ぷよねこ減量日記 2009/5-2016/1

旧ぷよねこ減量日記です。2016年1月に新旧交代してます。

2014/7/9 事実は想像を凌駕する

早朝、ワールドカップの準決勝を見る。
たまたま読んでいるのがポール・オースターの「ナショナル・ストーリー・プロジェクト」という文庫本。
これは全米の一般市民から “ 嘘のような本当の話 ” を集めて一冊にしたものだ。
ここで語られる話のほとんどは、作り話だったらちょっとやり過ぎじゃないの、というレベルの実話ばかり。
事実は想像を凌駕するのだ。


誰かがフィクションとしてこの試合を0-7という結果を描いたとしたらこう指摘されるに違いない。
「いやあ、あまりにもリアリティがないから映画にもならないね」
ブラジル0-7ドイツ、嘘みたいな本当の話です。


          


なすすべ無く崩壊してゆくブラジルの守備網。
ドイツ機甲師団が完全包囲し、無慈悲にも集中砲火を浴びせた。
前回、南アフリカ大会の準決勝でドイツはマラドーナ率いるルゼンチンから4ゴールを挙げて粉砕した。
そのときの猛攻がぷよねこ日記に記されている。
「電撃ジャーマン」 http://d.hatena.ne.jp/shioshiohida/20100704/1278206842


   先制点:デル・ボンバー、あの爆撃機ゲルト・ミューラーと同じ13番!
               20歳の若きトーマス・ミューラーが電光石火のヘディングゴール。
   2点目:ポーランド系コンビ、ポドルスキーとクローゼのホットライン開通。
   3点目:シュヴァインシュタイガーが相手ペナルティエリアを鼻歌を歌うようにドリブル、
                          ラストパスをフリードリッヒが押し込む。
   4点目:絵に描いたようなカウンター、トルコ移民の子エジルが長い距離を走り抜きクロス、
                  クローゼがボレーをたたきこみアルゼンチンの息の根を止めた。
   加えて2メートルのセンターバックメルテザッカーの顔面クリアにゲルマン魂を見た。
   至近距離でシュートを受けてケロッとしてGKとハイタッチした。


今朝のブラジル戦、この電撃攻撃を思い出した。
いや、それを上回る惨劇。
ブラジルは何かがおかしかったのは確か。
ヒロが「サッカーはタイムアウトがないからねえ」
ブラジルのスコラーリ監督は「タイム!」と言いたかったに違いない。
(サッカーにそういう習慣はないか)


前回のワールドカップを見て内田樹先生がつぶやいた。


   ワールドカップから学ぶこと。
   その一、世界の基本単位は国民国家である。
   その二、人間のパフォーマンスを高めるのは、負けてるときにも楽しめる能力である。
   その三、落ち込むと負ける。図に乗ると負ける。考え過ぎると負ける。
       考えが足りないと負ける。ワールドカップは深いです。


前回、ブラジルはオランダを追い詰めながら1-2で逆転負けした。
決勝点は自殺点…。
そこまではあまりに完璧だったブラジル。
100点満点だったブラジルにこの自殺点はまったくイメージ出来ていなかった。
それが選手たちの表情にはっきりと表れていた。
ドゥンガ監督は試合後コメントした。
「悲しいし、つらい。誰も負ける準備などしていない」


ドゥンガのブラジルは勝つためにのみに存在するチームだった。
内田先生が言う、負けているときにも楽しめる能力、に欠けていた。
負ける理由は星の数ほど存在する。
美しくても負ける、美しくなくても負ける。
攻撃的でも負ける、守備的過ぎても負ける。
秩序があっても負ける、奔放でも負ける。
勝った!と思っても負ける、負けた!と思っても負ける。
負けるはずがない、と思っても負ける、負けるかもしれない、と思えば負ける。
負ける理由は確固として存在する。
ノムさんではないが負けに不思議の負けなし。
今朝のブラジルにはどんな負ける理由があったのだろう?


…台風が沖縄本島から九州に向かっている。
時速15キロと自転車並み。
ここらは雨は降ってない。
ちょっとでも走っておこう。
出ようとするとヒロが冷凍庫の不調を訴える。
氷が溶けだしている。
取説を読み、ネット検索して対処に当たる。
とにかく急速冷凍にして様子を見る。
買ってからまだ1年経ってないのだ。


なんとか3キロ走る。
それくらいでも “ 走る習慣 ” をつなげて、距離を積んでおきたい。
いつもよりちょっとだけコースを変える。
渡ったことのない歩道橋。
見る風景が違うだけで遠くへ来たような気分になる。

   



…ニュースデスクの一日。
セレッソ柿谷の移籍会見、阪神広島戦。
藤浪は4点のリードをもらいながら完投出来ず。
大谷は16 奪三振で完投、8勝目を上げた。
高校生のときに甲子園で二人が投げ合うのをバックネット裏で見た。
大谷がホームランを打ったが試合は藤浪の大阪桐蔭が勝った。
まだ勝負は続いている。


去年も甲子園で大谷を見た。
投手でなく外野手で出場していたが打席でもライトの守備位置でもオーラがあった。
今、生で見たいと思う数少ない選手。


タクシー帰宅。
あすは台風が近畿地方に最接近する。