言う。
「復興だ、がんばれ東北、と言われてもついていけない」
4日前の気仙沼がフラッシュバックする。
花を手向ける人、 広大な瓦礫の街にぽつんと一人。
がんばれ という言葉の無力さ、無慈悲さ、無神経さ。
言葉では癒せない傷は時間しか埋められない。


国立文楽劇場の前に桜が一本、その下でセルジオ君が待っていた。
セルジオ君は明日から奥のほそ道へ旅立つのだ。
使い方を説明してビデオカメラを貸す。
正直言おう。
不慣れな撮影なんてどうでもいい。
セルジオ君は書くことが得意なのだから書けばいいと思う。
佐々木さんたちは話したいことがあるだろう。
酒を飲みながらいっぱい話を聞いてきておくれ。


さて、人生6度目の文楽観賞である。
(研修生修了発表会含む)
演目は『碁太平記白石噺』『女殺油地獄』です。


席は9列目25、26番、床に近く舞台も遠からず。
トイレに行ってたヒロが、お人形さんが募金してるよ、と言う。
ヒロは、嬉しくて1000円募金しちゃった、とのこと。
ロビーへ行くと、“部長”勘十郎、咲大夫さんの相棒 三味線の燕三らがズラリ。

娘人形を使うのは何と人間国宝の吉田“取締役社長”蓑助ではないか。
募金を呼びかける人形の健気さに心を打たれ僕も一枚募金。
勘十郎部長に、ありがとうございます! と言われ感激。
娘人形が頭を下げてくれるも使う蓑助社長は舞台と同じくいつもの無表情。
人形遣いは本番モードで募金のときも自らの存在を消す。
そのことにも感動してしまう。
人間国宝” 吉田蓑助、脳溢血から復活された闘病記を読んだばかり。
花舞台へ戻るための孤高のリハビリ、尊敬しております。


話は前後するが、この募金をしてた娘人形は『碁太平記白石噺』のヒロインおのぶ。
募金の直後、蓑助師匠がこの おのぶ を使って舞台に登場した。
おのぶ は奥州白石の出身、吉原に売られた姉に会いに上京した12歳の娘だ。
被災地 宮城の出身だったんだ。
『油地獄』の悪のヒーロー、借金まみれの与兵衛には募金は出来ない。