ぷよねこ減量日記 2009/5-2016/1

旧ぷよねこ減量日記です。2016年1月に新旧交代してます。

10/9/1 霧ヶ峰から神保町へ

夜中に起きることなく5時過ぎに目覚める。
涼しい高原の良き眠り、エアコンなしの夜はいい。
朝霧が立ちこめる牧場を散歩する。
美しの塔まで10分ほど歩く。
標高2000m、ジョギングは自重して歩くだけにする。
塔に尾崎喜八の詩が刻んである。

   
   登リツイテ不意ニ開ケタ眼前ノ風景ニ
   シバラクハ世界ノ天井ガ抜ケタカト思ウ。


抜けているはずの天井、空もガスに覆われて白いだけだ。


…朝風呂に入り小屋の朝食。
食堂にマトンの匂いが漂っている。
8時前に支払いを済ませ出発、30分ほどで霧ヶ峰に到着する。
今日は合宿最終日、全日本インカレに向けトラックでスピード練習の予定。


曇り空で涼しい。
集合が10時過ぎと聞いていたので30分ほど走らせてもらう。
400mトラックからウッドチップを敷いたクロカンコースへ出る。
針葉樹の林間からグライダー場のある高原台地へコースは続く。
選手たちがフリージョッグに使っている4キロのコース。
ウッドチップが足に優しく気持ちいい。
それでも1600m、キロ6分半のゆったりペースでも息苦しくなる。
細かいアップダウンもありしっかりと足を踏みしめて走らないと進まない。
3キロ過ぎると汗がポタポタを落ち始め走りが軽くなってくる。
もう一周、と思ったが自重する。
まだ何も仕事をしてない。


トラックに戻ると選手たちがウォーミングアップを始めていた。
コーチに挨拶して撮影を始める。
インカレに向けてのスピード練習。
長距離の20数名が一組になって1000mを走る。
3分のインターバルを置いて3回繰り返す。
1本目、トップ集団は2分40秒台でフィニッシュ。
平地なら30秒台で走るがここは酸素量が少ない。
インターバル。
2本目スタート。
コーチから檄が飛ぶ。
「後ろを走って満足するなよ。タスキかけてるつもりで前を追え!」
インターバル。
3本目スタート。
「こういう練習で駅伝で使える選手かどうかがわかるんですよ。」
ベストは集団で走っても崩されず、粘って3本とも上位に入る選手。
常に自分をコントロールしてレースを作ることが出来る。
1本目だけ上位に入っても2本目は最後尾となる選手もいる。
檄をとばされ3本目でスタートから前に出るが失速、下位に沈む。
「そういう選手は駅伝本番でも突っ込んで失敗レースをする確率が高い」とのこと。


若者が息を切らして初秋の高原を駆け抜ける。。
ハァハァという激しい呼吸音、重なるシューズの靴音、ユニフォームの擦れる音。 


陸上は残酷なスポーツだと思う。
集団から後れる選手が出る。
ぜいぜいと息が上がる。
あえぐ声がトラックの外まで聞こえる。
バランスよく走っていたフォームがバラバラになる。
コーチの叱責が飛ぶ。
それでも差は縮まらない。
悔しい。
けど、どうにもならない。


下級生に負ける。
けど、身体が動かない。
エラそうな態度に日頃ムカツク同級生が前を走っている。
けど、どうにもならない。


長距離走というスポーツは明快だ。
強者が弱者の前を走る。
弱い者は強い者の背中を見せつけられる。


歴然と力の差を思い知らされる競技だと思う。
野球やサッカーの球技や体操やフィギアの採点競技に比べその明解さが残酷でもある。
一人で走るのと集団で走るのとは別物だと思う。


見ていて面白い。
けど、2ラップ半しかないので撮影は難しい。
コーチにインタビュー、主力選手と立ち話。
夏合宿終了、現段階でのチームの雰囲気はわかったが映像としての収穫はない。
出雲駅伝の前にトラックシーズン最後の全日本インカレがある。
次の菅平合宿へ行くべきか。


長距離ランナーの競り合い。
1キロ2分40秒台のスピードは間近で見ると迫力がある。



霧ヶ峰から松本に移動、レンタカーを返す。
松本ホテル花月に立ち寄り忘れ物をピックアップする。
げ、フロントは女性スタッフだった。
「あのう、お電話した者ですが忘れ物をとりに来ました」
「あ、はい」と裏へ回る。
あ、よかった。年配のおばちゃんだった。
これでしょうか、と渡されたのは湯飲み茶碗で水につけられた一品。
間違いないですが…そんなんで渡されても。
でも、どうして保管したらいいのかわからなかったのだろうな。
すみません。
洗面所へ持って行き専用ケースに入れ替える。


松本駅から「特急あずさ」で東京へ移動する。
7月に東京へ移動になった編成M氏と久々に飲む約束。
眼鏡堂さんも空いているとのことで久々の3人会。
東京は4月末のカーリング競技会で生島文庫に泊まった時以来です。
今回は一泊だけ。
自腹なので最安ランクの常宿「ウイークリーマンション深川」一泊5300円。
清澄白河と森下が最寄り駅で意外に便利。
走るコースも隅田川テラスがある。


チェックインして半蔵門線で神保町へ。
三省堂地下のドイツ料理とビールの店『放心亭』で乾杯。。
ヴァイツェンビールが旨い。


二人とも元気そうで話は尽きない。
家族を甲子園に連れて行ったこと、ご隠居との食事会、スカパー執行役員のこと、
断交したS氏のこと、O氏やD氏との爆笑ミーティングのこと、
白頭園の“ぷよねこ会” のこと、今後の「いくちまリターンズ」のこと、編成のウラ話、
メールの誤送信頻発のこと、京都南座での歌舞伎鑑賞会のこと、小林師匠のこと、
ボストン旅行のこと、新たなワルダクミのこと…などなど。
わずか数時間前の霧ヶ峰が遠い昔のよう。
盛り上がって22時過ぎに散会。