ぷよねこ減量日記 2009/5-2016/1

旧ぷよねこ減量日記です。2016年1月に新旧交代してます。

2015/3/10 幕が上がる

仕事のスキ間に「幕が上がる」という映画を観た。
ももクロ主演の映画だったので予告編の上映が始まってから入った。
(あとから考えたら要らない自意識でした)
観たいと思ったのはいくつかの理由があった。
原作の平田オリザ、脚本の喜安浩平、ブログ「一日の王」で知った黒木華だ。
http://blog.goo.ne.jp/taku6100/e/58c0efa42d448c10a3c04c7c5d29ba70
ももいろクローバーZのメンバーは誰一人知らなかったけど、チャーミングな青春映画でした。


   


晴れて風が強い。
海沿いの周回コースを5キロ走る。
足早に空を移動する雲で空気の不安定さがわかる。
   


いつもは波ひとつ無い入江が波立つ。
見慣れた風景がざわつく。
  


強風に背中を押されカヤックは進む。
風花が舞う。
  



明日、ヒロが大腸の内視鏡検査をするので朝食はおかゆ。
腸内の便を全部出してしまわなければいけないのです。
僕は2009年から2010年にかけて3回経験済み。
とにかく検査当日に大量の下剤(腸内洗浄剤)を飲まなければならない。
明日は家にいて検査につきあおう。


昼からナレーション原稿の手直し。
1時間半ほどかかり送り終えたのが3時半。
ナレーション録りは夜なので少し時間がある。
映画を見よう。
候補は2作。
ひとつは新垣結衣主演の「くちびるに歌を」。
五島列島を舞台にした映画だ。
15年前に上五島へ取材に行った。
海と島の風景が素晴らしかった。
でも、アンジェラ・アキの歌がらみの映画と知ってためらう。
もうひとつは「幕が上がる」。
ももクロ主演、平田オリザの原作、脚本が「桐島…」の喜安浩平
ブログ「一日の王」で黒木華が出ていることを知る。
http://blog.goo.ne.jp/taku6100/e/58c0efa42d448c10a3c04c7c5d29ba70

以前、映画館で予告編を見たがそれほどそそられる映画じゃなかったが…。



『幕が上がる』@TOHOシネマ西宮
まだ一本分だけ残っていたポイントで観賞。

         


平田オリザは僕らと同世代だ。(少し下かな)
ハーフのような名前と高校生の時に自転車で世界一周した旅行記がやたら長いタイトルだったことを記憶している。
ことしの年頭、内田樹先生のブログに彼の名前が登場した。


   平田オリザさんから大晦日に届いたメールにこう書いてあった。
   「私は大学の卒業生たちには、『日本は滅びつつあるが、今回の滅びに関しては、できる限り他国に迷惑をかけずに滅んで欲しい』と毎年伝えています。
   来年一年が、少しでも豊かな後退戦になるように祈るばかりです。」
   これから私たちが長期にわたる後退戦を戦うことになるという見通しを私は平田さんはじめ多くの友人たちと共有している。
   私たちの国はいま「滅びる」方向に向かっている。


                         (「内田樹の研究室」より)

僕も平田オリザの見方に共感する。
「幕が上がる」は彼が50歳になって書いた小説デビュー作らしい。
滅びつつある時代に生きる若い世代を平田オリザはどう描いているのだろう。
         



で、感想です。
舐めてたけどスイマセンでした。
素敵な映画でした。
最初は、なんだこの学芸会芝居は? って思った。
物語が進むにつれ、あれ?
いいじゃん、これ、って思うようになる。
明らかに彼女たちは成長し進化してる。
スクリーンを見ててそれがわかる。
これってドキュメンタリーなのか?
(もちろんフィクション、台本ありきの劇映画です)
気がつけば…スクリーンに魅入ってた。
   


いわゆる順撮りだったらしい。
この映画の監督と対談した大林宣彦監督がこう話す。


    素人の娘にいくら演技指導したって学芸会にしかならないでしょ。
    だけど、彼女たちは紛うことなき青春の真っ只中にいるんだから、
    そのドキュメンタリーを撮れば一番輝くんです。
    僕は、「虚構で仕組んでドキュメンタリーで撮る」ということを一番大切にしているんだけど、
    特に少女映画は演じる彼女たちの成長がそのまま役柄の成長と重なるのだから、そのためにも順撮りで撮るべきなの。


納得です。
小林聡美富田靖子原田知世を撮った時もそうだったんですね。

   


芸能人オーラのない生成な感じのももクロさんたちもいいけど何よりも黒木華が良かった。
新任の美術教師で、伝説の小劇場の女王、という役柄。
いつもの地味で古風な庶民キャラではない。
男前の黒木華は初めて見た。
20歳若ければつき合ってほしい、なんて思うくらい惚れました。
彼女ってこんな役もありなのか…発見だった。

  



演劇って改めていい素材だなと思った。
高校演劇のコンクールを一度見てたいな。
何より原作や脚本にアイドル映画にありがちな嘘っぽいとこや空々しいとこがない。
女子高生映画というと最近上映されてるのは恋愛ものばかり。
この映画には恋愛要素が皆無でした。
それも清々しい印象を残す。
ラスト、映画の終わり方も素敵だ。
『幕が上がる』は青春映画の傑作だと思う。


…8時過ぎにナレーション録りを終えて久々に天満独酌。
「大安」は料理がほぼ売り切れていた。
「奥田酒店」は9時でおしまいだし、「肴や」は休みだ。
「神戸マッスルホルモン」で串5本と芋のお湯割り。
そそくさと帰宅する。
真冬のように寒い。