週末は春の嵐だ!
新聞やテレビやラジオやネットまでが脅かすので終日こもることにした。
やるべきことはあるけど明日にしよう。
家でも出来るけどしないことにしよう。
今日は引きこもるのだ。
列島上空はこんな状況になっている。
妖怪“二つ玉”が日本に覆いかぶさっている。
ムンクの叫びみたいだ。
6時間後の予想天気図を見てもほとんど動いていない。
妖怪は明日まで居座るようだ。
970ヘクトパスカルって台風みたいだ。
雨が降る。
このあたりは嵐という感じではない。
普通に雨、ときおり止む。
…終日こもる。
ときどき読書、ときどき昼寝、ときどきビーチボールでバレーをする。
団鬼六『愛人犬アリス』を1時間半ほどで読了。
団鬼六先生が亡くなる一週間ほど前に書いた絶筆原稿は、官能小説ではなく、
愛犬アリス(ラブラドール・レトリバー11歳)との別れの予感、切なる想い。
団鬼六、2011年5月6日永眠。享年79。
- 作者: 団 鬼六
- 出版社/メーカー: ブックマン社
- 発売日: 2011/07/22
- メディア: 単行本
- 購入: 1人 クリック: 14回
- この商品を含むブログ (3件) を見る
その絶筆原稿が写真入りで載っていた。
私は今、病室にいる。検診にくる看護師を捉まえてはアリスの話をするのだ。
家に帰ったら...と私は朦朧とした意識をつなぎ合わせながら思いを馳せる。
また夕暮れ時にアリスと共に散歩に行こう。線路沿いを老犬と老人がヨタヨタと寄り添いながら歩く。
子どもたちは急ぎ早に家路に向かう時刻だ。
バイクがクラクションを鳴らしながら私たちの横を邪魔そうに通り抜ける。
きっとアリスは私を気遣って振り向くだろう。
行く先は決めていない。 ------絶筆原稿より
レイモンド・カーヴァーの「少なくとも(At least)」という詩を思い出した。
もう一度早起きがしたい。夜が明ける前に。
鳥も起きる前に。
冷たい水で顔を新手、机に向かう。
(中略)
そして、コーヒーを持っていつもの場所へ行き、待つとしよう。
ただ待って、何が起こるかを見ていたい。
「少なくとも」 訳 黒田絵美子
カーヴァーの詩の世界は静謐な諦念に満ちているが鬼六先生のこの絶筆は哀切とユーモアに溢れている。
前にも書いて(何度も書いているが)この作家のエッセイは半端無く面白い。いやホント。
先生の人生そのものが事実は小説より奇なりを地でいってるからで真似は出来ない。
加えて教養豊かで、何よりもエンターテインメントの技術に長けている。
どれを読んでもグイグイと引き込まれる。
死ぬ間際に書いたこの『愛人犬アリス』も例外ではない。
うらやましいなあ、と思う。
鬼六先生は居酒屋へ吞みに行くときもアリス同伴なのだ。
本妻(鬼六夫人)とアリスのやりとりも思わずニヤリとさせられる。
奥さんも面白い人なのだ。
先生とアリス、どちらが先にあの世へ行くのだろうとドキドキしながら読んだ。
先に逝かれたら残された方はたまらないどろうなと思わせるのだ。
アリスは、大好きな先生を天国へ見送った
お別れのときを写真と長女・由起子さんによるエッセイで綴った最終章は秀逸、ほろりしみじみ。
アリスの表情が胸に迫ります。
人生の最後にアリスと出会えて鬼六先生は幸せでしたね、としみじみ思う本でした。
図書館で借りた本だけど買おうかなと思うくらい。
ブックマン社という出版社からの紹介文です。
あなたが人生の最後に同衾したい人は、誰ですか?
この質問に、世の老年世代は、「長年連れ添った犬や猫」と
答えるかもしれません。
セックスレス、夫婦別室が当たり前に
なった熟年夫婦にとって、枯れゆく己の肉体に寄り添って
ほしいのは、従順で優しい目をしたふわふわの毛の持ち主。
------数多の女性を抱いてきたであろう、最後の無頼派作家、
あの、団鬼六でさえ、そうでした。
鬼六先生がこの本の中で唯一怒りをこめて書いている話がある。
犬を飼うには覚悟が必要である。
昨今は飼いきれなくなって野放しにされ、最終的に殺処分される犬猫が毎日1000頭以上にもなると聞く。
1000頭以上とは年間にして50万頭。
東京大空襲は死者八万人強。広島の原爆は死者、行方不明者十二万人強、長崎の原爆は死者、行方不明者七万人強である。
この現代において犬猫たちは東京大空襲を年間に6回、広島原爆で換算すれば4回、長崎なら7回体験するのと同じような殺処分を受けているのだ。
それも敵は人間社会。これで動物は友達といえるのか。悲しくなってくる現状だ。
誰なんだ? と思う。
僕の知ってる限り知り合いが犬猫を捨てたという話は聞かない。
(したとしても他人に話さないのかもしれないが)
でも、一日に1000 頭という数字には誰かが捨てたか、捨てた犬猫が産んで増えた野良犬野良猫なのだ。
飼う条件が満たせない人はどうか僕らのようにぬいぐるみで我慢して欲しい。
捨てた人は、イヌはともだちだ、なんて口が裂けても言って欲しくない。
…白馬のペンションで教えてもらったレシピで作った林檎チップス。
溶かしバター塗って、110℃ のオーブンで80分焼く。
深夜0時、こんな夜更けに食べてます。
甘酸っぱくておいしい。
軽いのでいくらでも入る。
二人で1個は一瞬で終わります。
たかが林檎1個だけどバターとグラニュー糖入ってるから食べ過ぎはアウト。
でも、ペンションの奥さんが言ってたように食べ出したら止まらない。
「だから、あんまり作らないようにしてる」と言ってたっけ。